クリーンエネルギー戦略の基本コンセプト
内閣府は2022年1月18日、「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会を開催しました。
この中から、経済産業省のクリーンエネルギー戦略の基本コンセプトについてとりあげたいと思います。
気候変動問題に本格的に向き合うためには、産業革命以来の化石エネルギー主体の経済・社会構造から、脱炭素型の構造に社会システム全体を変革していくことが必要となっています。
この変革は短期間に終わるものではなく、世界大で長期的な取組が必要となり、事業者それぞれ、国民一人一人が仕事のやり方、自分の強み、生活スタイルを炭素中立型に変えることが求められるとしています。
この取組は教育、科学技術、労働、通信、農林水産、運輸、地域などあらゆる分野への広がりを持つこともあげています。
昨年来、グリーン成長戦略(研究開発→実証を促すGI基金の資金配分にも反映)、エネルギー基本計画(エネルギーミックスの数字を含む当面の政策の方向性)、地球温暖化対策計画(温室効果ガス全体を網羅した削減計画)と重要戦略を提示しています。
これらの重要戦略を踏まえて、経済・社会全体での取り組みを加速させ、とりわけ、経済・社会構造の基盤となるエネルギーを化石から炭素中立型に変革していくことは、経済・社会構造そのものの変革につながるため極めて重要であるとしています。
また、以下のような取組も加速しています。
国民一人一人の意識改革、生活スタイルの転換、地域における脱炭素の取組を加速させるため、地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)等に基づき、より具体的な取組を今後検討していくとしています。
日本全体のエネルギー消費の2割を占める家庭における脱炭素化を加速させるため、省エネ基準の適合義務を全ての新築住宅に拡大しています。
さらに、モビリティのエネルギー消費(日本全体の2割の消費)の9割に加え、部品・材料の製造過程でも大量のエネルギーを消費する自動車の脱炭素化を加速させるため、素材産業を含めた自動車サプライチェーン全体での脱炭素化を促進していくとしています。
クリーンエネルギー戦略では、事業者それぞれ、国民一人一人が仕事のやり方、自分の強み、生活スタイルを炭素中立型に転換していくための具体的な道筋を示し、経済・社会全体の大変革を実現してくとしています。
クリーンエネルギー戦略の基本コンセプトをまとめたのが以下のとおりです。
出典:「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会 2022.1
エネルギー・産業の各分野の投資を促すために検討を深める重点事項は、
1. グリーントランスフォーメーション(GX)を起点とした新たな産業(再エネ、アンモニア、水素、蓄電池など)について、具体的なビジネス・産業の創出(それに伴う、新たな人材育成の方針、更に、アジア・ゼロエミッション共同体の構築による共同市場の創出など)につながる道筋を議論。
2. 脱炭素が困難な鉄・化学・紙・セメントなどの製造プロセスで必要となる熱需要や鉄製造に必要なコークスやプラスチック製造に必要な原油由来のナフサなどの需要サイドの脱炭素に向けたエネルギー転換の方策・時間軸を議論
3. カーボンニュートラル社会に向けた、社会システム、インフラに必要となる、巨額の資金の確保と負担のあり方、時間軸を踏まえた具体的な対応策を議論
の3点をあげています。
社会システム、インフラの議論の例としては、データセンター等の電力多消費施設など需要サイドの見通しを折り込んだ系統増強に関するマスタープランの策定やGXに向けて、成長に資するカーボンプライシンをあげています。