ダメ会議を変える!会議の基本動作①「終了時に2つ確認せよ」
前回、<なぜこれほど日本の会議はクソなのか? 会議を変える8つ基本動作>で「会議の4つのフェーズ」と「会議を変える8つのコツ」の全体像について触れた。
今回からは8つのコツを1つずつ解説していきたい。目からウロコが落ちるような派手さはないが、どれもこれも、地に足が付いた"本当に必要なこと"ばかりだ。
- 決まったこと、やるべきことを確認する(いまここ)
- 会議の終了条件を確認する
- 時間配分を確認する
- 議論を可視化する
- 4つのPを押さえて会議を準備する
- 全員から主張を引き出す
- 対話を促し合意形成する
- 振り返りをする
基本動作①:終了時に「決まった事」「やるべきこと」を確認せよ
会議が終わってから、「結局何が決まったんだっけ?」 「うーん、なんかモヤモヤするなぁ」と感じた事があるはずだ。混沌とした会議ではよく起こる。何かを決める為の会議でこんな状態になったら致命的だ。
ではどうすれば良いか?答えはシンプルだ。会議終了時に、決まった事とやるべきことを確認すればいい。ただこれだけ。普通に考えると至極当然のことだが、多くの会議では全く実施されていない。
なんだ、そんなことかよ・・・、と思ったそこのあなた。この記事はあなたのような人のためにある。
「決まったこととやるべきことを確認する」。言われれば当たり前のことだが、ちゃんとやっている会議は驚くほど少ない。やった方がいいのは自明なはずなのに、なぜか実施されない。 もはや会議をなめているとしか思えないが、確認することの有用性、重要性をきちんと理解してもらいたい。
なぜ普段、確認ができないのか?大きな理由の一つは、「そんなことイチイチ確認して、お前聞いてなかったのか?」などと言われるのが嫌だからだ。しかし、
・話を聞いてなかった人がいるかもしれない
・決まったことを勘違いしてる人がいるかもしれない
・決まった事を忘れてしまった人がいるかもしれない
(実際にかなりな確率でいる・・・)
最後に決まったことを確認するだけで、会議の結論を誤解なく全員に染み渡らせることができる。確認するのは自分のためではなく、その場にいる全員のためにするのだと考えてもらいたい。
ポイント1:極力「下手」に出ること
とは言え、会議の終わりに発言するのはちょっとハードルがある。若手は特に。そんな時は手を上げてこう言えばいい。「私の理解が合っているか確認させてもらいたいんですが・・・、今日決まったことは、これとこれで、やるべきことはこれ、と言う認識であってますか?」これくらいなら、会議の末席に座っている若手だって発言出来るハズだ。
「決まったことがあやふやですよね?」とか「何も決まってないじゃないですか」など、上から目線はだめだ。とにかく主催者のプライドを傷つけないように。少しバカな振りをして確認するくらいでちょうどいい。
後は度胸の問題。これで「黙ってろ!」と上司に怒られるならその会社は辞めたほうがいい。
ポイント2:「決まってないこと」も合わせて確認する
決まったことの裏には、決まってないことや次回の会議で決めることもあるはずだ。これも合わせて確認すると抜け漏れがなくなる。むしろ決まっていないことの方が重要であることもあるだろう。「決まったことはコレ、決まってないことはコレ」と確認するだけだ。
ポイント3:やるべきことは「担当者」と「期限」を合わせて確認する
やるべきことが決まっていても、この2つが決まっていることは稀。しかし、これが不明確だとやるべきことは実行されない。
誰が、いつまでにやるか?必ず確認しよう。
ある会議での実話
ちょっと実例を見てみようーー。
とあるプロジェクトでのこと。そろそろ会議も終わろうかというタイミングでこんなことが起こった。私の隣には、最若手のメンバー高野氏(26才)が座っていた。彼は熱心にメモを取っていた。
私 「(高野さんのノートをちらっと覗き込んで、小声で)あれ?決まったことメモしているんですね」
高 「(小声で)ええ、ちょっと自信ない部分もあるんですけど・・・一応自分のメモとして」
私 「ほほう。じゃあ思い切って、"決まったこと"を確認しちゃいましょうよ。自信がない部分もあるんでしょ?」
高 「ええ?この場で?!無理ですよ・・・」
私 「大丈夫大丈夫。あ、皆さんすみません。だいぶ色んな議論をしてきたので、最後に高野さんから決まったことを確認して貰いたいんですがいいでしょうか?」
その他の参加者「おー?いいよ。高野、確認してみな」
高 「すみません...じゃあ確認させてください...。決まったことはxxと△△。保留になっているのは□□、だと思うんですが...あってますか?」
その他の参加者「うん。あってるよ」 「え?△△は決まってないでしょ?継続議論って理解だったけど?」 「何言ってんだよ、さっき話してたじゃないか」 「ちょっと待ってよ、そもそも、今日決まったことを誰がやるか、決めてないじゃないか」
――この後しばらく全員"で決まったこと"を再確認し、会議は終了した――
全員が出て行った会議室で高野さんは、頭を掻きながら言った。
高 「榊巻さん。結局、私の理解であってましたね。ほっとしました。でも、榊巻さんヒドイですよー」
私 「ふふふ。それにしてもモメましたね。確認してよかったですね」
高 「確かにそうですね。度胸はいるけど、毎回確認した方がいいんでしょうね」
私 「ですね。さすが期待のエース!次回も確認おねがいしますね」
面白いことに、こんな事が年中起こる。
騙されたと思って、試しに5つ程度の会議で決まったことと、やるべきことを確認してみて欲しい。経験上、半分くらいは確認した時にモメるだろう。
それだけ人の理解はあやふやだし、そもそも決まりきっていないことも多いのだ。2時間の会議で、最後にたった30秒確認するだけだ。これで認識のズレが解消できるなら安い物だろう。
これだけのことではあるが、実行しようと思ったら結構度胸がいる。でもやった方が絶対に良いのは誰が見ても明らかだ。こうした積み重ねが確実に会議の質を変えていくのである。逆に言うと、この程度が徹底出来ないなら他に何をやってもダメだ。
さて、次回は基本動作②に触れたい。
今回の記事はこの本がベースになっています。気になる方はこちらも。