ダメ会議を変える!会議の基本動作③「時間配分を確認せよ」
会議の基礎について体系的に解説する、「会議の8つの基本動作」シリーズ第4回目
1回目は「8つの基本動作の全体像」を解説し、以降、基本動作を1つずつ解説している。今回は「基本動作3」である。
- 決まったこと、やるべきことを確認する(済)
- 会議の終了条件を確認する(済)
- 時間配分を確認する(いまここ)
- 議論を可視化する
- 4つのPを押さえて会議を準備する
- 全員から主張を引き出す
- 対話を促し合意形成する
- 振り返りをする
「時間の確認」を甘く見てはいけない
会議には議題が設定されていることも多いだろう。Agendaという場合もある。ところが、一つ一つの議題に掛ける時間は大抵明らかになっていない。
これだけ見ると「はぁ、そうね・・・でもそれで?」と思うかもしれない。だが、実は極めて由々しき事態だ。一つ一つに掛ける時間が不明ということは、「どのくらい時間が掛かるかわからないけど、とりあえず議論してみよう」という状態なのである。
製造業などに置き換えてみるとより顕著になる。「製品1つ作るのにどのくらい時間が掛かるかわからないけど、とりあえず作ってみよう・・・。時間掛かったけど、作れた作れた♪ やったね!」という状態になる。もしくは「今日は作り切れなかったけど、まぁいいか、明日また今日の続きだ!いつ終わるかわからないけど、俺たち頑張っているからいいよね!」という状態だ。あり得ない。これでは当然ダラダラした会議になるし、会議の生産性などが上がるわけがない。ではどうすればよいのか?
何に何分掛けて議論するのか明らかにせよ
やるべきことはシンプル、「何に何分掛けて議論するのか」を確認する。これだけだ。言われれば難しいことではないのだけど、「課題を洗い出す」ことに何分かければいいのか考えるのは実は難しい。10分で良いかもしれない。1時間掛かるかもしれない。
今までやったことが無いのだから、最初はエイヤで考えてみるしか無い。時間配分してみる→実績を把握する→反省を活かして次回から時間配分を調整する、を繰り返していくうちに精度が上がってくる。
これだけだが、確認するだけではダメだ。重要なのはむしろ使い方である。
「時間配分」を使い倒せば、意識が変わる
時間配分を確認したら、「残り時間・経過時間」を気にしておいて、「後何分です」「xx分経ちました」と声を掛けるといい。これだけで参加者の意識が変わる。心理学では「締め切り効果」と言われているが、終了期限が設定されているとその時間で収めようと意識が向く。
「後10分で結論が出るように集中しよう!」とか
「このペースだと絶対終わらないから、別のやり方にしますか?」
というやり取りができるようになる。
時間が決まっていると人間の集中力は高まるようにできているし、時間内に収まらないとわかったら何かしら工夫をしようとする。これがダラダラ会議を防いでくれるってわけ。効果は絶大だ。
誤解なきよう念のため書いておくが、「無理矢理にでも時間内に収めろ」と言っているわけではない。どうしても収まらないなら、延長するか、日を改めるか、別のやり方をするか判断すればいい。時間が過ぎていることも気づかずズルズル続けるのが一番良くない。「残り10分です。このまま行くと終わらなそうですけど、どうしましょう?」と確認するのだ。
これだけで「ダラダラ感」はかなり無くなるだろう。もう一度言うが、「時間配分」は確認して、ガンガン使わないと意味が無い。使い倒して欲しい。
ちなみに、無数の会議に参加してきたが、こんな風に時間配分を確認して使っている会議には、ただの一度も出会ったことがない。騙されたと思って一度やってみることをお勧めする。
コツは主張しすぎないこと。「毎回後10分です。どうしますか?」と迫るとちょっと鬱陶しい。「後10分です」とつぶやくだけで良いシーンも多い。とはいえ、言うなら遠慮しないでハッキリ言う。終了2分前に初めて「後2分です」と言っても遅い。30分前に一度、15分前、5分前、など、ピッチを決めてきちんと意識付けをさせるなど、ここに遠慮してはいけない。簡単なようで実は難しいことなのだ。たかが時間の確認、と思わずに。
次回は進行時の振る舞い方
さて、これで会議の「終了時」と、「導入時」の基本動作を解説したことになる。会議の終了時に「①決まったことやるべきことを確認」し、会議の開始時に「②終了条件を確認」「③時間配分を確認」をする、ということだ。一つ一つは理解できるだろうが、実際にやろうと思うと実は奥が深い。
次回は会議の進行時の振る舞い「④議論を可視化する」を解説する。
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