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応援してもらえるチームとは

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応援してもらえるチームになろう

「応援してもらえるチームになろう」~最近、よく耳にするフレーズです。

「応援してもらえるチームになることが目標です」と選手や指導者が口にする場面を見ると、

「それは少し違うんじゃないか」と思ってしまいます。

2016年 リオオリンピックでの女子バスケットボール日本チームは「暁ファイブ」と呼ばれたチーム。チームの平均身長は参加チームで最低、唯一の170センチ台。予選リーグ突破も難しいと思われたチームが世界ランク4位のフランスに勝利し、決勝トーナメントに進出する。とにかく一生懸命ボールを追いかけ、ひたすら走るチームだった。そのプレーは見るものを惹きつけた。

 決勝トーナメントの相手はアメリカ。日本は6点差まで詰め寄ったが徐々に引き離される。友人がたまたまこの試合をアメリカのスポーツバーで見ていた。最初はアメリカを応援していた地元の人々が、途中から日本のプレーに拍手を送り始めたのだという。日本がゴールを決めると立ち上がって歓声を上げたのだ。これには驚いたと語っていた。アメリカの人々が日本のプレーを「素晴らしい」「もっと見たい」と思ったのだろう。暁ファイブは「いつのまにか相手サイドからも応援されるチーム」になったのだ。(ちなみにヘッドコーチはトム・ホーバス氏)

「応援されるチームになろう」という方向性に間違いはない。しかしながら、それは「他者からの評価」を尺度にしたものであって、「自分たちがどうあるべきか」は自分たちの尺度で決めるべきであろう。「応援されること」は見た人が「このチームはいいチームだ」と思って応援してくれるのであって、それは産物なのだ。

 「応援されるチームになろう」という言葉を聞くたびに、暁ファイブのことを思い出す。このチームは「見た人が自然に応援したくなるチームだった」。そんなチームを創りたいと思う。

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