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我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

老害を考察する

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世代交代は簡単には進まない!──そんな空気が、現代社会には確かに漂っています。

とにかく、年齢を重ねても皆さん元気です。医学の進歩や生活環境の改善により、70代・80代でも現役を続ける方が多く、以前であれば引退していた年齢層の人たちが、今もなお第一線で活躍しています。

しかし、「いつまでも頑張ること」は必ずしも正解とは言えません。もちろん、個人差があり、すべてを一律に語ることはできませんが、ホモサピエンスである以上、20〜30歳をピークに、加齢とともに確実に衰えていきます。運動能力はもちろん、判断力、情報処理速度、柔軟性も徐々に低下していきます。

その衰えに自覚がないまま、なお第一線に立ち続けると、周囲から「老害」と呼ばれるようになるのが社会の実情です。かつて還暦は「そろそろ引退を」という意味があったそうですが、現代では「誰があの人に引退の鈴をつけるのか」ということが課題になっているともいえるでしょう。

では、どのくらい活動期間を過ぎると、「老害シグナル」が点滅し始めるのでしょうか? もちろん、これはジャンルごとに異なりますがだいたい次のようになるでしょう。

1.スポーツの世界
スポーツの世界は非常にシビアです。競技にもよりますが、一般的に選手生命のピークは20代から30代前半。多くの競技で30歳を過ぎればベテラン扱いになり、体力やパフォーマンスの低下が目に見えて現れます。スポーツでは活動期間の7割を過ぎた頃には世代交代が当然と受け止められ、むしろ本人がピークを過ぎていることを自覚し、次世代に道を譲ることが美徳とされる傾向があります。

2.ビジネスの世界
ビジネスの世界では体力よりも経験や判断力が重視されるため、比較的長く活躍できます。しかし、50代後半から60代にかけて、意思決定のスピードやリスク感覚の鈍化が見え始めることがあります。ビジネスにおいては活動期間の8割を過ぎた頃、つまり一般的な定年に差し掛かる前後で「次の世代に譲るべきだ」という声が強まります。特に新興企業やIT業界ではもっと早く世代交代が進むこともあります。

3.政治の世界
政治の世界は非常に特殊で、高齢でも現役を続ける人が多い分野です。日本では、70代、80代の政治家が現役のまま政権中枢にいることも珍しくありません。政治では活動期間の9割を過ぎても、本人がやめない限り世代交代が進まない場合があります。しかし、有権者の感覚としては、活動期間の8割を過ぎた頃から「老害」と見られるリスクが高まります。世代交代の難しさが、現在の政治不信の一因にもなっているのかもしれません。

ところで、周囲から「あの人、老害だな」と見なされたとき、周囲の人々はどのような反応をするでしょうか? こちらも段階別に挙げておきましょう。

<老害シグナルが灯った人に対する周囲の反応>
〇第一段階

表面的には「さすがですね」「いつまでもお元気ですね」と敬意を示しつつも、実際には重要な相談を避けたり、核心的な場面から外したりするようになります。また、かつては活発に意見が飛び交っていた場でも、当人に対しては誰も真正面から意見をぶつけなくなります。「どうせ聞き入れない」「怒らせるだけだ」と諦められ、周囲が消極的なイエスマン化してしまうことが増えてきます。
これらは相手を傷つけないようにしながら、静かに影響力を減らしていく防衛反応でしょう。

〇第二段階
「名誉〇〇」「顧問」などの肩書きを与えて、表面上は敬っているように見せつつ、実質的には意思決定から遠ざけるという現象がみられるようになります。そのような役職は、本人のためのポジションに見えますが、組織防衛のための穏便な排除策であることが多いようです。
また、表面上は従っているように見せながら、裏では若手が実権を握り、既に新しい体制で動いているという場合もあります。本人が気づかない間に、「もうあなたなしでも体制は動いています」という状況が完成していることも少なくありません。

〇第三段階
最終段階になると、表面的な礼儀さえも薄れ、会議で意見を述べても軽く流されたり、「また始まった」と内心で思われたりします。本人がいくら頑張っても、周囲はすでに「終わった人」として見ていることもあり、孤立が深まっていきます。

さて、こうした周囲の変化は、決して一夜にして訪れるわけではありません。本人の気づかないうちに、静かに進んでいきます。もし、意見を求められる機会が減った、本音を言ってもらえなくなった、表面上は丁寧でも実質的に外されていると感じる。こうしたサインに気づいたら、それは「老害認定」され始めた可能性があるかもしれません。

人は誰もが年を取ります。それはどのように努力しても避けられるものではありません。大切なのは、自分の役割の終わりを受け入れ、次の世代が気持ちよくバトンを受け取れるように道を開くことです。年齢を重ねることは、豊かな人生経験を積んできた証となるでしょう。もし引き際を自分で選べたなら、周囲からはきっと「潔い」「かっこいい」と尊敬される、良い年の重ね方ができるのではないでしょうか。

といいながら、「まだまだ大丈夫!」と思っている私がここにいます(笑)。

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