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第一線で活躍できる技能を持つ人が大量退職する問題、2007年問題。

今のところ大きな混乱は起きていないように見えます。
2000年問題のときのようにその瞬間が訪れたらどうしようもないという
問題ではなく、雇用の延長を行ったり、ビデオで技能の伝授を行ったりという
地道な努力が身を結んでのことだと思います。

2007年問題らしい問題って起きたのか?ということを調べていたところ、
「スペースカウボーイ」という映画を思い出しました。
好きな映画を3本選ぶなら1本はこれ!というくらい好きな作品です。

(オフトピですが、出版業界の採用面接で「好きな作家を3人言ってみて」
と聞くと、2人までさらっと答えたところ言葉に詰まり、
3人目を『夏目漱石です』と答える人が多いそうです。)

さてご存じない方のためにざっくりとしたあらすじを言いますと、

『宇宙開発黎明期に打ち上げた衛星が古くなって墜落して
全世界に被害が出そうだけど、今のNASAに当時を知る人いないから
生き残ってるお爺さん技術者さんたちで宇宙行って直してきてよ』

という話です。瑕疵担保期間が数十年って夢に見そうな恐ろしさです。
瑕疵責任もへったくれもあったものではありません。
システムエンジニアの立場に置き換えるならば

「50年前に山口さんが作ったシステムが実は国家の○×システムの
根幹に移植されてるんだけど、修理しないとまずい状況なんです。
でもWindows2003serverっていう画面までは進むのに
Ctrl+Alt+Deleteっていうのが何のことかわからなくて……」

という感じでしょうか。
縁側で孫と遊んでる最中にこんなこと持ちかけられたら心臓止まりますよ。
なんと怖い老後だろうか。

自分達としては後から見ても知らない人が見ても理解できるように、
注意してドキュメントを残しているつもりです。

例えば

  • 設計書とともに用語集を作ったり、同じドキュメント内に
  • 意味も無くシノニム(同じ意味の別の言葉)を使わない

などです。そのような水準が満たされたドキュメントが残っていれば
元のプログラムを見たことがない人でも

フラグABCがTrueの場合に画面XYZを表示する。

という文章を見て、同じプログラミングを行うことができます。
このようなスタイルによる仕様の伝達は、受け止める技術者の
技術水準を想定して「これくらい書けば伝わるな」と予測することで成り立ちます。

その前提がすっ飛んだ世界、この例で言えば
.net Frameworkなんていうものが消えてなくなった世の中で
「一応設計書とってあるから直してね。お金も払うし。」
と言われたらどうしたらよいでしょうか。

当時の開発環境が残っている場合は、
映画と同じく戦友を募って難題に挑むことができそうです。
そうでない場合、例えばWindowsは本番端末以外に残ってないですよ、
みたいな状態だと完全に白旗ですね。

スペースカウボーイの舞台はアナログ電子回路が廃れて
半導体&ソフトウェアによるデジタル制御全盛の時代です。
NASAの若手宇宙飛行士に、元・若手宇宙飛行士が
「オームの法則わかってるか?」と叱るシーンはかなり笑えます。

しかしこれはタイトルの2007年問題そのものでもあります。
私の友人が、カメラやらプリンタやらSEDやら作っている会社で
技術屋さんをしているのですが、純粋なアナログ電子回路の
設計ができる人は(少なくとも彼が把握している限り)少ないそうです。
確かに私の周りにも本番でアセンブラをいじった人は多くありません。

遠い将来、若手の技術者に古い技術を教える役目になってしまい、

「最後にノイマン型が作られたの10年も昔の話っすよwww」
「これがマウスですよね。歴史の授業で習いました。」

なんていう世界が来る前に自分の寿命が尽きていることを祈ります。

 

補足ですが、スペースカウボーイを見るなら
ライトスタッフという映画を先に見ておくことをおすすめします。
ライトスタッフはスペースカウボーイに出てくるおじいさん達の
青春時代のお話(ほぼノンフィクション)です。

ライトスタッフで人類発の超音速飛行機による音速突破をなしとげた
チャック・イェーガーさんが80歳過ぎでご健在でいらっしゃることに驚きました。
SEとしてのライトスタッフ(正しい資質)はやはりきれいなソースとドキュメントを
後世に伝えることなのでしょうね。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

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