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blog4 今回は、トヨタ生産方式とアジャイル開発の共通点である、「プル生産」について書いてみたい。前回から継続している「テスト」の話に関連している。前回は、上流から下流へ向かって1個ずつ要求を流す、という話をしたが、今回は、生産指示(いつどれだけ作って後工程に流すか)について。

トヨタ生産方式では、工程間に溜まった仕掛を在庫(=ムダ)と捕らえている。この在庫を「かんばん」で管理し、前工程への生産指示を出す。後工程が必要になって初めて、前工程が作る。前工程は、生産指示がない限り作らない。生産物は必要な分だけ前工程から後工程へと流れ、生産指示は逆に後工程から前工程へと流れるのだ(後工程引き取り)。

たくさん作ることは良いことだという作り手側の論理で生産を続けると、前工程から後工程へと生産物がプッシュされることになる。後工程で必要とする以上の生産物は、ムダとなり工程間に在庫として貯まる。これが、在庫のムダだ。かんばんを使った後工程引き取りは、顧客要求が生産を「プル」することに対応する。

ソフトウェアでは、読まれない仕様書、テストされていないソースコードなどの中間生産物が、この「在庫のムダ」に相当する。アジャイル開発では、顧客が書くストーリーカードと受け入れテストが、要求を定義する。一度にたくさんの要求を分析・設計するのでなく、1つ1つの要求をテスト駆動で進める。後から来るであろう要求を予測した、大きな設計などはしない。要求されているものだけを、シンプルに作る。これによって中間生産物を避けたプル生産が可能になる。

トヨタ生産方式では、自分の工程を基準にして後工程を「お客様」、前工程を「神様」(*1)、と呼ぶ。

お客様が必要としているものを必要としているタイミングで提供することがジャストインタイム生産の鍵となる。

お客様が必要としないものは作らない。現実に、ラインでは後工程からのカンバンがなければ、掃除をしたり、後工程への応援に出向いたりする。そこまでして、在庫のムダを嫌うのだ。

(*1): 自分ができない領域、という意味で尊重する。

平鍋

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プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

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