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森崎さんのブログに興味深いエントリがありました。
設計ドキュメントのうち、実装時に生まれたバグがテスト工程で発見された場合に修正コストが大きくなりそうなものから優先的にレビューしていってはどうか?ということが考察されているようです。
設計ドキュメントのうちどこからレビューしていくかということについて、以前自分はこのようなアイデアを思いついたことがあります。
ドキュメントを作った時の集中度合いはひょっとしたら誤字脱字(またはオートシェイプのズレや表記ゆれ、段落など体裁の不均整)などに現れるのではないか?
もしこのとおりであるならば、全体を適当なブロックに分割した上でドキュメントの誤字脱字を集計することがレビューの最初の作業になります。ブロック内の文字数における誤字脱字の割合などを数値化し、「やる気の無い箇所」を発見して優先的に処理する(もしくは処理せずに差し戻す)という対応をとることができるのではないでしょうか。
これは以前に森崎さんが案内されていたアジャイルインスペクションの勉強会に参加した際にソニーの永田敦さんと森崎さんから教えていただいたことがヒントになっています。また、私自身の実体験として
- レビューの参加者が多いと誤字脱字などの枝葉末節は指摘しづらい(しかし指摘しないといつまでも残っていることがある)
- 誤字脱字の多い箇所はまずいことが多い(反面、素晴らしいアイデアが生まれたノリで書き進めた場合もある)
- (目上の人の誤字脱字は口頭だと意外と指摘しづらい。多いと一層。)
ということがあります。よって実際に行う場合は
- できるだけ多くの人で誤字脱字をパラパラーっと探す(重複するように)
- 検索結果を集計する
- スコア毎にレビューの優先順位を決める
という形になるのではないかと思います。これにより事前に資料を読ませることができます。「どうせバレないので資料を読まない」という状態でレビューに参加する人を減らせるかもしれません。また、誤字脱字の指摘からレビューに入るまでに文字の校正だけ先行して行っておけば、設計ドキュメントの内容に集中できると言うメリットもありそうです。
ひょっとすると上席者や学校の先生などは自然にやっていることなのかもしれません。文章を書くのが仕事である記者の方はどうなのでしょうか?
クラウドコンピューティングは私たちIT産業の従事者を一度救ってくれたのかもしれません。
昨年は大変な不況でした。IT、非ITのあらゆる業界で商売が縮小したように思います。そんな中でIT業界はクラウドという道標に沿って前向きに進むことができたのではないでしょうか。
クラウドコンピューティングというビジョンがあり、またgoogleやamazonといった企業がクラウドを部分的ながらも現実のものとしてくれたことで私たちは目指す方向を見失わずに済みました。大変な不況下で、皆が目指すべき方向をバラバラに定めていたとしたら、大きな混乱と損失が生じたように思います。しかしながらクラウドの熱は国を問わず、データベース、アプリケーション、ネットワーク、ハードウェアに留まらずデータセンターのあり方から開発手法に到るまでIT産業の従事者(IT技術者のみならず)をすべて巻き込んで活発な議論が行われました。
同様のことがweb2.0の時にもあったように思います。web2.0の渦に巻き込んだ要素はクラウドほどではないかもしれませんが、webサービスを中心とした構成、コモディティ化したサーバの複数台分散稼働による高可用性とハイパフォーマンス、オープンなアーキテクチャなどはweb2.0の成熟とともに花開いていったように思います。もちろんそれ以前の積み重ねがあったことは言うまでもありませんが、各個人が温めていた技術がweb2.0という目標に向かって怒涛のように押し寄せた、そんなイメージがあります。
何かの技術や産業を育てたい時、公共事業などの形で手元に落ちてくれば言うことはありません。アメリカとソ連の宇宙開発であれ、暗号解読のコンテストであれ、そういった機会から新しいものが生まれた例は枚挙に暇がありません。しかしながらそういった状況に刺激を受けるのは直接的な関係を持つ人だけですし、巨大な計画の中で、決められたタスクに挑みます。それと異なり、ITの世界に時折訪れる流行り言葉は際限なく多くの人を感化し、自発的に考えさせ、物事に取り組ませ、はたまた全然関係ない人と人とをくっつけたりします。
クラウドコンピューティングは絵に描いた餅と言われることもあります。しかしながらITに関連する人々がアイデアと技術を持ち寄り、議論し、クラウドの実現に向かって努力するそのプロセスこそが尊いのであり、クラウドコンピューティングが定着するかどうかはまた別の問題であるのではないかと思います。
何年かしたら、「残業禁止で時間が余っててね。それで家に帰って毎日あのプログラムを書いたんだ」なんて具合に素晴らしい技術が生まれた背景を振り返ることができるかもしれません。まだすぐに景気が回復しそうにありませんが、そういった状況だからこそクラウドコンピューティングのような明るいビジョンに向かい、一人一人ができることをしていきたいものです。
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