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ブログを書いたりtwitterをしたりすることは思ったよりも難しいことです。

芸能人のブログがすごく多くのアクセスを集めることはよく知られています。芸能人のブログの多くは読んでみるとほとんど何も言っていないような、いわゆる「うちの猫ちゃんがにゃー」みたいな記事が多いです。そのせいか自分も日常の何気ないことをつづれば多くの人に喜んでもらえるんではないか?と考えてしまう人がいるよう です。うちの会社もTwitterやろう!と簡単に考えるというのはその延長線上にあるといえるでしょう。

確かにその人と直接の知り合いならば平凡な日常生活で構成されたブログを読んでも楽しめるかもしれませんが、特に知り合いでもない人のまったく普通の生活を知ってもあまりおもしろいものではありません。芸能人ブログは知らない一面を知ることができるから読んでいて楽しいんだと思います。

また、芸能人の方は基本的にテレビの前で発言することに慣れています。ブログでもタブーを上手に避けますし、読んでムカムカする内容はやはり少ないです。個人の方のブログだと、批判スタイルの記事を読んでいてこっちまでイライラしてきてしまうことがありますが、私が最近読んだ芸能人ブログにあった「今日は腹が立つことがありました」という内容の記事はなるほどねーと感じて終わりました。特に不愉快になることはありませんでした。生放送をこなしたり、収録前に互いに楽屋に挨拶に行くなど大変な世界と聞きますのでブログなんてのは朝飯前なのかも知れません。たまに炎上してニュースになりますが、あれは芸能人が不用意な発言をしたことで炎上しているのであり、一般の人のブログではかなりきわどい発言をしても炎上することはありません。

そんな対人能力の高さを普通の人がすぐに真似できるものではないようです。まだ純然たる個人ブログでやっている分には害になりませんが、個人の域を超えると問題になるかもしれません。少し前にヒューマンスキルに関するアドバイザーとしてフリーの講師をしていらっしゃる方のブログを読みました。主に人と会ったときの印象を良くするための助言が仕事であるようです。講演の依頼などを受けつける公式サイトには華々しい経歴、プロが撮ったと思われるしっかりしたプロフィール写真などが飾ってあってプロらしい仕上がりで立派なものでした。

ところがブログがえらい適当で、床屋の政談のような、正直に言ってあまりおもしろくない話がだらだらと続くいたり、個人的な友達にしかわからないような内輪受けのエントリが多かったり、最新の記事が半年くらい前だったり、中断の直前の記事が「すっかり間が空いちゃいましたー。反省☆。これからは週1で書きますね♪」のような記事だったり、「先生の講義おもしろかったです」というコメントを放置したまま別のコメントだけ返事していたりと、まぁ色々と気になるところがありました。

印象を良くすることで飯を食っている方ですので、きっと現実の世界で会ったらすばらしい印象を受ける方なのだと思います。しかし自分がインターネットで受けた第一印象は悪かったです。現実の世界では最初の15秒くらいですべてが決まると言われます。しかしインターネットでの第一印象が固まるにはしばしば一連の検索行動が伴い、その人への知的好奇心が満たされるまでに比較的長い時間を必要とするように思います。ざっくり見ても10倍の2分30秒くらいを要するのではないでしょうか。更に言えば印象を「保留」ということすらあるでしょう。皆さんも色々なことに「あとで」のタグをつけてソーシャルブックマークに入れておく経験があると思います。

現実では15秒だけ勝負すれば効果が上がりますので2時間コースの講習というのが仕事として成り立ちますが、インターネットではどこを見て印象を形成されるかわかりません。具体的には2分30秒でこんなところを見ることがになりそうです。

  • 公式サイト・ブログのチェック
  • 第三者(個人ブログや掲示板、ソーシャルブックマークでのコメント)をチェック
  • メディアのチェック

影響力は上から順番に大きくなるよう並べました。まず公式サイトはその人が自分自身をどう見せたいかがもっとも強く現れるはずですので、ここがメロメロだったらもはやそれで検索打ち切りで第一印象最悪で終了です。もちろんWebに詳しいかどうかや金をかけた作りかどうかはあまり重要でなく、ブログのエントリ内容やコメント対応などが中心になってくると思われます。それに加えて最新情報やスケジュールなどの更新頻度でしょうか。あとは本人がコントロールできない個人サイトやメディアから情報を集めて補完すれば第一印象の完成です。

ネットの第一印象の何が恐ろしいかというと、現実の第一印象がすっ飛ばされて会うより先に自分へのイメージを完成されてしまう点にあります。自分にも経験があるのですが、ブログを見てブログのイメージで話しかけられるとちょっと対処に困ることがあります。大きくズレたことはないですけれども、微妙にズレがあることがあり、「この人自分をどんな人間だと思ってるんだろう」と不安になりながら話すという珍しい体験をすることになります。

反対に普段現実で知り合っている人のブログを読むと「この人こんなに暗いことも考えるんだ」とか「めっちゃ明るいじゃん」という意外な発見もあるかもしれません。残念なことにこういったネットと現実の不一致について経験豊富な人は少ないため、普通のビジネス書などには対処法が書かれていません。特にネット上に理想人格を形成しようという意図など持たず、正直に書いていてもズレるものはズレるんですよね。

自分もたまに困るんですがどうしたらいいんでしょうか。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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