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中小企業の事業継続力と競争力を高めるデジタル化 ~中小企業白書・小規模企業白書から

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中小企業庁は2021年4月23日、「令和2年度中小企業の動向」及び「令和3年度中小企業施策」(中小企業白書)、並びに「令和2年度小規模企業の動向」及び「令和3年度小規模企業施策」(小規模企業白書)を取りまとめを公表しました。

2021年版白書では、新型コロナウイルス感染症が中小企業・小規模事業者に与えた影響や、この危機を乗り越えるために重要な取組として、事業環境の変化を踏まえた事業の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aに関する取組などについて、豊富な事例を交えながら調査・分析を行っています。

感染症流行により、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にあり、事業環境の変化を転機と捉え、顧客のニーズや自社の強みに着目し、事業を見直すことも重要となっています。

危機を乗り越える力としては、

財務状況を把握し、事業環境の変化に合わせた経営戦略を立てていくことが必要。

デジタル化推進に向けては、デジタル化に積極的な組織文化の醸成や業務プロセスの見直しなどの組織改革を、経営者が関与し、全社的に推進していくことが重要。

事業承継後に新たな取組にチャレンジする企業が多く、事業承継は企業の成長・発展のためにも重要。事業承継策の1つであるM&Aはイメージが改善し件数も増加。

の3つをあげています。

特に、事業継続力と競争力を高めるデジタル化への対応が重要となっています。

新型コロナウイルスの感染症流行により、中小企業のデジタル化に対する意識が高まった。働き方改革や効率化の取組に加え、テレワークの推進など事業継続力強化の観点でデジタル化に取り組む企業が多く存在しています。

一方、デジタル化推進に向けては、アナログな文化・価値観の定着といった組織的な課題や明確な目的・目標が定まっていないといった事業方針上の課題も指摘しています。

デジタル化に対する優先度の変化(感染症流行前後)をみると、デジタル化に対する優先順位はあがっています。

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出典:中小企業白書・小規模企業白書 2021.4

デジタル化における事業継続強化への意識は、従業員数が多い企業ほど、意識が高い状況にあります。

出典:中小企業白書・小規模企業白書 2021.4

デジタル化推進に向けた課題では、「アナログな文化・価値観が定着している」という回答が半数近くを締めており、「明確な目的・目標が定まっていない」、「組織のITリテラシーが不足している」などが続いています。

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出典:中小企業白書・小規模企業白書 2021.4

中小企業のデジタル化推進に向けては、デジタル化に積極的に取り組む組織文化の醸成や業務プロセスの見直しなど、企業自身の組織改革が必要であると指摘しています。

その際には、経営者が積極的に関与することによって、企業全体のデジタル化に向けた方針を示し、全社的に推進することでより大きな成果を生みだすことができる可能性がある点もあげています。

デジタル化に対する社内の意識と業績への影響は、プラスの影響を及ぼしたケースが75.9%を高い数値となっています。

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出典:中小企業白書・小規模企業白書 2021.4

日本企業の多くは、大企業ではなく、中小企業・小規模事業者が多くを占めており、デジタル化を進めていくことが、日本全体の産業競争力を高めていく上で、重要な位置づけとなるでしょう。

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