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プロジェクトマネージャとアプリケーションエンジニアの仕事は
現実世界では兼務されることも多く、区分が難しいものです。

情報処理技術者試験でも、うっかり混同してしまうことがあります。
特に論文では、「プロジェクトマネージャとしてどう行動しましたか?」
という点が問われているのに対して、普段の業務で
開発メンバー兼プロマネをしていると、自分が登場していって
技術的課題を解決しながら進捗管理もやったという論文になってしまいます。
試験としてはプロマネは何をすべきかを聞いていますので、
題意と違った回答になってしまいます。

それでは試験で想定されるプロマネ像はどのような姿なのでしょうか。

通常、1人のプロジェクトマネージャが1つ以上のサブシステムを担当します。
そのサブシステムごとに1人以上のアプリケーションエンジニアがつきます。
「サブリーダー」や「リーダー」という名称で呼んでいるところもあるかと思います。

アプリケーションエンジニアはサブシステムの設計を行い、
品質を確保することに責任を負います。
関係サブシステム間でのインターフェースの調整を行ったり、
サブシステムレベルでの単体・結合テストの管理を行います。
AEは開発メンバーの1人であって、プロジェクト全体に関わる調整は行いません。

そのため、困難な仕様追加などが発生した場合は、
AEからPMに調整を申し出て、PMがお客様と調整するというルートが正当です。
試験ではAEがその場で勝手に仕様変更を受諾してはいけないことになっています。
現実でも「持ち帰って検討」にすることが多いかと思います。
プロジェクト全体に影響の出るような仕様変更や納期変更などについては、
プロマネと、お客様側のプロジェクトオーナーで話し合う必要があります。

また、プロジェクトマネージャは設計などはしません。
現場に手を出さないようにします。
各アプリケーションエンジニアの開発進捗を管理することが主な業務です。

プロジェクトの進捗を管理するためには、プロジェクトが動き始める前に
色々なことを決めておく必要があります。
進捗報告について報告の形式とタイミング、並びに提出の相手を定めておく等です。
PMとAEが1対1の場合はそこまでする必要もありませんが、
1人で多数のAEを管理する場合、進捗報告がバラバラだと管理する手間が増えるからです。
できるだけ効率的な形で管理監督を行い、進捗が遅れそうであれば
早い段階で対策を行うことがプロマネの役割になります。
指標となるのは、設計書の完成度合いや、テスト項目の消化率などです。
また、各プロジェクトメンバーの勤務時間などもチェックして、
勤務時間が長いメンバーと短いメンバーの間でタスクの再配分などを検討することもあります。
先の段でも挙げましたが、お客様と納期や仕様に関して交渉する窓口でもあります。

お客様との交渉にあたっては、交渉相手の選択にも注意が必要です。
お客様にとってプロジェクトの責任者となるのはお客様の偉い人になります。
仕様の決定などを行うのは現場担当者レベルの人間であることが多いです。
仕様変更や納期変更などについて現場担当者だけの了解を得ても、
意思決定権限を持つ人がダメだと言ったら終わりです。
重要な決定はお客様側のプロジェクトオーナーと交渉することが重要です。

また、交渉相手はお客様だけでない場合もあります。
自分の会社から他の会社に開発協力を依頼することがありますので、
業者を選択し、作業内容によって
請負契約を選択するか、委託契約を選択するかを決定します。
一度一括請負で開発を依頼してしまったら最終成果物が来るまでは
特に干渉することができませんが、進捗や品質について必要に応じて確認を行います。

「プロジェクトマネージャ」という言葉の響きから、
技術的な問題のアドバイスをしつつ、
各個人のモチベーションを上げ、
お客様の仕様変更要望を受け止め(受け流し)つつ、
スケジュールの調整も行い、
最終的に極めてタイトなスケジュールながら昔とった杵柄で
自らコーディングを行い納期に間に合わせる、
という大変なプロジェクトの経験がなければ合格しないようなニュアンスを受ける人がいます。

そうではありません。

プロジェクトマネージャはプロジェクトの推進を担う人であって、
開発要員ではありません。プロマネが目的とするところは、
お客様側のプロジェクトオーナーに対しては納期と品質を守ることであり、
自社側のプロジェクトオーナーに対しては人や金などのコストを守ることになります。

一方、アプリケーションエンジニアは最終的な利用者に対して
システムの性能や使いやすさを確保することが目的になります。

この両者の違いが頭の中で明確になっていない場合、
午後1と午後2の試験の両方がなかなか得点できないかもしれません。
プロマネの試験を受けるときは、普段の自分の行動の中で
プロマネっぽい部分を抜き出して思い出すようにすると良いでしょう。

問題文の内容にもよりけりですが、一般論として
 Q「要員があと1人足りない。どうするか?」
 A「仕方ない。私が出よう」
としないようにご注意下さい。

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yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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