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国内ERP市場は、2019にクラウドがオンプレミスを逆転、2023年は95%以上がクラウド(SaaS/IaaS)に

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独立系ITコンサルティング・調査会社アイ・ティ・アール(以下 ITR)は2020年4月23日、「国内のERPの提供形態別とパッケージ製品の運用形態別での市場規模推移および予測」を発表しました。

国内ERP市場の2018年度の売上金額は1,004億円、前年度比9.1%増と堅調な伸びとなり、2019年度も同13.4%増と前年度を上回る成長を見込んでいます。

経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」に後押しもあり、老朽化したERPシステムの更新を進める企業が増加していることが背景にあるとしています。

2019年4月施行の「働き方改革関連法案」や、2019年10月施行の消費税率引上げと軽減税率制度の導入もERPへの投資を促進させている点をあげています。

ITRでは、老朽化した既存システムのリニューアルや、導入済み製品の機能拡張や適用範囲の拡大などをはじめ、今後もERPに対する投資は安定的に増加することが見込まれることから、同市場のCAGR(2018~2023年度)は9.5%を予測しています。

パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、パッケージ市場のシェアは年々減少傾向にある一方、SaaS市場が急拡大しています。

2018年度のSaaS市場の売上金額は前年度比38.9%増の264億円となり、2019年度も同36.4%増と引き続き大幅な伸びが予想しています。

主要ベンダーがSaaSの販売を強化しており、既存のパッケージ導入企業も徐々にSaaSに乗り換えていることから、2022年度にはSaaS市場がパッケージ市場を上回ると予測しています。

パッケージ市場をユーザー企業の運用形態別に見ると、オンプレミスでの運用が年々減少し、IaaSでの運用が拡大しています。

コスト面や導入の早さといったメリットから、ERPパッケージの稼働環境としてIaaSを選択する企業が増加していることが背景にあるとしています。

また、自社のIaaSとセットで販売するベンダーが増えつつあることもIaaS拡大の要因となっています。IaaSでは2018年度までAWSでの導入が主体でしたが、2019年度以降はAWS以外のベンダーが提供するIaaSでの導入も増加傾向にあるとしています。

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出所:ITR ERP市場規模推移および予測:提供形態別(パッケージ部分は運用形態別)
(2017~2023年度)

ITRでは、2022年度には、SaaS市場が国内ERP市場の半数を超えると予測し、サーバの運用や利用場所を問わずに業務継続やデータ活用しやすいSaaSは、今後も発生が想定される自然災害にも対応すべく、評価を高めていくでしょうと、コメントしています。

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