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クラウドコンピューティングでは完全にアメリカが先行しており、今のところアメリカの数社以外からのクラウドサービスはあまり見えてきていない。ヨーロッパでも日本でも確実に何らかの動きがあるはずであるが、クラウドという言葉を使っていないため、目立っていないだけかもしれないと思っていた。

情報がないので忘れ去っていたが、オルタナティブブロガーである林雅之氏「クラウド・ビジネス」入門の中に、日本でもビジネス向けの SaaS という位置づけで、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、NEC、日本ユニシスなどの各社が、プライベートクラウドに分類できると思われるサービスを行っているということが書かれていた。

早速、各社のサイトを調べてみたが、どこも日本の企業向けのサービスという位置づけのように見える。英語のサイトは見つからず、英語で同じ名称で検索してみたが、各社のニュースリリースの英語翻訳の中にしか見つからなかった。

携帯電話のサービスで、日本だけ世界の標準から隔離されたサービスが提供されて、海外との互換性がないことをガラパゴス化と表現されていたが、クラウドのサービスにおいても同じガラパゴス化が起こることを危惧している。クラウドサービスはインターネットで接続されて、世界中から利用できることでスケールメリットが出せることが大きな特徴であるが、日本の各社は、サービスを日本国内の企業向けだけに提供するつもりのように見える。もちろん日本以外のクラウドサービスには提供できない質の高いサービスを提供するなどの差別化要因はあるにしても、そのサービスを日本国内だけにとどめておく理由はない。

クラウドを利用する側から見た場合、サービス自体の国際対応ができていないことが、サービスの選択に大きな影響を与える可能性が高くなっている。サービスの国際対応には、以下の要素がある。

  • クラウドのプラットフォームレベルでの国際対応
  • クラウドの管理レベルの国際対応
  • アプリケーション開発環境の国際対応
  • アプリケーションレベルの国際対応

オペレーティングシステムやデータベースなどのクラウドを形成するプラットフォームは機能レベルでは国際対応が実現している。しかし実際に運用する場合には、言語に依存するデータ処理が行われることがある。これらの設定を利用する側が変更することができるかどうかは重要な問題になることがある。

そのクラウドが管理用の画面(通常はブラウザでのアクセス)や、ログへのアクセスを許しているならば、それらの情報が日本語以外(英語)で表示できるようにすることは重要である。今後クラウド自体の運用管理自体を海外にアウトソースしたり、グローバル企業で、管理者は日本にいないという可能性が高くなる。その時点で「日本語でしか管理できない」という制限は厳しいものとなる。

クラウド上でのアプリケーション開発環境をクラウド提供側が用意するならば、その部分の国際対応は重要になる。クラウド上のアプリケーションを開発する場合、クラウド上でしかテストできないケースも多く発生する。そのため、ステージング環境と呼ばれるテスト環境が、実際のサービス環境とは別にクラウド上に準備される傾向にある。その場合、その環境を使うのはユーザではなく、開発エンジニアやテストエンジニアとなる。もし開発やテストを海外にアウトソースしたり、海外のオフィスの IT 部門が担当することになると、その環境へのアクセスに日本語が必要となるという制限は致命的となる。

アプリケーションレベルの国際対応は、これまでのクラウド以外での問題と大きくは変らないと思われる。

現在所属しているリアルコムは、昨年アメリカのシアトルにあった AskMe 社を買収したことで、そのインド子会社も含めて、3拠点での IT 統合化が必要となってきている。その際に、日本にある IT (サーバーなど) の管理をインドの IT エンジニアが担当できないという問題が出てきている。それは、サーバーの管理コンソール、アプリケーションなど多くのサービスが日本語の能力を必要とするからである。シアトルにあるサーバー類は、買収前からインドの IT エンジニアがリモート管理することで効率的に運用されていたが、同じモデルを日本に適用できない。クラウドは簡単に乗り換えることはできないので、日本に特化したクラウドを採用することは、そのリスクも含めて判断する必要がでてくるであろう。

Katsushi Takeuchi

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竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

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