« 2005年8月25日

2005年8月30日の投稿

2005年8月31日 »

Alistair Cockburn は、ソフトウェア開発の「1個流し」(*1)と進捗管理について、おもしろい例を出している。次の問題を考えてみて欲しい。

30個の部屋がある豪邸を考える。この豪邸から、1ヵ月後に引越しをすることに決めた。全部屋を掃除し、捨てるものと運ぶものに分類し、ダンボール箱に詰めなければならない。どのように進捗を管理したら、1ヵ月というデッドラインを守れるか。 


ウォーターフォール的計画: 
1.最初の1週間で全部屋の掃除を行なう
2.次の1週間で全部屋の捨てるものと運ぶものを分類し、ステッカーを家具や備品に貼る
3.次の1週間で全部屋のダンボール箱詰めを行なう
4.次の1週間で全部屋のチェックを行なう
5.4週間あるので、4週間後には全部屋のチェックまで終わる 

1個流し的(アジャイル的)計画: 
1.日割りで、1日に1つの部屋を、掃除、分類、箱詰め、チェックまで終える 
2.30日あるので、30日後には全30部屋の箱詰めが終わる

さて、上記2つの方法で進捗を管理した場合、どちらが確実に遅れを察知でき、対策を取りやすいだろうか。 

ウォーターフォール的計画での見積もりは根拠が難しい。また、分類は実はすぐに終わるが、箱詰めに思ったより時間が掛かることが分かった場合、その知識を活かすことができない。分かったときには時既に遅しだ。

これに対して、「1個流し」は進捗をリニアに管理できる。そして、この1個流し戦略をビジュアルにマネジメントするツールが「バーンダウンチャート」だ。30個が一個ずつ減っていく計画をたて、それを日々追っていく。以下の写真は、バーンダウンチャートの例。1イテレーションの中で完成させるべきソフトウェアの要求を縦軸にとっている。青が予定線、赤が実績線だ。

burndown-2 

前回の繰り返しになるが「テストで進捗を測る」のだ。テストの終了に到達していないものは「在庫」と考える。在庫状態にある成果物を減らし、バリューストリーム(価値の流れ)の速度を上げる。

(*1)「1個流し」は、トヨタ生産方式用語。ソフトウェアに対応づけると、ウォーターフォール式にすべての要求を1度にまとめて分析・設計・実装・テストと工程を進めるのではなく、要求を小さな単位で1つずつ、分析からテストまで流すこと。

さて、次の問題は、このメタファーと実際のソフトウェア開発の違いだ。各部屋はほぼ独立して箱詰めできる。しかし、ソフトウェアの機能は、「依存関係」を持っている。さあ、どうする?(つづく…予告:良い「ストーリー」とは、I-N-V-E-S-Tを高める) 

写真提供>Thanks かくさん

» 続きを読む

平鍋

« 2005年8月25日

2005年8月30日の投稿

2005年8月31日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
hiranabe
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ