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坂本さんのブログでトイレトラブルのエントリを拝見しました。大変な思いをなさったことと思います。お疲れ様でした。

トイレは人間が生きていく限りでなくてはならないものです。本田宗一郎さんも新工場の建設にあたっては「最初にトイレの位置を考えろ」と指示したそうですね。私も仕事で頭の疲れを感じたとき等にトイレに行く事でリフレッシュのきっかけを作ることが多いように思います。

http://www.honda.co.jp/e-dream/backnum/archive/e-dream07/world.html

さて住宅設備の中でも水まわりのものは漏水事故が起きた場合の被害が甚大ですのでメーカーの対応が難しいところですね。私は学生時代から今までに2度、上階住人による大規模な漏水事故を経験していますがなんとも言えない精神的ダメージを受けるものです。皆さんも一度は部屋の中で傘を刺しながら貴重品を回収するという経験をされてみるのはいかがでしょう。

私の漏水事故の経験を紹介しますと1件目は私が在室していたのでベッドの上に家財道具を避難させることで私物は無傷でした。その場合も補償として3万円ほどいただきました。ところが2件目は私の部屋を含めて家財道具付きの部屋を2部屋と、空き部屋4部屋が水浸しにされたという事例でした。私からは被害のあった家財道具を新調する旨の請求を行い対応いただいたのですが、他の部屋の被害補償も合わせると車が1台買えるほどになったとのことです。住人に一定の過失があったために火災保険の漏水事故特約も100%は発動しなかったとのことで気の毒でした。

オーバーフロー管の修理ですが、この管は詰まると一発で漏水につながるという非常に重要な部品です。例えばボールが壊れて水が止まらなくなっても流れ去るだけですので多少の出費で済みますが、もしマンション等で階下に漏水させてしまうと被害額は何十万円の桁では収まりません。

確かに100円ほどの塩ビ管で修理できそうな部品ではあるものの、事故になった場合の被害があまりにも大きいためにメーカーが「オーバーフロー管補強ソケット」を提供してDIYで修理してもらうということを避けたいのではないかと思います。ボールタップを交換する難易度と比べればさほど難しいとも思えないのに公式HPからの情報提供がないあたりはそのような思惑があるのではないでしょうか。

その一方で、これだけユーザが困っているのに何も情報が出てこないというのはソーシャルな世の中に逆行している部分もあると思います。自分だけが壊れているならまだしも、他のユーザからも故障の声が数多く上がっているとなればメーカーが不良品を作りこんだとみなされても仕方ないでしょう。公式HPより「オーバーフロー管を折る人が多いのでくれぐれも注意」という情報と、「もし折ってしまった場合の元栓を閉め方」と、「緊急時の流し方」あたりは情報提供しても互いに損はないように思います。

更に望ましいこととしては予防交換を提供してくれることですね。消費者の目線からすれば無償で提供されるのが一番嬉しいことですが、メーカーとしては思い切りのいることでしょう。しかし思い切らなかったとしたら、痛い目にあったユーザは関係者でもない限りは間違いなく競合他社の製品を選ぶと思います。ですので折衷案としては自転車屋さんの「サイクルベースあさひ」が行なっている390円の点検サービスのように壊れる前のトイレを対象にして安価に部品一式の予防交換を提供してはどうでしょうか?

オーバーフロー管の破損に限らず、ボールタップのチェーン切れやピストンからの水漏れ、各種パッキンの劣化は発生するものです。一度発生してしまうと不便ですので修理業者を呼びつけるときはついつい救急扱いにしたくなるので場合によっては1万円コースとなってしまいます。しかし予防交換なら事前にWebから予約することができますし、その際に型番を入力するようにすればあらゆる修理に対応するための部品を積んだ車で向かう必要がありません。例えば3000円、5000円、1万円くらいの料金体系で便器をリフレッシュするサービスがメーカー公式に提供されるならば希望者もいるのではないでしょうか。

(もちろんオーバーフロー管の破損率が高く製品不具合であることが明確ならばそのことはリコール対応としたほうが誠意あると思いますが発生率がわからないためになんとも言えません)

最後に話が少し変わるのですが、私は東日本大震災前に家を買ったのですがトイレはタンクレスにも大幅な節水タイプにもしませんでした。なぜならば事前にネットを調べた限りでは詰まりトラブルが多く、また、停電時および断水時の運用が面倒なことがわかっていたからです。幸いにも私が住む地域は震災時にも停電・断水が発生しませんでしたが、もし起きていたとしてもさほど困ることはなかったことと思います。もちろん限りある水資源を大切にしなければならないという気持ちは強く持っていますが、今はまだ節水トイレも発展途上ではないかと思っています。他のことで大変なときに下の画像のような運用を強いられたら余計に参ってしまいそうです。

http://www.toto.co.jp/News/dansui_teiden/ より

しかしこのような難しさを持つ製品を扱い、更に進化させることを諦めない日本のトイレ関連メーカーには本当に頭が下がります。きっと震災の教訓を受けた新製品も投入されてくることでしょう。楽しみです。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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