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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

オトナグリコにみるエンゲージメントのフラクタル構造

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テレビをよく観ている人はすでに9月の中旬ぐらいから目にしていると思うのですが、オトナグリコのCM。いいですね。駅貼りのポスターも最高でした。

このオトナグリコキャンペーン、ストーリー&エンゲージメント事例としてみると最強の構造を持っていることがわかります。(なお、ストーリー&エンゲージメントの何たるかについては末尾のリンクを参照してください。)

まずこのCM自体がストーリー仕立て。「サザエさん」という偉大な物語の後日譚という設定が誰にもすぐわかるので、すぐに引き込まれる。そこで軽くエンゲージメントが生じる。
最後まで見終わってみるとなかなかいい。取り上げられている商品にも関心が向き、商品に対するエンゲージメントが生じる。
後から反芻してみると、ある人は宮沢りえ自身が持っているストーリーに思いを馳せたり、浅野忠信が出演していた映画なんかを思い出したりするかも知れない。ここにも陰影の深いエンゲージメントが生じる。
そして改めて「サザエさん」。アニメ版を観ていた日曜夜の光景やなんかが思い出されて、自分自身のストーリーとのつながりも生じたりする。
それから長谷川町子自身のストーリー。彼女がサザエさんを描き始めた経緯やなんかを少し知っている人にはそれが思い起こされたりする。
さらには日本の戦後、高度成長期。最近だと映画「三丁目の夕日」などで描かれているところの日本がたどってきたストーリー。

そのへんのストーリーがあたかもフラクタル構造を持つかのように複合していて、あの1本のCMになっているように思うわけです。なので非常に強く心惹かれる。

広告効果として見ると、これだけ心理的フックのポイントが多い広告表現はまずないのであって、ひとりの個人において上記の全ポイントでエンゲージメントが生じているとすれば、これはもう「グリコ」は特別なブランドになってしまうし、「ディアカカオ」なんかは忘れられない特別な製品ですよ(事実個人的に時々買っていた「ディアカカオ・クリーミー」は、CMを見た後ではある種神々しい製品になってしまいましたよ)。

そこで生じているエンゲージメントは、ワンポイント・トゥ・ワンポイントなものではなく、ある種フラクタルな構造を持つものになっているはずです。

ストーリーは強し。エンゲージメントは堅し、といったところ。

偉大なストーリーを活用するマーケティング展開が今後増えそうな予感。


参考リンク
 シリアルイノベーション メモ:「ストーリーテリング」と「エンゲージメント」
 インタラクリ 「ガンダム」と「エンゲージメント」。
 シリアルイノベーション A地点からB地点まで行くライブ
 @IT情報マネジメント “きずなを結ぶ”新たな手法「エンゲージメント」

Otonaglico

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