« 2009年5月8日

2009年5月15日の投稿

2009年5月27日 »

以前 IBM の Smarter Planet 関連で、ダイナミックに料金が変わる、高速道路の優先レーンについて書いたが、もう一つ以前から書こうと思っていた、高速道路の渋滞対策がある。

アメリカの西海岸を中心に最近よく見かける高速道路の渋滞対策にランプメータリングという方法がある。調べてみるまで、名称はよく知らなかったが、英語で書くと Ramp Metering である。わかりやすく言うと、高速道路に進入する加速車線の手前に信号機を置いて、流入する車の制御を行うというものである。(Wikipedia に写真付きで解説されているので、詳しくはそちらを見てください。)

http://en.wikipedia.org/wiki/Ramp_meter

ここに置かれている信号機は、普通の信号機とは違って、赤と青が交互に表示される。大部分は赤表示で、数秒(1秒から3秒くらいが多い)に一度一瞬だけ青になる。この青になった瞬間に1台だけの進入が許される。

この仕組みを導入することで、流入する車の数を制限して本線をスムーズに流すのと同時に、青にするタイミングをダイナミックに変化させることで、流入するタイミングのコントロールも行っている。たとえば、本線に連続して車が来たときに青にすると、合流で本線の流れを乱すので、本線の車の間隔が広がったのを見て青の回数を増やすということを行っている。

上記の Wikipedia に日本でも近いうちに導入される書かれていたので、日本語で調べてみたところ、南山大学の三宅氏の論文が見つかった。

http://www.seto.nanzan-u.ac.jp/msie/ma-thesis/2007/KAWANO/m06mm016.pdf

この論文に書かれている内容で、ETC の導入が渋滞を引き起こしているという指摘は、興味深い。高速道路の流入対策がアメリカで早期に注目された理由は、アメリカの高速道路は基本的に無料で料金所がないため、高速道路への進入路近くにある信号の影響で、流入する車がダンゴ状態になっていたことにあった。本線上の交通量が多いときにダンゴ状態の車の列が流入してくると、スペースを譲り合うために本線上の車がブレーキを踏む必要がでてくる。そのブレーキが後続の車に連鎖して渋滞となる。

ところが、これまで日本では、高速道路の入り口には料金所があったため、近くの信号でダンゴ状態で料金所に入ってきた車は、料金所で料金を払ったり、通行券を受け取ったりする間に平準化され、結果的にランプメータリングと同様の効果があったということのようだ。ところが ETC によって料金所で止まらずに、ダンゴ状態のまま本線に進入してくるケースが増えたために、これまでの渋滞とは違ったパターンの渋滞が発生することになった。そこで、その対策のために日本でもランプメータリングが注目され始めている。

数年後には、日本でも進入路に信号を見かけるようになるかもしれない。流入するときは少し待たされることになるが、本線に流入した後は、次の入り口でもランプメータリングが行われていれば、その付近での渋滞が解消されるので、交通網全体の効率性 (時代のキーワードを使えば CO2 削減) とともに、各個人にとっても、目的地に早く着くことができるというメリットを受けることになる。

Katsushi Takeuchi

« 2009年5月8日

2009年5月15日の投稿

2009年5月27日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
takeuchi
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ