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社会人になって最初に入った会社の社長の話は謎が多かった。「今日は、三つのことをお話します」と始まって、「まず第一に、XXX。次に、XXX。」と言った後、最後に大事な話が出るだろうと思っていると、「それでは、今日はこれで終わります」となる。

当時、青かった私は、一番大事なことを伝え忘れるボケた社長だと思い、話のまとまりのなさに不満だった。しかし、今では「最後は自分で考えなさい」という意味だったのかなあ、と思っています。宮仕え的な感覚で奴隷のような受け身的な姿勢にとって、つじつまの合わない話は、将来が明確でなく、気持ち悪い。

また、今月初めの北京で行われた投資先の経営会議では、北京代表のいつも通りのつじつまの合わない話で、参加者の発言がとても活発になった。本人は意識していないだろうが、今後の事業推進上、重要な点が浮き彫りになり、とても有益だった。つじつまの合わない話が、会社の足りない部分をあぶり出し、全員の問題意識レベルが高まった。

実際のところ、5ヵ所の拠点中、経営目標の達成率は、北京が最も高かった。オリンピック特需もあるのだろうが、代表の頼りなさが社員の自立心を育んでいるとも言える。正解の分からない世界では、各人の現場での臨機応変な判断が重要になる。軍隊式の指示命令を行き渡らすことは、成長を阻害することになり、閉塞感を生む。

リーダーがボケてくれると、危機感を持ったメンバーは、真剣に考え、自発的にツッコミを入れてくる。それを受けてリーダーは、ただ照れ笑いをしていれば、社内の雰囲気は軽くなり、自立した行動が促される。

基本の徹底と現場での裁量とのバランスは、微妙なさじ加減でとても難しい。正解の分からない世界では、個人の自主性・裁量をどれだけ許容できるかが成長の鍵となる。つじつまの合わない話は、アハ体験と同じように脳を活性化する格好の材料となるのである。
2007.12.8

tsuji2005

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辻 俊彦

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ベンチャーキャピタリスト。専門分野は、メディア系、ITサービス系。

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