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ウッフィー・ローンダリングの3つのステージ

  1. プレイスメント(隠匿) これはウッフィーを誰かに託すこと
  2. レイヤリング(濾過) これはウッフィーが核心に迫りすぎないよう、覆いをかけること
  3. インテグレーション(同化) これはウッフィーが誰かに届けられること

ウッフィーとは「相手にとって何の役に立つの?」すなわち聞き手に対するメリットのことです。世の中のすべてのことを正直に伝えられればいいのですが、背景を持つ人にとって実名ブログでおおっぴらに語ることが難しい話題があるのもまた事実です。

  • たとえば電気通信事業者(ワイヤレス系)の方が周波数のオークションについて語るとか
  • たとえば通信系に強いSIerの方が次世代のネットワークについて語るとか
  • たとえばデータベース屋さんがクラウドベンダー向けDB基盤としての立ち位置について語るとか

あくまで例としていくつかあげましたが、実名ブログでこういった踏み込んだ話題に触れるといくら私見であると強調しても会社としての意見と受け止められかねませんし、肩書などから先入観が生まれて「きっとこういう意味に違いない」とミスリードを招きやすくなってしまうこともまた事実です。

かといってウッフィーの視点からすれば「これはみんなに知ってもらいたいな」という事柄もまた存在します。そういったときはその話題に興味を持ってくれそうな誰かに代わりにエントリにしてもらうとか、ブログへの投稿意欲をかきたてるトークをして(そして出所は内緒と約束を忘れず)エントリに書いてもらうなどすると自分の姿を隠したままで世の中に情報をリリースすることができます。

過去にオルタナティブブログの飲み会では「オフレコで」とか、両手をチョキチョキさせたりしながら口頭で情報伝達がなされるところを何度か見たように思います。もちろん、これらはいわゆる守秘義務やインサイダー規制に引っかからないような次元の話であることは言うまでもありません。

また、これらは世の中を混乱させようとか、自分に利益を誘導しようとか、そういった性質の試みでもありません。知っておいてもらいたいけれども、自分のブログから伝えるには課題がある。そういった場合に誰かに伝えてもらう=「ウッフィー・ローンダリング」というやり方が成立するのだと思います。

何の脈絡もないコミュニティからいきなり濃い情報が湧いてくれば「なんだ?」と思ってしまいますが、オルタナティブブログではITに関しては猛者が揃っていますし、5年の間にその人脈は累々と張り巡らされています。ですのでITに関してはよほどのエントリが書き込まれようとも情報の出所が簡単に割れてしまうことはありません。

ただしその一方で、肩書のある人でもtwitterの場合はかなり踏み込んだ発言をしても「私見」として処理されやすいというのはおもしろい現象であると思います。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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