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あなたの可能性を解き放つ「Why」の思考習慣

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「この資料、いつものように作っておいて」

「前任者からこう引き継いでいるので、この手順でやります」

日々の業務の中で、ふと、自分の仕事が「こなすだけ」の作業になっていると感じることはありませんか?

目の前のタスクに追われるうち、いつしかその仕事が「何のために」あるのかを見失ってしまう。それは、あなたの持つ本来の力や、仕事の面白さを見過ごしているサインかもしれません。

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このブログでは、日々の業務に「自分だけの意味」を見出し、仕事を「作業」から「創造」へと変えていくための、とてもシンプルでパワフルな習慣、「Why(なぜ)」から考えることの大切さについて考えます。

すべての始まりは、あなたの中の「Why」にある

私が開催している新入社員研修では、「何を(What)学ぶか」「どうやって(How)学ぶか」よりも、「なぜ(Why)学ぶのか」が大切であることを訴えています。

なぜなら、「自分はこうなりたい、だから学ぶんだ」という目的(Why)が心の中に灯れば、「何を学ぶか(What)」「どう学ぶか(How)」という答えは、自然と自分に合った形で、しかも意欲的に見つけられるようになるからです。

これは、私たちの仕事にも、まったく同じことが言えます。

  • Why: なぜ、この仕事は社会やお客様、そして自分にとって大切なんだろう?

  • What: その目的を叶えるために、具体的に何ができるだろう?

  • How: それを、どうすればもっと良く、もっと楽しく進められるだろう?

この順番で物事を捉え直すことで、仕事は「やらなければいけないこと」から、「自分がやりたいこと」へと姿を変え始めます。

「決まったやり方」から、一歩踏み出すとき

かつて、社会や企業が安定して成長できた時代には、先輩や上司のやり方を丁寧に学ぶことが、成果への一番の近道でした。そこでは、「Why」を深く問うよりも、決められた手順を正確にこなすことが重視されたかもしれません。

しかし、今はどうでしょうか。社会は目まぐるしく変化し、お客様の求めるものも多様化しています。昨日までの「当たり前」が、今日にはもう通用しない。そんな予測が難しい時代になりました。

これは、見方を変えれば、私たち一人ひとりが自分の頭で考え、新しい価値を生み出すチャンスが溢れている時代とも言えます。想定外の事態に直面したとき、私たちを導いてくれる羅針盤、それこそが「そもそも、これは何のためだっけ?」という、物事の原点への問いかけなのです。

「AI駆動開発」の例で見る、「Why」から始まる思考の広がり

ここで、多くの人が陥りがちな思考パターンを、ある研修でのエピソードから見てみましょう。講義の中で、私が「AI駆動開発が普及すると、ユーザー企業でシステム開発の内製化が進む」という話をしました。これに対して、次のような質問がありました。

「AI駆動開発が普及すると、ITベンダーよりもユーザー企業でシステム開発に精通した人材が必要になりますか?」

この質問は「What(何が必要か)」から思考が始まっています。もし、ここで「Why」から考えてみると、世界はどのように違って見えるでしょうか。

  1. 【Why】 そもそも、なぜ今「内製化」に関心が集まっているのだろう?

    • 答え: 変化の速い市場で、お客様の期待に素早く応えたいから。そのために、ビジネスの根幹であるシステムを自分たちの手で柔軟に変えられるようにしたい。

  2. 【課題】 そうは言っても、内製化を進めるためのIT人材が足りないのが現状だ。

  3. 【How】 では、どうすればこの状況で、理想を実現できるだろう?

    • 答え: 最近広まってきた「AI駆動開発ツール」を使えば、少ない人数でも開発を進められるかもしれない。

  4. 【What】 そのために、具体的に何から始めよう?

    • 答え: まずは自分たちの目的に合うツールを探してみよう。そして、導入の準備を始めよう。

このように、「Why」から始めると、単に「システム開発の専門家が必要だ」という話ではなく、「自分たちのビジネスを良くしたい」という目的のために、AI駆動開発という新しい可能性をどう活かせるか、という創造的な視点が生まれます。

手段であるはずの「AI駆動開発ツールの導入」が目的になるのではなく、あくまで自分たちの「Why」を実現するための手段のひとつ/選択肢として捉えられるのです。

あなたらしいキャリアを築くための「Why」ー 時代を越える「自分力」の磨き方

この「Why」を問う力は、日々の仕事を豊かにするだけでなく、あなた自身のキャリアにおける選択肢を増やしてくれる、一生モノのスキルとなります。

もはや、ひとつの会社で勤め上げるのが当たり前、という時代は終わりました。このような変化の時代において、ひとつの会社でしか通用しない特定の「How(やり方)」や「What(知識)」だけを身につけていても、環境が変わればその価値は失われてしまうかもしれません。

しかし、「Why」を問い続ける力は違います。これは、あらゆる「How」や「What」を生み出す源泉となる、普遍的な能力です。会社や業界が変わっても通用する、まさにあなた自身の「自分力」を磨くことに他なりません。

  • なぜ、私はこの仕事をしているのだろう?

  • この仕事を通じて、どんな自分になりたいのだろう?

  • どうすれば、会社への貢献と自分の成長を、もっと重ね合わせられるだろう?

変化を楽しみ、自分らしく輝いている人は、例外なくこの普遍的な問いを自分自身に投げかけ、キャリアの軸を自ら作り上げています。

明日からできる、はじめの一歩

難しく考える必要はありません。 まずは、あなたが毎日当たり前のようにやっている仕事に、小さな「なぜ?」をそっと添えてみませんか。

「なぜ、この会議は毎週このメンバーなんだろう?」 「なぜ、この報告書はみんなで読んでいるんだろう?」 「なぜ、この作業は昔からこの手順なんだろう?」

その小さな問いかけが、あなたの仕事に新しい光を当て、隠れていた面白さや改善のヒントを教えてくれるはずです。そして何より、あなたを「やらされ感」から解放し、自分らしいキャリアを創造していくための、もっともシンプルで、力強い習慣となるはずです。

今年も開催!新入社員のための1日研修・1万円

AI前提の社会となり、DXは再定義を余儀なくされています。アジャイル開発やクラウドネイティブなどのモダンITはもはや前提です。しかし、AIが何かも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜモダンITなのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、お客様からの信頼は得られず、自信を無くしてしまいます。

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【第1回】 2025年6月10日(火) ※受付を終了しました
【第2回】 2025年7月10日(木) ※受付を終了しました
【第3回】 2025年8月20日(水)

営業とは何か、ソリューション営業とは何か、どのように実践すればいいのか。そんな、ソリューション営業活動の基本と実践のプロセスをわかりやすく解説。また、現場で困難にぶつかったり、迷ったりしたら立ち返ることができるポイントを、チェック・シートで確認しながら、学びます。詳しくはこちらをご覧下さい。

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