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ビジネスメディア誠にこんな記事がありました。

Business Media 誠:相場英雄の時事日想:なぜマスコミは“言葉狩り”記事を掲載するのか (1/3) http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1207/12/news005.html

確かにマスコミが積極的に言葉狩りをするような状況は多くなっているように思います。その一方で、自分自身が言葉狩りと同じような構図をビジネスの場面で作っていないかどうか、気になりました。

ビジネスの場面では互いが対等に接することができる場合もあれば、そうではない場合も少なくありません。特に、パワハラが発生しやすいような条件では言葉狩りに近いことが多く起きているように思います。

例えば今は新入社員が配属されてしばらく経った頃になりますが、(システム業界では今が新入社員の現場配属の旬かもしれませんが)上司や先輩は新入社員に対して絶対的に強い立場にいます。これは客観的にそうであるという意味ではなく、また、上司や先輩自身がそうならないよいうに気をつけていたとしても、新入社員にとってはそのように感じられるという意味です。

そのようなときに、例えば語尾の「思います」を優柔不断の現れだとか、「たぶん」を憶測で発言するな、根拠はなんだ、とか、そのような言葉尻を捉えて咎めることはデメリットのほうが大きいのではないかと思います。もちろんお客様が不快に思わないようにという思いもあるでしょう。しかしそれは発注者と受注者の間柄で対等の関係を築けていない問題が未解決のままで新入社員に持ち込まれていることの現れであるように感じます。

言葉遣いというのは比較的簡単に直せるものですから、早めに直してあげるのがためになるかもしれません。しかし、言葉遣いで起こされる印象の低下と、議論の本筋で的を外すことによる印象の低下があるとすれば、それはもちろん後者のほうが重い話であるはずです。にもかかわらず、言葉遣いをチクチクと事あるごとに持ち出せば、限りある頭の働きがそちらに割かれてしまい、せっかくの新入社員期間というスポンジのように吸収力の高い期間がもったいなくも正しい日本語の習得のために費やされてしまいます。

もっとひどい場合には、「最初にどちらが上の立場かを分からせてやれ」という悪習を引き継ぎ、相手が反論できないような、それでいてよく陥りがちなビジネスルール上の過ちや敬語について必要以上に否定、罵倒を繰り返すというまさしくパワハラそのものの行為も存在します。

もちろん、限度はあって、「自分的には」とか「よろしかったでしょうか」というように多くの人がおかしいと感じるような言葉は改めるべきであると思いますし、接客業のような業種によってもこのあたりの厳しさは大きく変わってくることであるでしょう。お客様にクセのある仕事では、最初に言葉遣いが悪ければ仕事にもありつけないような事情もあるでしょうから、それはしかたのないところかもしれません。しかしそのような状況にないのであれば、まずは大目に見てあげるところからスタートし、その期間はお客様の前にあまり出さないというやり方もあるかと思います。

まとめに、このような情景を仮定してみるのはいかがでしょうか?

上司のAさん「その語尾の『じゃないかと思います』ってのは肯定してるのか否定してるのかどっちなんだ」

新人のBさん「文脈からしたら肯定してることなんて誰でもわかるだろう。揚げ足とってる暇があったら議論に集中したらどうだ!日本語のこと偉そうに語ってるけど『話の腰を折る』って言葉は知ってるか?」

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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