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書籍の電子化というとコンテンツの値段が下がって出版社が大変になるという話を聞きます。企業向けの書籍はどうでしょうか。

多くの企業では既にソフトウェアライセンスの管理体制が作られています。あんな面倒なことをしなくてはならないのは企業にとって確かにマイナスですが、違反は法に触れますし、損害賠償請求を受ける可能性もあります。また、複雑なライセンスを整理することで過剰な支払いを抑制することもできます。

しかし企業で購入する書籍が整理されているという話はあまり聞きません。ひとつの部署や事業所内でExcelやNotes等を用いた蔵書管理をしているという話を聞くことがあっても、目録を整理して「企業内図書館」化するような事例を私は知りません。

むしろいくつもの部署で何冊もの書籍を購入して死蔵されているというケースが多いのではないでしょうか。また、一度購入した書籍を(最近個人では流行中ですが)スキャナーで読み込んで共有するということはあまり行われていないように思います。その代わりに何冊か読んで詳しくなった人がWebの情報をつなぎ合わせ、誰でもタッチできるメモを作成するといったケースはよく見られます。(これ以上詳しく知りたい方は書籍をお貸しします、というコメント付きで)

企業で読まれるような専門性の高い書籍は書店の取り扱いが少ない、どんな本があるのかすらわからない、など入手の問題も抱えています。

これが電子化によりどのように変わるでしょうか。

探しやすく、一瞬で届き、iTunesのように保有状況と利用状況が把握でき、多くの人がその内容を共有することができるようになります。都心のオフィススペースの価格からすれば、書庫を圧縮出来ることも非常にメリットが大きいと思われます。既に紙媒体を所有している企業から古本を回収し、新規で電子書籍を購入した場合よりずっと安く電子データを販売するようなことも考えられます。さらに会社の貸与するiPadやKindleで持ち帰ることができるとしたらかなり利便性が向上するのではないでしょうか。

価格設定については様々な考え方がありそうですが、1冊買っていくら、複写を申請する場合はページあたりいくら(何セットでも作成可)というあたりが良いのではないかと思います。おそらくチェックインチェックアウトまで管理することはできますが、利便性を損ねれば損ねるほど購入と利用が減少するものと思われます。

出版社が司書的な立ち位置になることで、企業への的確なリコメンドも可能になりますし、企業のニーズを汲み取った新本の企画も可能になるでしょう。全国で余りまくっているという噂の司書さんにも朗報かもしれません。

学生だったらちょっと起業を考えていたかもしれません。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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