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インターネットはもはや基本的な権利であるという認識が増えているようです。

インターネットへのアクセスは基本的な権利であると、約80%の人が考えている。BBC World Serviceがこのような調査結果を発表した。

『日本人の84%、「ネットなしでは生きていけない」 - ITmedia News』 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/10/news014.html

インターネットの自由が守られている国では基本的に誰もが好きなことを述べ、好きな情報を読むことができます。もちろん守秘義務に違反することや名誉を毀損することはできませんが、それは現実の世界でも同じことであると言えるでしょう。

しかし現実の世界と違ってネットが素晴らしい特徴がひとつあります。現実では単に情報を多く持っているだけでは他人に役立ててもらうのが難しいですが、ブログなどにまとめると世界に向けて情報を発信することができ必要とする人にキャッチしてもらえるというところです。

例えば出版を考えると費用を自己負担するか出版社を見つけなくてはなりません。なんとかそこまで達成したとしても、書店で眠ってしまう可能性もあります。図書館に入ったとしてもタイトルが興味を引かなければ内容を読んでもらうことができません。

一方でネットでは検索エンジンがタイトルだけでなく内容までをインデックスしてくれます。またリンク解析をして多くの人にリンクされているサイトは検索キーワードに対して見えやすい位置に表示されます。パーマネントリンクがあればメールやtwitterなどで次々と紹介されていくこともあるでしょう。

現実の世界とネットの世界を比較すると、現実世界はタイトルや筆者のバックボーンなどの印象がモノを言う世界であり、ネットでは印象も重要ながら中身の情報の価値が重視される世界であると言うことができます。テレビ番組を見ていると専門家とも思えないような中途半端な知識の人が話しているのを見ることがあります。そういった方が中途半端なブログを書いていても被リンクや被ブックマークが少なく、むしろ批判的なコメントが寄せられているという現象からもこういった傾向が感じられます。

さてtwitterはどうでしょうか。twitterではフォローという仕組みがあることでインターネットより現実に近い位置のコミュニケーションが行われているように思います。フォローをするときにはその人の自己紹介と直近の発言を参考にすることが多いでしょう。まず自己紹介が立派な人であればフォローされやすいと言えます。一方で発言の内容については「つぶやき」の気軽さから、直近のいくつかのtweetを見て「この人はすごい」と思えるユーザは少ないでしょう。そうすると現実の知り合いと、その人の知り合い、フォロワー数が既に多い人、気になる話題を専門に扱う人、というようにフォローしていくことになります。

結果として、現実で知り合いの多い人、フォロワー数が既に多い人は非常に多くのフォローを集めます。専門に特化した人はパイが小さいですのでフォローされる数にも限界があります。このような流れが進むと、インターネット上ではあるけれども現実世界での肩書がモノを言う世界になるのではないかと思います。

そして更に、ピラミッドの上の方のひとはちょっと疑問に思ったことを投げ込めば多くのフォロワーからの反応を得られて面白いですし、知識も集まります。それをまとめれば有用な情報になりますので、tweetの質も向上していきます。その一方で一般のユーザは質問が返ってくるかどうかは運次第の「ゆるさ」が普通ですし、そういった質問の一つ一つも企業アカウントによって情報収集のターゲットにされてしまうことがあります。

そう考えるとtwitterはピラミッドのような構造をしていると言えるかもしれません。ただ私は上の方の人を批判するというつもりはありません。上位の人をフォローしていれば、一人一人の小さなつぶやきが統合されて有用なつぶやきとなって返ってくることが多いと捉えれば非常に大きな価値であると思います。しかし多くのtwitter本にあるように、ふと誰かがくれた情報が有意義でした、というようなシチュエーションを低フォロワー数で再現しようとすれば、相当な時間とフォロー数を必要とするように思います。

twitter以前の日本のインターネットではオルタナティブブログのように顔を明かして実名(顕名)で書くという文化があまり定着していませんでした。ですのでインターネットの情報は玉石混交で扱いづらいものであったように思います。しかしtwitterは現実世界の肩書きを適度に取り入れたピラミッド構造を成すことで、有用な情報が”出やすい”状況になりました。以前はよく世の中を騒がせたデマ問題やなりすまし問題も、タイムラインの真っ只中では踊らされてしまうこともありますが、しばらく待っているとハッキリしてくることが多いです。

きっとこれから一般の人にとって情報が”出やすい”のではなく”引き出しやすい”に向かって進化していくことでしょう。とても楽しみです。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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