国内ESGアプリケーション市場は急成長、2028年までに658億円規模に
IDC Japanは2024年11月12日、IDC Japanが発行する初の「国内ESG(Environmental, Social, and Governance)アプリケーション市場予測」を発表しました。
同レポートによれば、2024年の国内ESGアプリケーション市場規模は460億円に達し、2028年には658億円に拡大する見通しで、2023年から2028年の年間平均成長率(CAGR)は7.4%と予測されています。
サステナビリティが企業価値を左右する時代へ
IDC Japanの調査によると、国内ESGアプリケーション市場の拡大は、地球温暖化対策や多様性・公平性・包括性(DE&I)の推進を背景に、各国政府がサステナビリティ関連の法規制を強化していることが要因とされています。企業がサステナビリティに関連する非財務情報を開示することが一般化してきたことが市場成長を後押ししています。これにより、サステナビリティデータが企業価値を評価するうえで財務情報と同等の重要性を持つようになり、ESGアプリケーションの需要が高まっています。
日本政府の政策が市場を活性化
2024年には、環境省が策定した「第六次環境基本計画」が閣議決定され、環境価値の「見える化」を推進する取り組みが加速しました。この中で、「カーボンフットプリント(CFP)ガイドラインの活用促進」や「国際調和を追求したGX(Green Transformation)価値の算定ルールの形成」が推奨され、企業の環境対策への取り組みが進展しています。さらに、日本政府は2024年に総額約3兆円のGX債を発行するなど、経済活動を支援する具体的な政策を展開しており、これがESGアプリケーション市場の成長を促進しています。
ESGアプリケーションの進化
IDC Japanのリサーチマネージャー、遊亀源太郎氏は、「ESGアプリケーションは、これまでGHG(温室効果ガス)情報の可視化といった単一機能にとどまっていました。しかし現在では、環境、社会、ガバナンスを含む非財務情報を包括的に管理し、それを財務情報と統合することで、企業価値をデータ駆動型で向上させるプラットフォームへと進化しています」と述べています。この進化により、企業はサステナビリティへの取り組みをデータに基づき効果的に管理・評価することが可能となり、ESG関連の投資判断やステークホルダーとの信頼構築がさらに進むと予想されます。
国内市場の将来展望
IDC Japanのレポートは、企業が環境負荷を低減しつつ、社会的責任を果たし、ガバナンスを強化するためのツールとして、ESGアプリケーションの重要性がますます高まることを指摘しています。また、日本政府による政策支援や市場規模の拡大が、国内企業の競争力向上や国際的な持続可能性基準への適応を加速させる鍵になるとしています。
出典:IDC Japan 2023.11.12