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2007年9月9日 » |
先日、自分のブログで良い先輩とはどんな人だろう
ということを考えました。
そのエントリに対して弊社の先輩である吉川さんよりこんなコメントをいただきました。(抜粋)
先輩を早く「たいしたことないな」と思えるようになるのは大切なこと。
先達が10年かかったことを後輩が5年でやってこそ、世の中や組織が前進して良くなるのだと思う。
確かにこれがなくては進歩が止まってしまいます。
私は働き始めて5年ですので、30年前の職場の生産性と
今の職場の生産性がどれほど違うのかはわかりません。
例えば、事務系の職場であればコンピュータとプリンタの登場により、
昔と比べてかなり大きな事務処理能力が発揮されていると思います。
工場などの生産設備でも、機械の進歩や自動化などにより
歩留まりは向上していることでしょう。
そのような状況の中で、個々人の純粋な職務遂行力というのは、昔と比べて増えているのでしょうか。
便利な道具が揃ったおかげで個人からのアウトプットが増えただけで、
昔の人が同じ道具を使っていたとしたらもっとすごい仕事ができたかもしれません。
私は、ノウハウ(=KnowHow)やドゥハウ(=DoHow)が受け継がれた事によって
今の人たちは昔の人たちよりもたくさんの仕事ができるようになっているのではないかと考えます。
コンピュータとプリンタの登場は、莫大な量の紙資料を生み出しました。
それに伴い、「超整理法」のような整理技術が登場しました。
昔の職場では記録はすべて紙で保管されますので、今よりも紙だらけであるように感じます。
確かに公的な書類の控えなどは巨大な書庫に箱詰めで保管されるなどされたようです。
しかし現在の紙の消費量は昔よりも更に増加しています。
これは記録が電子化したことで保存媒体としての紙使用が減った一方で、
ちょっと印刷して個人に配布するような使用が増えたからです。
昔と比べてオフィス机が大きくなったとか小さくなったとかいう話は聞きませんので、
1人が保有できる紙資料の総量は昔と変わらないはずです。
そのため、現在では個人的に受領した紙資料をうまく整理する技術は重要なものとなっています。
そういった環境にいきなり放り込まれる新人さんは、
どうすれば良いか=KnowHowとして
『書類はグルーピングして時系列順に並べよう』
というレベルの知識よりも、即時的な実行手段=DoHowとして
『この引き出しにたくさんクリアファイルがあるから打ち合わせが終わったら
ファイルに資料を詰めて日付を書いてこの引き出しのこっちから順番に並べろよ』
というところまでを知りたがっています。
どうやって取り組んだらうまくいくか=KnowHowを聞いて自分なりの実行手段を
Try&Errorで探しているほど余裕がありませんので、
まず何をすべきか=DoHowを聞いて現場に立たなくてはなりません。
このように伝達が繰り返される中で優秀なDoHowが生き残って洗練されていくように思います。
これは資料の整理法に限った話ではありません。Eメールに目を向けてみれば
入社数年目の社員が役員を相手にメールを書く場面があったり、
昔なら専門の人に英文タイプを頼んでいた文面を、
自分で英訳してEメールしなくてはならない場面もあります。
オフショア拠点にいるインド人や中国人の開発技術者に開発を指示するような場面もあります。
こういった昔よりも厳しい環境に若手として飛び込んでいくためには、
先輩からの知識の吸収というのが何よりも大切であるように思います。
今ちょうど体操の世界選手権が開かれています。
何十年か前までは最高難易度がウルトラCと呼ばれていましたが、
現在ではスーパーEという技が最高難易度とされています。
また、一部の限られた選手だけが実現可能だった技も
トレーニングとコツさえ掴めば中学生や高校生でも成功できるものがあるそうです。
フィギアスケートでも、伊藤みどり選手が女子で世界初のトリプルアクセルを成功させて以来、
トリプルアクセルができる選手は多くはないものの、それだけで優勝が左右されるほど
重要なジャンプではなくなりました。飛び方や、飛ぶためのトレーニングが受け継がれて
飛べる選手が増えたからであると思います。このような背景により、
体操やアイススケートの世界では、未だに最高得点が塗り替えられ続けています。
一方、世界陸上での100メートル走は世界新記録に至らない記録での金メダルでした。
おそらく、100メートルを走るためのトレーニングやフォーム研究は
既に行き着くところまで至ってしまっているのだと思います。
少なくとも9.5秒を切るという事はありえないことのように思います。
跳躍系の競技では記録が出る余地があるようですが、
走る系の競技ではなかなか記録が出しづらい境地に到達してしまったのかもしれません。
仕事場で100メートル走にあたるものはあまり思い浮かびません。
日本語を読むスピードや、キーボードを打つスピードくらいでしょうか。
一方、ほとんどの仕事は体操やフィギアスケートのように
まだまだ改善する余地があるように思います。
例えば、先輩社員が数年の歳月をかけてやっと編み出した仕事の進め方は
A4数枚のレポートにまとめて後輩に渡せば明日からいきなりマネができるものかもしれません。
フレッシュな頭で受け止めて構築し直したらもっとよい手順が見つかるかもしれません。
そうすると「ハァ?おっさん何ちんたら仕事してんだこの給料泥棒。もういいっすよ。私がやっときますから」
という聞きたくないセリフを聞かされることがあるかもしれません。
言われるほうはつらいですが、組織として生き残るためには必要な痛みであると思います。
このように考えると、先輩の役割は長年にわたるノウハウの蓄積により
ドゥハウを生み出していく事であると思います。
一方で後輩社員の役割はドゥハウを吸収して戦力を発揮する事と、
新たにノウハウを蓄積していくことで将来に役立てる事でしょう。
私が入社してこれまでの間に、まったく新しく仕事の進め方を考案して広めたことはありませんでしたが、
これまでやられていた方法を改善したということはありました。
きっとこれから、私の後輩がそれを更に改善してもっと良い方法を生み出す瞬間を見ることがあるでしょう。
その時に「だめだめ。だめだよそんなんじゃ。前例がないんだから。誰が責任取ると思ってんの。」
という終わったセリフを吐かない様に今から心がけておきたいと思いました。
情報処理技術者試験が改革に向けて動いています。
9月7日に中間発表のような形で改革案が公開されました。
「情報処理技術者試験 新試験制度の手引(案)」の公表及びご意見の募集について
これについて私の意見を述べます。
(参考リンク追加)
情報処理技術者試験の新制度が始まる(2009年1月16日)
http://blogs.itmedia.co.jp/yohei/2009/01/post-1e20.html
情報処理試験制度の要点は2点であると考えます。
- ユーザが技術者を選定する指針となる
- 技術者から見て自らが到達すべき目標とする
それぞれについて、現行・今後のメリット・デメリットを考えました。
ユーザが技術者を選定する指針となる
これは技術者のレベルを測定する指標としての性格を考えたものです。
情報処理技術者試験は、高度区分ともなれば合格率が10%を切るほど難易度の高いものです。
世の中には多くの試験がありますが、合格率が10%を切るものはそう多くはありません。
しかも、高度区分の受験者のほとんどは基本情報技術者やソフトウェア開発技術者の合格者です。
このように元々ある程度以上のスキルを持った受験者が集まった上で
1割以下にふるい落とす試験ですので合格者にはそれなりの能力が伴っていると言えます。
また業界全体を見渡しても受験率が高く、一部の人が熱心に受けているというものではありません。
多くの会社で合格時の一時金が出たり、給与のベースが上がったりといったインセンティブがあります。
そういった背景の中で情報処理技術者試験はITエンジニアの技術力を測る指標としての
役割を果たしてきました。しかしDog Yearと言われるIT業界の革新のスピードに
試験制度がついていけなくなりつつあるということは前々から言われてきたことでもあります。
ユーザから見て「アプリケーションエンジニア」と「ソフトウェア開発技術者」の違いは
かなりわかりにくいものであるように感じます。今回の制度改定では
それぞれが「システムアーキテクト試験」と「応用情報技術者試験」になるようです。
アプリケーションエンジニア試験で求められる人材像は、単なるアプリケーションの開発にとどまらず
システム開発プロジェクトの開発面に関わる様々な問題点をクリアし得る人でした。
その点ではITアーキテクトとかシステムアーキテクトと呼ばれる人に近い存在であると言えます。
他にも試験区分の改称や統廃合があるようですが、わかりやすくなったと思います。
一方で、現行試験区分について何らかの判断基準を作っているというユーザもいるはずです。
入札要件でシステムアナリストが社員全体の構成比で何%以上であるとか、
プロジェクトマネージャを開発プロジェクトに1人以上選任でつけること、などです。
今回の改定が現実のものとなった場合、試験の元締めである国が
「ITストラテジストはシステムアナリストの後継となる資格である」と宣言するか否かで
システムアナリストの立場は変わります。システムアナリストは今後もITストラテジストと
名乗ってもよろしい、という宣言をする必要までは無いと思いますが、
ユーザの混乱を招かないためにも現行資格との対比・読替えの指針については
受け取る側に任せずに国側で策定していく必要があると思います。
また、日本の現行制度に「技術士」という資格があります。
これはレジスタード・エンジニア制度を有効化するものです。
「ある人がアイデアを商品化しようと思ったのに実現する方法がわかりませんでした」
というような場合には、優秀な技術者による技術支援が必要になります。
誰がどのような技術を持ち、どのような実績があるのかを
検索できるように「技術者が自らを登録する」という仕組みが技術士制度です。
その難易度は情報処理技術者試験の比ではありません。
技術士にはいくつかの分野があるのですが、IT技術者であれば
技術士(情報工学)を目指すことになります。この分野の技術士になることができた場合、
それまでに取った情報処理技術者試験やベンダー試験の科目を名刺から一切消して
「技術士」とだけ入れれば事足りる、と言われるほどです。
実際にはあまりユーザに対して知名度のあるものではないのですが、
私も今後10年のうちに情報工学と経営工学の技術士になりたいという将来像を描いています。
情報処理技術者試験もこの性格を強めてもらいたいと思います。
すなわち、情報処理技術者試験合格者の登録・公開制度の実施です。
ある時、ITの力を借りたくなったらIPA等に行ってエンジニアを紹介してもらう制度があれば
SIerもユーザも無駄な手間を省く事ができます。
同時に、名称独占権を獲得できるような資格にしたほうが良いと思います。
情報処理技術者試験の影響力が大きくなればなるほど、
「会社の役職名」としてITストラテジストを設定するようなところが
現れないとも限りません。また、独立したエンジニアが合格もしていない資格を
肩書きとして宣言する事も違法ではありません。
情報処理技術者試験の中でも最高位に位置づけられる「システムアナリスト」は
システムアナリスト試験の合格者と言うよりは「システムエンジニア」のような
一般名称化しているように思います。
それもあって私は普段の業務で「システムエンジニア」をしているため、
システムアナリストの合格者であり、かつプロジェクトマネージャの合格者であるのですが
滅多に「システムアナリストです」とか「プロジェクトマネージャです」と言わない様にしています。
無用な誤解を生まないようにするためです。
技術者から見て自らが到達すべき目標とする
オールマイティーのスーパーSEが活躍できる場面も少なくなり、
スペシャリストが集合して難局を切り抜けるようなスタイルが主流であるように思います。
技術者は広く浅く色々な知識を身につけながら、
自分が将来的にどんな仕事をしていきたいのかを見極めていきます。
その際に、自分の能力を試す指標として情報処理技術者試験は手ごろであると思います。
私は30歳になるまでにアプリケーションエンジニア/プロジェクトマネージャ/システムアナリストの
3つの試験区分に合格しようという目標を立てて頑張ってきました。
うっかり26歳で達成するとは思っていませんでしたが、漠然と「設計ができるSEになりたい」
「プロジェクト管理スキルを高めたい」「上流工程に関する知識を深めたい」というよりも
具体的に学習を進めることができたと思っています。例えば私は自分では
ネットワークの知識に乏しいと思っていますが、それを克服するためにネットワークの試験を
受けるというのも1つの活用法と言えるでしょう。
また、自分が将来的に進みたい方向性と、自分が現在担当している業務に
乖離がある場合、試験の合格を以って自分のアピールとするのにも
向いているように思います。自分が運用工程ばかりを担当させられているが、
実はシステム化の提案工程に参画したいと考えていたとしても、
どれほどシステム化の提案工程に参画したいのか、能力は備わっているのか、
と言った点がネックになり、上司や人事部を説得して異動する事が難しいというケースもあるでしょう。
少なくとも何もアピールをしていない状態と比べれば、
「自学自習でシステムアナリスト試験に合格しました」という結果を以って
自分をアピールする事はプラスに働くはずです。
試験の合格に有効期限を設けるという案もあるようです。
その場合は定期的に試験を受けて自分のレベルを相対的に把握する事ができます。
何も努力をしていない場合は更新に苦しむ事になると思いますし、
試験区分と関連のある現場で活躍をしている人物であれば
さほど難しくなく更新できることだと思います。
日頃から試験の更新を意識しつつ仕事をすることで
「気付き」の機会を増やし、エンジニアとして成長する機会を
増やすという効果も考えられます。これはブログでもいえることですが、
やり始めるとそれまで意識を集中させていなかったような
細かなところまで注意を払うようになるからです。
近い将来に受験するということが頭にあれば、
日頃の職場風景で「あれは試験で役立ちそうだ」ということや、
「試験ではこういうケースの現場では失敗する事になっていたな」ということを
考える時間が増えます。ちょうどブログを書き始めてから
おもしろいネタを探しながら行動するようになったのと同じで、
試験に役立ちそうな情報を無意識に収集しながら仕事ができるようになります。
以上、今いる2人の最年少システムアナリストの1人からの私見でした。
(できれば過去5年の合格者はそのままストラテジストに移行とかになるとありがたい)
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