ダメ会議を変える!会議の基本動作⑦「対話を促せ」
会議の基礎について体系的に解説する、「会議の8つの基本動作」シリーズ
1回目は「8つの基本動作の全体像」を解説し、以降、基本動作を1つずつ解説している。今回は「基本動作7」である。
- 決まったこと、やるべきことを確認する(済)
- 会議の終了条件を確認する(済)
- 時間配分を確認する(済)
- 議論を可視化する(済)
- 4つのPを押さえて会議を準備する(済)
- 全員から主張を引き出す(済)
- 対話を促し合意形成する(いまここ)
- 振り返りをする
基本動作⑦「対話を促す」
主張が引き出せるようになったら、次は対話を促す。
相乗効果がない会議はダメだ。
誰かがひたすらに独演していたり、みんなが自分の主張だけをする会議は想像しただけでもうんざりする・・・。
せっかく複数の人間が集まって議論しているのだから、参加者の考えをぶつけ合って、A案 or B案の二者択一ではなく、よりよいC案をひねり出したい。その為に必要なのは「対話」だ。
会議を仕切るファシリテーターと参加者の関係を見てみよう。
一番左は発言のない状態。これは基本動作④「引き出す」スキルで対応する。
引き出せるようになると、真ん中の「ファシリテーター対参加者」のコミュニケーションになる。ファシリテーターが質問し、参加者が答えるという関係だ。
目指すべきは一番右、「参加者同士が活発に意見を交換している状態」だろう。参加者同士の議論から新たな意見が生まれてくる状態だ。
では、どうやったらこの状態が作れるのだろうか?
話を振れば、対話が促進される
実は、対策は極めてシンプルだ。「話を振れ」ばいいのである。
「Aさんからこんな質問が出ましたが、Bさんどう思いますか?」
「Aさんの意見は確かにそうですよね。Bさんは反対ですか?」
「Aさんの疑問はごもっともですね。でも私が答えるより、Bさんに答えてもらった方がいいですね」
ファシリテーターが引き出して、別の参加者にぶつける。これができると全員の議論が活性化された状態が作れる。
たったこれだけ。言われば簡単だが出来ない人は案外多い。
例えば、
「会議の進め方を変えた方が良いと思うけど?」と参加者に言われた場合、ファシリテーターが「私としては・・・と考えていて」という感じで自ら答えていないだろうか?
これでは対話は促進できていない。「進め方を変えた方が良いと、Aさんから意見が出ていますが、Bさんどう思いますか?」という感じで他の参加者に振るのだ。
会議はファシリテーターだけで作るものではない。参加してる全員で作るものだ。だからファシリテーターが答える必要はない。むしろ答えずに別の参加者に振った方がいい。
これが出来ると、参加者同士の対話がグッと活性化する。自分たちが会議の当事者であるという意識も付いてくる。対話ができているので、結論にも納得感が生まれるというわけだ。
合意形成の氷山モデルを意識せよ
これまで「引き出し、対話を促す」スキルを解説してきたが、これらは「合意形成の氷山モデル」を相当意識している。会議ファシリテーションの極意と言ってもいい。
氷山の上に見えているのは「意見やアイディア」である。ただし霧にかかって見えづらいことも多いので、前回解説した「具体的には?」の質問によって霧を晴らしていく。
氷山の下は「経験や価値感」などである。意見やアイディアには、そう考える経験、価値観が根っこにある。ここを「なぜそう思うんですか?」の質問で紐解いていく。
そうして明らかにした氷山の全体を、「話を振る」事によって他者にぶつけていくのだ。
これによって個々に浮遊していた氷山が健全にぶつかり合い、合意形成ができていくわけだ。このメカニズムがわかっていると、断然議論がさばきやすくなるので、是非覚えておいて欲しい。
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