アジア太平洋地域の企業の約90%がマルチクラウドへ移行 ~進むハイブリッド化と課題
2024年10月21日、シンガポール発 - IDCが最新のレポート「Asia/Pacific State of Cloud: Adoption Trends, Challenges, and Preferences」によると、アジア太平洋地域の企業の約90%が、複数のパブリッククラウド上でのワークロード運用を展開しています。
また、多くの企業が真のハイブリッドクラウドの導入を進めており、特にインドでは85%の企業が一つ以上のワークロードをハイブリッドクラウド環境で実行していると回答しています。
IDCの調査からは、同地域の企業の52%が少なくとも一つのエッジ・クラウドユースケースを展開していることも判明しました。これは、企業が複雑なアプリケーションのために分散型クラウドアーキテクチャに対する適応力を高めているためです。この結果、クラウドがエンタープライズITアーキテクチャの基盤として重要な役割を果たすようになったことが示されています。
IDC Asia/PacificのデジタルインフラストラクチャとITサービスのアソシエイトリサーチディレクターであるPushkar Shanbhag氏は、
AIが競争優位の主要な推進力になる中で、デジタル主権の要件を満たすために、プライベートAIの需要が高まる一方で、ビジネス価値と技術革新をもたらすパブリッククラウドの重要性も増しています。データ、AI、デジタル主権に焦点を当てた複数のパブリッククラウドやハイブリッドIT環境のシームレスなオーケストレーションと管理は、今後も企業のクラウド採用を促進するでしょう
と述べています。
多様なベンダーエコシステムの重要性
IDCの調査によれば、アジア太平洋地域の企業は、クラウドジャーニーにおいて多様なベンダーを戦略的に活用しています。ハイパースケーラー、インフラストラクチャOEM、専門的なクラウドプロフェッショナル、マネージドサービスプロバイダー(SP)、ビジネスコンサルタント、ISV/SaaSベンダー、コロケーションプロバイダー、テレコム企業、そしてグローバルシステムインテグレーター(GSI)など、幅広いベンダーがクラウド導入とスケーリングにおいて重要な役割を果たしています。
Shanbhag氏は、企業がデジタルインフラストラクチャとクラウドサービスのソーシング戦略を構築する際、ベンダーのエコシステムにおけるパートナーシップ、技術提供、共同研究開発(R&D)活動、共同開発・共同ブランド化ソリューションなど、広範なスキルやリソースを評価することが重要であると指摘しています。「複雑さが増すエコシステムの中で価値を効果的にオーケストレーションするためには、ベンダーが独自に持つ知的財産(IP)や資産に加え、幅広いエコシステムのスキルや資源が必要です」と述べています。
クラウド導入の課題:期待値の実現とコスト管理
IDCは、企業がクラウド導入において最も直面している課題として、期待値の実現の困難さやコスト超過、パフォーマンスの最適化、運用コスト、スケジュールの遅延、複数ベンダーの管理問題などを挙げています。また、同レポートは、アジア太平洋地域内でも、サブリージョンや業界、さらには回答者のプロファイルに応じて、課題が異なることを挙げています。