テックネイティブなプラットフォームの構築
独立系ITコンサルティング・調査会社アイ・ティ・アール(ITR)は2020年10月27日、「2021年に企業が注目すべき13のIT戦略テーマ」を発表しました。
コロナ収束後のニューノーマルのあり方が模索されるなか、企業活動におけるテクノロジの重要性は以前にも増して高まってきており、テクノロジを起点に考え、テクノロジ活用を前提にビジネスを推進する「テックネイティブ」な姿勢が求められています。
ITRでは、「ビジネス遂行」「組織・カルチャー」「プラットフォーム」
の3つの観点から、テクノロジ戦略を軸とするITトレンドを取りまとめています。
今回はこの中から、テックネイティブなプラットフォームの構築について、とりあげたいと思います。
テックネイティブなプラットフォームの構築については以下の4点をあげています。
デジタルを前提としたエンタープライズシステムの再構成
不確実性の時代に適応していくためには、デジタル技術で業務の「ムリ・ムダ・ムラ・属人性」を省く自動化だけでなく、デジタル化されたデータをIT空間から現実世界の作業やシステム群にフィードバックするスマート性と、洞察や予測からアクションを実施できるスピードと最適性を企業間で向上していかねばならない。
クラウドネイティブ・アプリケーションによるイノベーション推進
クラウドの利点を最大化するためには、クラウドネイティブ・アプリケーションの構築が必須である。企業は、従来の既存アプリケーションをIaaSに移行するだけでは成果が限定的であることを認識し、マイクロサービス、サーバレス、Kubernetesなどを駆使して、ビジネス・イノベーションを牽引するIT基盤を確立すべきである。
テレワークを前提とした企業内学習環境の再構築
働き方改革と新型コロナウイルスへの対応により、テレワークを前提とした企業内学習環境の再構築が求められている。企業は、集合研修のオンライン化にとどまらず、社員1人ひとりが自己のスキルとキャリアプランに合わせて自律的に学習できるIT基盤の構築を目指すべきである。
ゼロトラストネットワークに向けたセキュリティアーキテクチャの再編
従来の境界型防御モデルのセキュリティアーキテクチャでは、高度化・複雑化したサイバー攻撃を防ぎきれなくなりつつある。また社内システムのクラウド化の進行によりデータの流れが大きく変わってきており、新たなセキュリティアーキテクチャであるゼロトラストネットワークへの再編が必要になる。
いずれも重要なトレンドだと思います。特に、デジタルを前提としたエンタープライズシステムの再構築がポイントです。企業の多くは既存のオンプレミスシステムを多く所有しており、このシステムの刷新が求められています。システムの刷新によりコストを抑えながら、クラウドネイティブ・アプリケーションを駆使し、イノベーションを推進していくようなアプローチが重要になるでしょう。
その中でのネットワークアーキテクチャでは、ゼロトラストの考え方が重要になっています。
いずれにしても、デジタルやデータを全体としたプラットフォームをどうセキュアに構築し、自社のビジネスを推進していくかが、今後の重要な取り組みとなるでしょう。