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オルタナティブ・ブロガーの森崎さんが講師をする勉強会に参加しました。色々と興味深い話をしていただいたのですが、なかでもプロジェクトのデータ(新規のお客様か、既存のお客様か?など)やバグ管理表を集積したところから相関ルールを導き出すというテーマがおもしろかったです。

例えに上がったのが、オムツとビールの話でした。オムツとビールの法則は、「金曜日にオムツとビールがセットで売れる」というものです。ウォルマートの売上げ記録から見つかったものでして、データマイニングの代名詞的存在と言われます。このように小売店から収集される大量のPOS情報から、なかなか人間では思いつかないような法則性を抽出することはマーケットバスケット分析と言われます。

このマーケットバスケット分析のようなものを、システム開発の品質記録に対して行うものが森崎さんが所属するEASEプロジェクトの研究テーマの1つであるようです(違っていたらごめんなさい)。弊社を初めとして多くのソフトウェア開発関連業ではISO9001などに基づいた品質管理機構を備えています。品質管理の基本的な考え方として、プロセスの定義と、各プロセスでのアウトプットを蓄積するというものがあります。このアウトプットはPDCAサイクルに基づいて次の開発の糧となるようにフィードバックされるわけですが、本日森崎さんにお話いただいたような分析法は、そのフィードバックの質の向上に大きく貢献する分析法なのではないかと思いました。

オムツとビールが同時に売れるという事象は、分解してみなければなぜそうなるかがわかりにくいものです。実際は、オムツのパックは大きくて持ち帰るのが大変なので、購入を父親に任すことからついでに缶ビールを買ってしまうというように分析されます。そういった背後関係を見つけることができれば、オムツとビールの売り場を近づければ売上げが伸びるのではないか?という行動につなげる事ができます。

これがソフトウェア開発の現場でも起きるとしたら、どうなるでしょうか。たとえば、特定の条件化で作りこまれるバグは発見および修正に時間がかかるという法則が導き出されたとします。その背後関係を発見して洗い出す事ができれば、レビュー時に特定の項目を重点チェックさせるように指導することでバグの発生そのものを回避できるかもしれません。具体的には、新規のお客様で、HOSTのリプレースでメーカーを変更して再構築を行う場合、ある特定の規模よりも小さい修正を行うと油断で0c7が出やすい、などの法則が見つかるかもしれません。(この例は憶測・この場の思いつきに従って書いたものであり、森崎さんから紹介された事例ではありません)

このようにデータマイニングにより勝手に導き出された相関ルールは、複雑化するソフトウェア開発の流れを分解するとっかかりにちょうど良いように思います。「旦那さんがオムツを買いに行かされるからだ!」というように不具合の要因を見える化することで、ソフトウェア開発の品質向上に大きく寄与するのではないかと感じました。

森崎さん、本日は大変おもしろいお話を聞かせていただきましてありがとうございました。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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