ダメ会議を変える!会議の基本動作 ⑥「主張を引き出せ」
会議の基礎について体系的に解説する、「会議の8つの基本動作」シリーズ第5回目
1回目は「8つの基本動作の全体像」を解説し、以降、基本動作を1つずつ解説している。今回は「基本動作6」である。
- 決まったこと、やるべきことを確認する(済)
- 会議の終了条件を確認する(済)
- 時間配分を確認する(済)
- 議論を可視化する(済)
- 4つのPを押さえて会議を準備する(済)
- 全員から主張を引き出す(いまここ)
- 対話を促し合意形成する
- 振り返りをする
基本動作⑥「主張を引き出す」
なぜ主張を引き出す事が重要なのか?
会議で求められるのは、 「意見を押し通す事」「議論に勝つ事」ではない。
会議は、ディベートのような勝ち負けの世界ではない。
勝ち負けを競っても全く意味がない。より多様な意見を引き出し、「俺のA案」でも、「あいつのB案」でもない、 「より良い第3案」を見つける方がずっとよい。
だから、参加者から意見、思い、価値観をしっかり引き出し、誤解なく分かり合ったうえで、結論を導いていく必要がある。よく見るのは、全然意見の出ない会議。シーンとしていて、議長だけが話している。または、意見は出るのだが自分の主張だけを繰り返し、相手の主張を理解しようとしない会議。ずっと平行線で、最後には声の大きい方が勝つとか・・・。目指すべき会議はそうではないはずだ。活発に意見が出て、相手の主張を理解し、その上でより良い案を作っていくのが理想だろう。そのためにどうすれば良いのだろうか。
(1)まず「話しやすい雰囲気を作る」こと。
お通夜のような静まり返った会議では、より良い第三案など作りようがない。まずは活発に意見が出る場にすることが第一歩だ。しかし、話しやすい雰囲気は放っておいても作れない。雰囲気作りは積極的に仕掛けていかないといけない。
基本は以下の5つをしっかりやればいい。
・発言に対してちゃんと興味を示す
・発言を肯定する、褒める・相手の表情を見る
・同意、うなずきをする
・オウム返し、言い換えをする
少し例を見てみよう。
誰かが「A案の懸念は、xxな点じゃないかと思うんだ・・・」と発言したとする。
ファシリテーターは黙って、腕を組んで聞いていることもできる。
ファシリテーターは「いや、それは違うだろう」と反論することも出来る。
しかし、これでは話しやすい環境とは到底いえないだろう。
もしファシリテーターが
「うんうん、確かにそういう懸念ありますね」とか
「xxですか。ありそうです。良いご指摘ですね。」
「あ、ありがとうございます!その観点漏れてますね」と
笑顔で返したらどうだろう?途端に話しやすい雰囲気になるのが想像できるだろうか?否定したり質問するのはその後でいい。
ファシリテーターの空気が、そのまま場の空気感になると心得て欲しい。ムードメーカーとして雰囲気をコントロールしていくことが大事だ。
(2)次に、理解を深めるための質問をすること
会議の雰囲気が作れて、発言そのものが引き出せるようになったら、次は発言の裏に隠れている「真意」を引き出す。真意を引き出し理解を深めるためには質問すればいい。
質問によって議論を活性化させるイメージだ。質問はこの3種類だけ押さえておけばいい。
・「具体的には?」 (具体的なイメージが持てるように)
・「何でそう思うんですか?」 (発言の真意を理解できるように)
・「他にはありますか?」 (漏れがないか確認出来るように)
どんな風に使っていけばいいのか例を見てみよう。
「若手の育成について現行の改善点を洗い出す」という会議で議論をしていた時の事、ファシリテーターがうまく質問をして議論を活性化させていた。
Aさん「――だから、僕は、部長が現場に対して実質的な関与をすべきだと思うんだ」
ファシ 「なるほど、良い意見ですね。確かにそうかもしれませんよね!」
(ここでファシリテーターは否定せずに受け止め、発言を褒めている)
ファシ「・・・でも、実質的って具体的にはどんなイメージですか?」(褒めて終わるのでなく、具体的なイメージが出来るように質問を返している)
Aさん「うーん。例えば、資料のチェックをするとか、メンバーへの指導を10分でもするとかかな・・・?」(具体的に何をすべきと言っているかは理解できた。でも、もう一息だ。なぜそう思うのかが、まだ見えづらい)
ファシ「なるほど、イメージ湧きました。でも、なぜそれが必要だと思うんですか?」Aさん「それはさ、過去にこんなことがあってーー」
ファシ「なるほど、よくわかりました。そう言う理由からだったんですね。考えもしませんでした」
(ここでも肯定を心がける。だいぶ意図がわかってきたが、もうひと押ししてみるか・・・)
ファシ「他にはありますか?」Aさん「うん。実はもう一つ理由があるんだ―――」
ここまで質問して、引き出して、ようやく相手の真意がわかる。
上っ面で理解した気にならないことだ。相手の主張が自分の言葉で語れるくらいしっかり理解する必要がある。
具体的にどんなイメージか?なぜそう思うのか?他にはあるか?この3つの観点を持っているだけで、十分効果的な引き出しができるだろう。
また、話している方も質問されることによって、考えが促される。「そう言われると、そこまで考えたことなかったな・・・」など、ハッとすることも多いのだ。
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