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SESとか、業務委託とか言いながら、中身は派遣に近い業態の会社って少なくないですよね。上場してSI会社として名をはせている企業でも、実態は派遣の売上がほとんど、というところもあります。
大手は知りませんが、中小のエンジニア派遣を生業としている会社は、苦しんでいるところが多いようです。少し前なら、銀行が統合を繰り返していたり、モバイル系の開発案件があったり、ERP導入の案件があったりと、いろいろ食い扶持はあったのですが、リーマンショック以降、かなり厳しくなってきている、と相談を受けることが増えています。
実際、案件は減っているうえに、月額単価も下がっているそうで。30歳くらいのエンジニアでも、下は30万円くらいからだそうで。10〜40%くらい下がっているそうです。
打開策というほど簡単なものはないでしょうが、経営者は先を見据えたビジネスモデルを構築することが必要ですよね。派遣ではなく、いまいるエンジニアを活かしたビジネスが、いろいろと考えられることと思います。
一方エンジニアのほうも、今まで関わっていない技術にトライすることや、ヒューマンスキルを磨く必要があると思います。(もちろん、充分な方もいるでしょうけど)
挨拶にはじまり、話し方、プレゼンテーション、業務知識、コミュニケーションスキルといったものは、とても大切ですよね。発注する側も、同じスキルなら話しやすい人、コミュニケーションスキルの高い人に依頼したくなるものだと思います。
ちょっと気になることがあって、書いてみた次第です。
みなさん、仕事をするうえでの行動指針というものがあるのだと思います。行動指針という言葉でなくても、「こうしよう」と考えていることとか。
各企業にも、いろいろと行動指針、行動規範が設けられていることが多いと思います。電通の鬼十則などが有名ですね。
僕が普段から感じていることは、日本の企業の多くが設けている行動指針が、「べからず」であることです。「初心忘れるべからず」ではないですが、何かとべからずが多いな、と。そうではなく、こうありたいとか、こうするといった肯定文で考えたい気がしています。
僕自身、自分の会社を運営する上で考えていることは「点と点を繋げる」です。ご存じでしょうが、2005年にスタンフォード大学の卒業式で、スティーブ・ジョブズ氏が講演した際に話されたことです。
you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。
この手法が私を裏切ったことは一度もなく、そして私の人生に大きな違いをもたらした。
全文をお知りになりたい方は、こちらを読んでいただくとして、点と点を繋げるということは、あらかじめ仕込むことは出来ないということです。しかし、振り返ってみると「あの時のことが役立った」とか、「あそこで出会った人に、こんなタイミングで助けられた」といったことって意外とあるものなんですよね。
企業活動に置き換えて考えてみると、目先の利益も必要。でも、そればかり追い続けていても、点と点は繋がらない。自分の直感を信じて、繋がるかも知れない(繋がらないかも知れない)点を集める活動も大事だと思うんですよ。もちろん、直感だけではダメでしょう。直感の前提となるような、知識を集め続けることも必要です。
さて、では経営者、マネジメント層の人間として、これをどう考えるのか。繋がるかどうか分からない点を集め続けるのか。
僕はこれには、ビジョンとビジネスモデル(収益構造)が必要だと思います。自社がどうなっていくべきか、その収益構造はこうあるべきだ。だから、こういう活動を重ねるべきだ、あるいはやるべきではない、ということですね。収益構造も見えないのに、人と会い続けても意味はないでしょうね。
もちろん、全てきちんとお見通しできれば良いですが、そうはならないこともある。だから、どこかで割り切ることが必要になってくるのだと思います。例えば「この活動を続けても、収益構造が見えてこない」ということであれば、その活動はいったん打ち切る、とか。
スティーブ・ジョブズ氏が「connecting the dots」について語ったのは、落ちこぼれた大学で出会ったcalligraphy(文字芸術)の授業で、文字を美しく見せることを知り、それはのちにMacintoshの開発に役立った、という内容です。「あのことが無ければ、Macintoshは複数のフォントを持つことは無かった」と言っています。
スティーブ・ジョブズ氏の話は結果論ですが、一度学んだことはどこかで活かしたい、という執念を感じるのは僕だけでしょうか。
connecting the dots.
それを考え続け、毎日人と出会い続けています。
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