日本のクラウドは、「ニュー・ノーマル」などの議論でギア・チェンジが加速する可能性 ~ガートナー調査より
ガートナー ジャパンは2020年5月14日、「日本におけるクラウド・コンピューティングに関する最新の調査結果」を発表しました。
ガートナーの調査によると、2020年1月に実施した調査の結果、日本におけるクラウド・コンピューティングの導入率は平均で18%となっています。
出所:ガートナー 2020.5.14
本調査では、クラウドへのシフトを当たり前のものと思い始めている一方で、実際の導入には引き続き慎重な姿勢を示す企業が多く存在しているとしています。
また、これからのデジタル時代、また大きな変化の時代をサバイブするためには、クラウドや人工知能 (AI) といったテクノロジを使いこなすためのスキルが重要であるとしています。
クラウドのスキル獲得に関して、ユーザーが具体的にどのような状況にあるかの問いに対して
回答者の74%がクラウドに関するスキルの獲得を重要と認識しており、そのうち49%は実際のスキル獲得を現場任せにしているという実態となっています。
出所:ガートナー 2020.5.14
ガートナーでは、2020年に入り、政府系クラウド (政府向けのクラウド・サービス) の話題が活発になってきており、それによって違和感のあるクラウド導入が進む可能性があると懸念点をあげています。
アナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントの亦賀氏は
政府や自治体、また、そうした組織と同様のカルチャーを持つ企業では、2~3年で人材をローテーションすることから、クラウドやAIといったテクノロジに関して、素人のままとなる傾向が見られます。
そうした組織では、仮にクラウドやAIを導入することになっても、自分で運転するよりも誰かに頼むことが優先されてしまい、そうした振る舞いが、いつまでたっても『遅い、高い、必ずしも満足のいかない』結果を生むもととなっています。
すべてを『運転』する必要はありませんが、まずは、ユーザー自らが本物のクラウドに関する有益な書籍を読むなどして、知見を高めておくことが重要です。
また、クラウド化のような議論では、業務要件の継続を前提にした、いわゆる『業務要件ファースト』になりがちですが、こうした『昔と同じことを継続』するだけのアプローチでは、クラウドの真価を発揮できず、新たなビジネス成果も出せません。
ユーザーは、本物のクラウド・サービスをより広く深く理解し、無駄な業務の廃止をも前提に、効果的かつ戦略的な導入を進めることが重要です。
クラウド化などに際してベンダーやインテグレーターを選ぶ際は、企業名というよりも、むしろ、しっかりとした本物のクラウドのスキルを有するエンジニアを選ぶことが重要です。
とコメントしています。
ガートナーでは、重要な論点は、クラウドによってスタイル・チェンジができるかできないかに移りつつあるとし、ITの作り方やサービス・デリバリの仕方、エンジニアの在り方の転換を意味するものであるとしています。これができなければ、クラウドであろうがオンプレミスであろうが、物事は特段変わらず、システム・インテグレーターに「丸投げ」しているケースが多いことも問題点としてあげています。
亦賀氏は、
今やクラウドは、ライフスタイルのほか、ビジネス・スタイル、社会のスタイルを変える原動力となっています。このことは、企業IT (または官公庁や自治体のIT) の構築や運用のスタイルも、時代に即した新しいものへと変える時が来ていることを意味しています。
ユーザー企業は、『クラウドか、オンプレミスか』といった議論を卒業し、クラウドを自分で運転することで、早期に新たなスタイルへとギア・チェンジする必要があります。
なお、昨今の新型コロナウイルス感染症への対応や、さらに将来を見越した『ニュー・ノーマル』などの議論によって、このギア・チェンジが加速する可能性が高まっていると捉えられます」
とコメントしています。
海外の先進国と比べるとクラウドの導入が遅れていると指摘されている日本、この「ニュー・ノーマル」の流れにより、クラウドの導入が加速し、さらには、DX推進などのビジネスの加速も期待されるところです。