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名古屋に五つ葉文庫という古本屋さんがあります。ここがユニークなのは「書き込み」のある古本を取り扱っていることです。

それと知らずに買った古本に書き込みがあると腹が立ちますが、それでも内容によってはふとなごんだ気分になれるものです。以前にブックオフで買った100円本でかなり最後のほうまで読み進めたところで唐突に一文だけチェックが入っているのを見かけたことがあります。その人はなぜそこに線を引いたのだろうかと考えてしまいました。

さてこれをKindleで実現でき、さらにそれがインターネットで共有(といっても同じ本を買った人だけ)できたとしたらどのような世界がまっているでしょうか。少なくとも今のニコニコ動画の「非同期で同期」という楽しみ方と同じ楽しみ方は約束されています。自分が小学生のときは男同士何人かで集まってジャンプを読みドラゴンボールなどのページをめくりながら「これゴクウ負けるんじゃね?」「主人公が負けるわけないよ」「ページめくるの早い」みたいにガヤガヤとやりました。難しい本、おもしろい本、心が動く本、つまらない本、色々な本があると思いますが、自分以外の人がその部分を読んでどのように感じたかを知る方法があれば素晴らしいと思います。

あと本を汚したくない人には最高の機能ですね。自分はよほどのことがない限り本に線を引かないことをポリシーとしています。付箋は張りますが、それは剥がせるからです。線を引くのは非可逆的な行為です。次に読むときは線を引いた部分が無価値になっているかもしれません。あと、貧乏性だから高く売りたいです。そいういうわけで電子ブックはメモや付箋を本体と切り離して管理できるところに期待しています。

実際にはコメントを書き込むようなことは面倒ですしインターフェース上の制約がありますので実現が難しそうです。しかし付箋か蛍光マーカーに相当する機能ならば簡単に実装することができるでしょう。母の還暦祝いにプレゼントした電子辞書には付箋の機能がついていましたがとても便利でした。情報技術を駆使すれば既存の付箋を超える機能が生まれてくるでしょう。例えば付箋に属性をつけることにより複数の書籍に対して貼った付箋をグルーピングもできそうです。

もしこれを共有することができたらソーシャルブックマークのタグと同様の使われ方となり、書籍の読まれ方も革命的に変わると思われます。付箋に書かれたコメントを検索できるようにすれば、Googleブックのように丸ごとスキャンする労力と訴訟リスクを必要とせずに「こういうことが書いてある本を探したい」という要望をかなえることもできるでしょう。例えば自分は佐川さんのブログの影響で植物用のLEDライトを自作する方法を探していますが、それを誰かが貼った付箋から見つけることができるんではないだろうか、と考えています。付箋経由での書籍購入がアフィリエイトになるとしたら、図書館でいうところの「件名」をつける作業ををまさしくweb2.0的な手法により実現することができるのではないでしょうか。

もしこのアイディアが実現されたとしたら、自分はどんな本にどんな付箋を貼るのだろうと考えてみました。自分はパンダが好きなので漫画の中に登場する何気ないパンダ(笹の葉ラプソディでヒロインのTシャツに書かれていたようなやる気無いパンダ)を探したいですね。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

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