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国勢調査が始まりました。配布枚数は7700万枚とのこです。

インターネットでも回答できるとのことなのでそうしてしまおうかと考えています。まだやっていないのですが、早いところ済ませても5分はかかると見ています。

7700万×5分を計算すると6,416,666.67時間=640万時間です。

ややハードな開発を想定し月の労働時間を200時間とすると、640万時間は32,000人月になります。これだけあればいろいろなものが作れそうです。単価を人月100万円とすれば320億円ですね。

また、7700万分を1億2000万人で割ると一人当たり0.64分となります。

これは1年365日を525,948.766分とすると、0.64分は1年の1.21684856 × 10^-6となります。日本のGDPにかけると6.5億円となります。

320億円という数字は国勢調査に要する時間をすべて生産性の高い人で費やすような想定で計算したものです。

6.5億円という数字は赤ちゃんから老人まで、寝ているときも起きているときも全部ならしてGDPが生み出されると考えた場合に、国勢調査によって圧迫される部分の数字です。

もちろん非常に乱暴な試算であることは間違いありません。例えばGDPから割り出したほうで言えば365日24時間何かを生産し続けることなどありえませんので、1日のうち8時間だけ働くとすれば3倍の19.5億円に、365日中200日だけ働くとすればさらに1.825倍で35億円ほどと見てもいいかもしれません。そもそも7700万枚すべてが回答されないでしょうし、5分という試算がめちゃくちゃかもしれません。

しかしこうした試算をしてみると、何かをするには犠牲となる人手、IT業界で言われるところの体力が必要なことを再認識させられます。かといって国勢調査をやめたほうがいいということはまったく考えていません。私はここから2つのことを考えました。

1つには企業内のような余裕の少ない組織内で行う国勢調査的なことについてです。

国勢調査は暇な時間に適当にやっつけるため実際には何かが犠牲になることはありません。良くないことですがやめてしまうこともできるので私生活を捧げる人は少ないでしょう。しかし基本的に労働時間として拘束されている会社の時間内で、アンケートやらセルフチェックやらを後付でいきなり「やってください」とお願いすることは、ところてん式に何かが犠牲になっているのではないかと思います。うまく回っているように見えても残業代が増えているかもしれませんし、残業代を合法的にか非合法的に支払っていない会社でも本来改善やお客様満足度の向上に費やされた何かが消滅してしまっているかもしれません。

もう1つは、社会に対して支払うコストについてです。

我々は税金さえ払えば基本的に警察官が治安を維持してくれますし、自衛隊が国防を担ってくれる社会に住んでいます。ゴミも勝手に回収されますし、道路の穴もいつか塞がります。しかし身近なところに目を向けてみると、たとえば近所のゴミ捨て場の掃除が当番で回ってくることもあれば、一斉草むしりをやる休日もあります。こうしたことから公的なサービスは税金で、身近なサービスはコミュニティでというように思い込んでしまいがちですが、実は公的なサービスについてもいろいろな負担をしているところがあるかもしれません。例えば納税のためには多くの労力が必要なことはよく知られているところですし(取り戻そうと努力をするためかもしれませんが)、市役所で重要書類を受け取る際には身分証を提示しなくてはなりません。勝手に電波を出すとめちゃくちゃになるので許認可が必要ですし、考えてみれば自動車の運転免許証だってそうかもしれません。また、飛躍がある例えとは思いますが、社会で何かつまづいてしまった人を救済するような仕組みがなくて、そういった人が道を踏み外して犯罪に走ってしまった場合にその被害を受けてしまうということも、社会全体に対して支払うコストと言えるのかも知れません。

そのようにして見れば国勢調査というものが自分と社会との位置づけについて考えさせてくれるものであるように感じ、例年以上に意義深く思います。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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