« 2010年1月4日

2010年1月6日の投稿

2010年1月8日 »

森崎さんのブログに興味深いエントリがありました。

http://blogs.itmedia.co.jp/morisaki/2010/01/--d282.html

レビューの優先順位を決める技法:森崎修司の「どうやってはかるの?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ via kwout

はてなブックマーク livedoor クリップ Yahoo! ブックマーク

 

設計ドキュメントのうち、実装時に生まれたバグがテスト工程で発見された場合に修正コストが大きくなりそうなものから優先的にレビューしていってはどうか?ということが考察されているようです。

設計ドキュメントのうちどこからレビューしていくかということについて、以前自分はこのようなアイデアを思いついたことがあります。

ドキュメントを作った時の集中度合いはひょっとしたら誤字脱字(またはオートシェイプのズレや表記ゆれ、段落など体裁の不均整)などに現れるのではないか?

もしこのとおりであるならば、全体を適当なブロックに分割した上でドキュメントの誤字脱字を集計することがレビューの最初の作業になります。ブロック内の文字数における誤字脱字の割合などを数値化し、「やる気の無い箇所」を発見して優先的に処理する(もしくは処理せずに差し戻す)という対応をとることができるのではないでしょうか。

これは以前に森崎さんが案内されていたアジャイルインスペクションの勉強会に参加した際にソニーの永田敦さんと森崎さんから教えていただいたことがヒントになっています。また、私自身の実体験として

  1. レビューの参加者が多いと誤字脱字などの枝葉末節は指摘しづらい(しかし指摘しないといつまでも残っていることがある)
  2. 誤字脱字の多い箇所はまずいことが多い(反面、素晴らしいアイデアが生まれたノリで書き進めた場合もある)
  3. (目上の人の誤字脱字は口頭だと意外と指摘しづらい。多いと一層。)

ということがあります。よって実際に行う場合は

  1. できるだけ多くの人で誤字脱字をパラパラーっと探す(重複するように)
  2. 検索結果を集計する
  3. スコア毎にレビューの優先順位を決める

という形になるのではないかと思います。これにより事前に資料を読ませることができます。「どうせバレないので資料を読まない」という状態でレビューに参加する人を減らせるかもしれません。また、誤字脱字の指摘からレビューに入るまでに文字の校正だけ先行して行っておけば、設計ドキュメントの内容に集中できると言うメリットもありそうです。

ひょっとすると上席者や学校の先生などは自然にやっていることなのかもしれません。文章を書くのが仕事である記者の方はどうなのでしょうか?

yohei

クラウドコンピューティングは私たちIT産業の従事者を一度救ってくれたのかもしれません。

昨年は大変な不況でした。IT、非ITのあらゆる業界で商売が縮小したように思います。そんな中でIT業界はクラウドという道標に沿って前向きに進むことができたのではないでしょうか。

クラウドコンピューティングというビジョンがあり、またgoogleやamazonといった企業がクラウドを部分的ながらも現実のものとしてくれたことで私たちは目指す方向を見失わずに済みました。大変な不況下で、皆が目指すべき方向をバラバラに定めていたとしたら、大きな混乱と損失が生じたように思います。しかしながらクラウドの熱は国を問わず、データベース、アプリケーション、ネットワーク、ハードウェアに留まらずデータセンターのあり方から開発手法に到るまでIT産業の従事者(IT技術者のみならず)をすべて巻き込んで活発な議論が行われました。

同様のことがweb2.0の時にもあったように思います。web2.0の渦に巻き込んだ要素はクラウドほどではないかもしれませんが、webサービスを中心とした構成、コモディティ化したサーバの複数台分散稼働による高可用性とハイパフォーマンス、オープンなアーキテクチャなどはweb2.0の成熟とともに花開いていったように思います。もちろんそれ以前の積み重ねがあったことは言うまでもありませんが、各個人が温めていた技術がweb2.0という目標に向かって怒涛のように押し寄せた、そんなイメージがあります。

何かの技術や産業を育てたい時、公共事業などの形で手元に落ちてくれば言うことはありません。アメリカとソ連の宇宙開発であれ、暗号解読のコンテストであれ、そういった機会から新しいものが生まれた例は枚挙に暇がありません。しかしながらそういった状況に刺激を受けるのは直接的な関係を持つ人だけですし、巨大な計画の中で、決められたタスクに挑みます。それと異なり、ITの世界に時折訪れる流行り言葉は際限なく多くの人を感化し、自発的に考えさせ、物事に取り組ませ、はたまた全然関係ない人と人とをくっつけたりします。

クラウドコンピューティングは絵に描いた餅と言われることもあります。しかしながらITに関連する人々がアイデアと技術を持ち寄り、議論し、クラウドの実現に向かって努力するそのプロセスこそが尊いのであり、クラウドコンピューティングが定着するかどうかはまた別の問題であるのではないかと思います。

何年かしたら、「残業禁止で時間が余っててね。それで家に帰って毎日あのプログラムを書いたんだ」なんて具合に素晴らしい技術が生まれた背景を振り返ることができるかもしれません。まだすぐに景気が回復しそうにありませんが、そういった状況だからこそクラウドコンピューティングのような明るいビジョンに向かい、一人一人ができることをしていきたいものです。

yohei

« 2010年1月4日

2010年1月6日の投稿

2010年1月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
yohei
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ