« 2005年8月23日

2005年8月25日の投稿

2005年8月30日 »

EoT-EoC-EoM3EoM=EoC+EoT」を鍵概念として、良い設計とは何か、よいプロセスとは何か、を再定義しようとしている。今回は、テストの役割について再考する。

テストは設計とプロセスの両方の基本単位だ。まず、テストと進捗管理の話をしたい(テストとドキュメントの話、テストとコミュニケーションの話、テストと開発リズムの話、などと続く予定)。

みなさんは、進捗指標として何を使っているだろうか?「工程ごとに違うが、成果物の完成に対する到達度だ」という答えが一般的だと思う。しかし、「設計書90%完成という報告が2週間続いている」というような進捗会議に参加したことはない? (きっとあるはずだ。)

ぼくが考える進捗管理の基本は、 

  •   中間生産物で計測しない
  •    明確に0か1かで判断できる計測単位である
  •    顧客価値で計測する

3点だ。先に述べた「設計書のページ数」という単位は、3つの条件をどれも満たしていない。すべての設計書を否定するつもりはないが、設計書は内部の中間生産物であることが多いし、100%終了という判断もしにくい。特に、「誰も待っていない」設計書は顧客価値と結びつかない。(書いても読まれることのないドキュメントを、ぼくは、WOD=Write-Only-Documentと呼んでいる。)

さて、本題のテストにもどる。ぼくが提案する最もよい進捗管理の単位は、アジャイル開発で使われている、

 「受け入れテストを通った顧客要求の数」

だ。テストは、0か1かのどちらかに倒れる。また、受け入れテストをパスした、ということは顧客価値に直結する。顧客が求める仕様に対して受け入れテストを定義し、これを通過した数で進捗を計ろう。

アジャイル開発では、要求をストーリーという顧客価値の単位に分割し、それを「一個流し」する。そして、テストまで通過した要求の数で進捗を測る。全体を見据えた大きな分析・設計に時間をかけずに、小さな要求単位をテストにまですばやく流す、ということを繰り返す。この手法は、優先度の高い要求から顧客へ早いうちに供給することができるため、最初に全要求を固定する必要がなく、都度の要求変化に強い。

ウォーターフォール型開発でも、テストで計測することは可能だ。「(弱い)繰り返し型のプロセスを導入する」、「要求全体を分割して、少しでもいいから優先度の高い要求をテスト工程にまで早く流してしまう」などの工夫ができる。また、テストで計測できなくても、「自分の工程の範囲内での顧客(誰が自分の作業を待っている人)の価値で、計測する」ことによって、進捗管理の改善ができるはずだ。

今回は、テストが果たす、プロセス中の「進捗ユニット」としての役割を考察した。

今後言いたいことは、テストが、設計とプロセスの、両方の最重要ユニットなんだ、ということ。

※参考資料

t-wada(http://d.hatena.ne.jp/t-wada/)さんが、より明確に「テスト」という言葉のカバー範囲を、役割から説明しています。

さらに、設計戦略としてのテストとリファクタリング、TDDについて、コードを「きたない/きれい」と「動作する/動作しない」の4象限上の軌跡としてうまく説明しています。

これで、品質保障方面の人との食い違いがいくぶん避けられるかな。。。

» 続きを読む

平鍋

« 2005年8月23日

2005年8月25日の投稿

2005年8月30日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
hiranabe
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ