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先日こんなエントリを書きました。

満月過ぎの蟹のようなWebサイトが増えている:一般システムエンジニアの刻苦勉励:ITmedia オルタナティブ・ブログ
http://blogs.itmedia.co.jp/yohei/2010/09/web-feec.html

同じことを感じていらっしゃった方が少なからずいたようで、一部の方からは反応をいただきました。自分も何やら気持ち悪さを感じ続けていて、数日に渡って注意深く観察したところタイトルのような結論にいたりました。

人間がスポンジWebサイトを見て気持ち悪さを感じる理由はひとつです。そのWebサイトはgoogleに特化した構造にはなっていますが人間用に作られていません。しかしgoogleはサイトの滞在時間やサイト内の遷移回数等を参考にしていると言われているため、まったく意味のないコンテンツにすることもできません。そのためgoogleを強く意識しつつ、必要最低限だけ人間を足止めすることになります。

SEO対策の被リンク用Webサイトといってもわかりにくいので解説をしますと、SEO業者が「あなたのWebサイトを検索エンジン上位に表示させるために私の持っているWebサイト群からリンクして差し上げます」という理由で用いられるWebサイトです。それ自身が直接的にアフィリエイト収入を稼ぐことはありません。

手始めに、SEO業者は上述のようにgoogleと人間の双方に強く、また特定の分野に強いWebサイトを多数構築します。重要な点として、独自ドメインであることと、ドメインに紐づくIPアドレスが分散していること等が挙げられます。また、オリジナルコンテンツであることも重要です。これらが集中していると、SEO目的のWebサイトとみなされてまったく効果がなくなります。

そしてあたかも独立したWebサイトが互いを信頼しあって相互リンクを貼ったように、かつ怪しくない範囲内でそれらのサイトをリンクし合います。場合によってはQAサイト等の回答に書き込むなども行われるようです。

そうして特定の分野で上位に表示されるようになれば、そのサイトが悪性と判定されない程度に被リンク用Webサイトとしての機能を発揮し始めます。すなわち、業者はgoogleにバレない範囲で手持ちのSEO対策用Webサイトに顧客のWebサイトのURLを載せるという形になります。場合によってはステルスマーケティングのように「体験」を装うような手口もあるかもしれません。

残念ながらこれらはSEO業者を捕まえて直接聞き出したわけではありません。ですので私の被害妄想である可能性があります。しかしSEO業者の「弊社のSEO対策が信頼できる理由」というような資料を読んでいると、その理由のひとつひとつが数多く存在するスポンジWebサイトとの関連を感じさせます。

またスポンジWebサイトは特定の分野に偏在しているように見受けられます。例えば住居関係で業者に発注するようなもの(塗装やリフォーム)、健康(病名や健康食品)、中古車、資格などです。これらの分野は小規模な業者が多い市場でもあり、SEOに力を入れる人も多いのではないかと推察されます。

ひとつ証拠ともいえるものを掴むこともできましたが、残念ながら営業妨害になるかもしれずここで公開することはできません。それは複数のまったく異なる分野のWebサイトに入った共通の文言でした。どうやらその業者は検索エンジン上位になったサイトに「このサイトは●●のSEO対策を導入しています」というような旨の文言を入れることで宣伝を兼ねようとしているようでした。その文言をまるごとgoogleに入れてみると、極めて多彩な分野にまたがって典型的なスポンジWebサイトが大量に発見されました。

これがそうですよ、と名指しでリンクすればきっと気持ちを共有できると思いますが、法に触れているわけでもない他人さまの商売を邪魔するようなことはできませんので奥歯に物が挟まったような感じになってしまいました。気持ちは伝わりましたでしょうか?

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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