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従来の検索とAI検索はどのように使い分けるべきなのか

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少し前にGoogleのビジネスモデルの転換について記事を書きましたが、その中に「AIによる検索は、Googleの収益の中核である既存の検索広告ビジネスを破壊しかねなかった」という下りがあります。検索がどう変わりつつあるのかについても記事を書かなくては、と思いながら、なかなかまとめられずにいたのですが、かなりすっきりとAI検索のメリットについて解説してくれる記事がありました。

ChatGPTが浸透して1年。気づいたら、僕の「検索」が完全に変わってた

是非記事全体を読んでいただきたいのですが、導入部を引用します。

なぜ織田信長は、戦国時代を勝ち上がれたのか?

ChatGPTでこう打ち込むと、「以下の5つに集約されます」なんて言って、要点を絞って教えてくれます。

一方、Web検索だとどうでしょう。同じ疑問を解消したかったら、

「織田信長 強さ 理由」

なんかのキーワードで調べたり、織田信長のWikipediaを参照したりと、きっと複数のサイトを見比べながら、自分なりに情報を整理していくことになるでしょう。

ほんと、これなんですよね。この導入部で言いたいことの8割くらいは言えてしまっています。

search_mushimegane.pngただ、記事でも書かれていますが、これは従来の検索とAI検索のどちらが優れている、という話ではありません。目的と利用方法が違うのです。

AI検索はこちらが持っている疑問・質問について「もっともらしい」答えを提示してくれます。これに対して、従来の検索は「こちらが答えを出すための材料」を提示してくれる、ということができます。従来の検索では、自分で答えを出さなければならず、AI検索を知ってしまうとそれが面倒くさい作業に思えてしまうのです。さらに最近では、「こんなことも調べられますよ」「これについてはどうですか」といったようにその先の展開を示唆してくれる機能もありますので、思考を広げていくことができます。単に調べるだけでなく、考えを深めていくことができるのです。

これはAI検索の素晴らしさであり、危険な点でもあります。上で「もっともらしい」と書いたのは、記事でも触れられているとおり、ハルシネーションの問題があるからです。現在の生成AIではその仕組み上ハルシネーションを無くすことはできない(そもそも人間に聞いたって100%正しい答えなんて返ってきません)と言われています。AIが返してきた答えを吟味して「何かおかしい」ことに気づくための基本的な知識は必要なのです。

AI検索の問題

AI検索の便利さ、手軽さを一度知ってしまうと従来の検索はおっくうに感じてしまい、どんどんAI検索にのめりこむことになります。しかしそれに頼り過ぎると、AIの答えを鵜呑みにすることに慣れてしまい、自分で考えよう、検証しようという力が失われてしまうかもしれません。

私の世代は、検索のない時代に教育を受け、検索が登場してからはそれを便利に使いながら自分で答えを出すという作業を行ってきました。それがAI検索の時代になって、非常に便利になったと感じています。しかし、最初からAI検索のある時代に育つ子ども達に、どのような心構えを持たせ、どのような教育を施すべきなのか、今のところ答えはありません。

従来の検索とAI検索のハイブリッド

上の記事では、AI検索のデメリットを補完するために従来の検索も併用している、と書かれていますが、最近は一次ソースへのリンクを提示してくれる検索サービスも増えてきました。その中でもお勧めなのが、私が愛用しており、老舗でもあるPerprexityです。AIによる要約に加え、元情報へのリンクも表示されるため、ソースの確認が簡単に行えます。是非一度お試し頂きたいサービスです。

 

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