経済産業政策の新機軸、目的はミッション志向
経済産業省は2021年6月29日、「第10回 産業構造審議会 産業技術環境分科会」を開催しました。
この中から、経済産業政策の新機軸についてとりあげたいと思います。
コロナ禍で顕在化したニーズ(価値)は、日本に限らない世界の共通課題。各国は、ニーズの課題解決だけでなく、顕在化の段階から、産業政策と社会政策を統合した戦略を展開しています。
グリーン、経済安全保障、ワクチン外交、人権サプライチェーンといったアジェンダの各国の政策は、各国の社会目的達成と競争優位確立を同時に図る戦略をとっています。
こういった状況を踏まえ、これからの新たな産業政策は、環境、安保、過疎、格差、雇用など経済とは別問題としてきた社会課題を取り込んで、経済として一体的に解決する取組を推進していく必要性を示しています。
これらの取り組みには、
・単に、過去に戻るのではなく、時代に求められる新たな「産業政策」の要素はどのようなものか。
・例えば、以下のような方向性が「新機軸」として求められているのではないか。
・この「新機軸」(=新たな「産業政策」:「経済産業政策」)を実現していこうとすれば、経済産業省には、詳細な制度設計を行うにあたり、高度な能力(調査分析・企画・執行)と責任が、これまで以上に求められることになるのではないか。
・また、関係省庁も多岐にわたることから、政府全体として意識すべき課題・方向性ではないか。
といった問題提起をしています。
以下のとおり、経済産業政策の新機軸として、目的、理論的根拠、政策のフレームワーク、技術開発、政策の評価軸などの項目で整理しています。
目的は、多様化する中長期の社会・経済課題の解決(「ミッション志向」)。政策の評価軸では、失敗を恐れずスピーディーに挑戦、失敗から学習(「フェイル・ファスト」)技術のスピルオーバー、学習効果、人材育成等の副次効果も含めた総合的・多面的な事後評価を重視していくとしています。
出典:経済産業省 第10回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 2021.6.29
今後に向けた大きな方向性(案)では、以下の3つの軸で示しています。
「経済」×「環境」の好循環~グリーン成長戦略~
「経済」×「安保」の同時実現~経済安全保障/レジリエンス~
「経済」×「分配」=包摂的成長~「人」への投資・「地域」の持続発展~
出典:経済産業省 第10回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 2021.6.29