日本企業における価値創造マネジメントに関する12の行動指針
経済産業省は2019年10月4日、イノベーション100委員会と共に、イノベーション・マネジメントシステムの国際標準化の動きなどを踏まえ、企業からのイノベーション創出を加速させる観点から、「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」の取りまとめを公表しました。
イノベーション・マネジメントシステムに関する国際規格(ISO56002)の考え方を基にし、これまでの既存事業の維持だけでなく、新たなイノベーションを生み出すための変革を目指し挑戦する企業をより増やすべく、日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針を策定しています。
本指針では、企業がイノベーションを生み出そうとする際に直面する課題に対して、それを克服するための重要項目(経営者への7つの問いかけと12の推奨行動)、企業の先進的な取り組み、ISOにおける該当箇所等について、今後の経営の変革の一助となるような、考え方や実践方法等を整理しています。
以下が12の行動指針です。
~何を、目指すのか。~
行動指針1:存在意義に基づき、実現したい未来価値を構想・定義し、価値創造戦略をつくり、社内外に発信する
~なぜ、取り組むのか。~
行動指針2:自社の理念・歴史を振り返り、差し迫る危機と未来を見据え、自社の存在意義を問い直す
~誰が、取り組むのか。~
行動指針3:経営者自らが、戦略に基づき、情熱のある役員と社員を抜擢し、常に、守護神として現場を鼓舞し、活動を推進する
~何に、取り組むのか。~
行動指針4:既存事業の推進と同時に、不確実な未来の中から、事業機会を探索・特定し、短期的には経済合理性が見えなくても、挑戦すべき新規事業に本気で取り組む
~どのように、取り組むのか。~
行動指針5:資金・人材等のリソース投入プロセスを、既存事業と切り分け、スピード感のある試行錯誤を実現する【意思決定プロセス・支援体制】
行動指針6:経営状況に関わらず価値創造活動に一定の予算枠を確保し、責任者に決裁権限を付与する【財源・執行権限】
行動指針7:価値創造にむけ、社内事業開発と社外連携を通じて試行錯誤を加速する仕組を設ける
~どのように、続けるのか。~
行動指針8:価値創造活動においては、自由な探索活動を奨励・黙認すると共に、リスクを取り、挑戦した人間を評価する仕組を装備する【人材・働き方】
行動指針9:価値創造活動においては、小さく早く失敗し、挑戦の経験値を増やしながら、組織文化の変革に取り組む【組織経験】
行動指針10:スタートアップとの協創、社内起業家制度の導入等により、創業者精神を社内に育む【組織文化】
行動指針11:スタートアップや投資家に対して、価値創造活動を発信し、自組織の活動を支える生態系を構築する
~どのように、進化させるのか。~
行動指針 12:経営者が価値創造活動を見える化(文書化)し、組織として反芻(はんすう)し、活動全体を進化させ続ける
出所:経済産業省 日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針 2019.10.4