スティーブ・ジョブズ氏の言葉を考えながら仕事をする:connecting the dots
みなさん、仕事をするうえでの行動指針というものがあるのだと思います。行動指針という言葉でなくても、「こうしよう」と考えていることとか。
各企業にも、いろいろと行動指針、行動規範が設けられていることが多いと思います。電通の鬼十則などが有名ですね。
僕が普段から感じていることは、日本の企業の多くが設けている行動指針が、「べからず」であることです。「初心忘れるべからず」ではないですが、何かとべからずが多いな、と。そうではなく、こうありたいとか、こうするといった肯定文で考えたい気がしています。
僕自身、自分の会社を運営する上で考えていることは「点と点を繋げる」です。ご存じでしょうが、2005年にスタンフォード大学の卒業式で、スティーブ・ジョブズ氏が講演した際に話されたことです。
you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。
この手法が私を裏切ったことは一度もなく、そして私の人生に大きな違いをもたらした。
全文をお知りになりたい方は、こちらを読んでいただくとして、点と点を繋げるということは、あらかじめ仕込むことは出来ないということです。しかし、振り返ってみると「あの時のことが役立った」とか、「あそこで出会った人に、こんなタイミングで助けられた」といったことって意外とあるものなんですよね。
企業活動に置き換えて考えてみると、目先の利益も必要。でも、そればかり追い続けていても、点と点は繋がらない。自分の直感を信じて、繋がるかも知れない(繋がらないかも知れない)点を集める活動も大事だと思うんですよ。もちろん、直感だけではダメでしょう。直感の前提となるような、知識を集め続けることも必要です。
さて、では経営者、マネジメント層の人間として、これをどう考えるのか。繋がるかどうか分からない点を集め続けるのか。
僕はこれには、ビジョンとビジネスモデル(収益構造)が必要だと思います。自社がどうなっていくべきか、その収益構造はこうあるべきだ。だから、こういう活動を重ねるべきだ、あるいはやるべきではない、ということですね。収益構造も見えないのに、人と会い続けても意味はないでしょうね。
もちろん、全てきちんとお見通しできれば良いですが、そうはならないこともある。だから、どこかで割り切ることが必要になってくるのだと思います。例えば「この活動を続けても、収益構造が見えてこない」ということであれば、その活動はいったん打ち切る、とか。
スティーブ・ジョブズ氏が「connecting the dots」について語ったのは、落ちこぼれた大学で出会ったcalligraphy(文字芸術)の授業で、文字を美しく見せることを知り、それはのちにMacintoshの開発に役立った、という内容です。「あのことが無ければ、Macintoshは複数のフォントを持つことは無かった」と言っています。
スティーブ・ジョブズ氏の話は結果論ですが、一度学んだことはどこかで活かしたい、という執念を感じるのは僕だけでしょうか。
connecting the dots.
それを考え続け、毎日人と出会い続けています。