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「富岳」の次にくるフラッグシップシステム

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生成AIなどの進展により、スーパーコンピュータの国際競争も加速しており、日本の産業競争力を占う上でも重要な位置づけとなっています。

内閣府は2024年12月23日、「総合科学技術・イノベーション会議(第75回)」を開催し、国家的に重要な研究開発に関する評価を行っています。

その中の一つの「「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備」の事前評価結果について取り上げたいと思います。

プロジェクトの背景と概要

文部科学省は、2025年以降、スーパーコンピュータ「富岳」の後継となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備を開始する計画です。

本プロジェクトは、生成AIやビッグデータ解析などの技術革新に伴う計算需要の増大に対応するため、「富岳」の次世代システムを構築し、AIの進展やデータ駆動型研究に対応する強力な計算資源を提供していく方針です。

事業名:富岳の次世代フラッグシップシステム開発・整備
実施機関:国立研究開発法人理化学研究所
期間:2025年度(令和7年度)~2030年度(令和12年度)
予算額:初年度概算要求額42億円

本システムは、科学技術の革新と産業競争力の強化を目指し、令和12年までに整備を完了し、研究者向けに提供される予定です。

プロジェクトの開発の目的

AI技術の進展やデータ駆動型研究の増加により、計算基盤の重要性はますます高まっています。現代社会においては、産業競争力の維持・向上と社会課題の解決に高度なスーパーコンピュータの開発整備が重要となっています。

本プロジェクトでは、以下の目標を掲げています。

研究環境の高度化:最先端のスーパーコンピュータを提供し、研究者にとって使いやすい環境を構築
計算資源の強化:高度な計算資源の安定供給を実現し、科学技術・イノベーションを促進
産業競争力の向上:産業分野への応用を促進し、日本の競争力を強化

プロジェクトの評価と課題

本プロジェクトでは、必要性(科学的・学術的意義、社会的・経済的意義)、有効性(性能の妥当性、利用者の利便性)、効率性(実施体制の妥当性)の観点から評価し、中間評価(令和9年頃)および事後評価(令和13年頃)を予定しています。

本プロジェクトの実施にあたっては、効率的な開発と成果の分かりやすい発信が求められるとしています。また、ソフトウェア開発も含めた計算科学全体の推進が課題とされています。さらに、今後、量子コンピューターとの連携や人材育成の視点を取り入れる重要性も挙げています。

今後の展望

本プロジェクトは、2025年度~2030年度の期間、富岳の次を担う新たなフラッグシップシステムの開発・整備の推進により、AIやデータサイエンスの発展に大きく寄与。そして、計算科学全体の強化を通じて、日本の産業競争力の向上や社会課題の解決にも貢献することが期待されています。

今後は、国際的な競争力を確保するために量子コンピューターとの連携やオープンサイエンスの推進にも注力する必要性も挙げています。

そして、「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの研究成果を社会や産業界に還元していくための取り組みも求められていくでしょう。

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