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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年7月3日

2012年7月4日の投稿

2012年7月5日 »

 

米国では、圧倒的なシェアを誇るAWSがパブリッククラウド市場のマーケットを独占する懸念が広がり、RackSpaceやGoGridなどのクラウド事業者が、オープンな「クラウド・エコシステム」と称して、複数の事業者を呼び込み、AWSの包囲網を展開しています。

その代表的なエコシステムの動きが、OpenStackとCloudStackプロジェクトです。

多くの事業者がこれらの開発プロジェクトに参加し、オープンなコミュニティなどを通じて、コード改善などの貢献(Contribution)や、商用サービスとしての採用、サービス連携などといったエコシステムを形成しています。

OpenStackとCloudStackは、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアで、サーバー、ネットワーク、ストレージなどを統合的に管理し、ユーザーの要求に応じてオンデマンドで指定されたスペックの仮想サーバー(VM)やストレージを提供するセルフポータルサービス機能を提供しています。CMS(クラウドマネジメントシステム)とも呼ばれています。

ここでは、OpenStackやCloudStackのように、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを活用し、コミュニティを通じて技術やサービスを展開していく取り組みを「オープンクラウド」と定義します。

オープンクラウドが注目されている歴史的背景

2009年3月30日に「オープンクラウド・マニフェスト(The Open Cloud Manifesto)」がWebで公開されました。発表後、IBM、Sun Microsystems、VMware、Cisco、EMC、SAP、AMD、Elastra、Akamai、Novell、Rackspace、RightScale、GoGridなど、数十企業が参加を支持しています。

オープンクラウド・マニフェストには、顧客が持つ4つの目標と、クラウドプロバイダが順守すべき6つの原則が示されています。

顧客が持つ4つの目標

  1. 選択性 - 組織は、様々なベンダーの中から自由に選択できることとする。
  2. 柔軟性 - 組織は、異なるクラウドを使用している場合でも協力が可能であることとする。
  3. スピードとアジリティ - 組織は、官民のクラウドを統合するソリューションを容易に作成できることとする。
  4. スキル - 組織は、その能力を特定のクラウドに依存しないユーザーにアクセスできることとする。

クラウドプロバイダが順守すべき6つの基本原則

  1. サービスにあたってはオープンスタンダードに準拠する
  2. 市場での地位を利用し独自プラットフォームに縛り付けない
  3. 標準規格を使用する
  4. 新たな規格の作成や変更には注意を払う
  5. 顧客ニーズを重視する
  6. クラウドコンピューティング団体やコミュニティは協調を図る

さらに、オープンクラウド・マニフェストには、

これらの基本原則は、クラウドはほかのIT技術と同様にオープンであるべきだという信念に基づくものである。(中略)今こそ、出現しつつあるクラウドコンピューティングコミュニティのメンバーがオープンなクラウドという考え方の下に結集するときだ。

という説明文が書かれており、オープンな環境の中で、事業者が集結し、エコシステムを構築していくことの必要性が述べられています。

一方、AWSやGoogle、 Microsoftなどのクラウド業界のキープレイヤーたちは、参加を表明しませんでした。

マイクロソフトのスティーブン・マーティン氏は2009年3月29日のブログにて

クラウドのオープン性および相互運用性へのアプローチの透明性が広範に支持されていることが分かったのは、素晴らしいことだった。(中略)しかし、こういった取り組みの中心になるのはベンダーではなく、開発者とエンドユーザーなのだということを再確認することが重要だ

とコメントし、オープンクラウドは、開発者はエンドユーザー主導で進めていく必要性を指摘しています。

こういった過去の事業者同士の駆け引きの中で、開発者やユーザーが主導するオープンなクラウド環境の中で、事業者が団体やコミュニティとも協調し、オープンなクラウド・エコシステム形成する動きが進みだしています。

オープンクラウドを採用するメリット

OpenStackやCloudStackなどのオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアの採用が進む背景には、ユーザー、サービス/SI事業者、開発者にとってそれぞれメリットがあるためです。

ユーザーにとっては、1社のクラウド事業者に依存するリスク回避でき、高機能で拡張性・柔軟性の高いオープンなクラウド環境(プライベートクラウド)を安価に短期間で構築することが可能となります。

サービス/SI事業者にとっては、自社を中心とした開発では市場のスピードについいけず、競争で優位に立つことは困難です。そして、自社の独自開発と囲い込みによるガラパゴス化を回避し、オープンスタンダードへの対応を急ぐことが重要となっています。さらに、事業者自体が、オープンなコミュニティとの協調することによって、エコシステムを形成しやすくするといったこともメリットとして大きいでしょう。

開発者にとっては、日本OpenStackユーザ会やCloudStackユーザ会などの開発者向けのオープンなコミュニティの勉強会などが充実しており、開発者の相互連携によるサービス創出につながりやすいといったメリットもあります。

以上のように、オープンな環境下の中で、ユーザー、サービス/SI事業者、開発者の双方がそれぞれメリットを享受し、相乗効果を生み出すことで、オープンなクラウド・エコシステム構築へと発展しているといえます。

クラウド業界においては、各種団体によるデジュール・フォーラム標準やデファクト標準の動きが進んでいますが、アマゾンやグーグルなどのクラウドネイティブ企業はこれらの活動には参加せず、独自APIを展開し、独自のエコシステムを形成しています。

こういった状況の中、オープンクラウドは、ユーザー、事業者、そして開発コミュニティの後押しにより、急速なスピードで進化を遂げ、クラウド業界におけるオープンスタンダートしての地位の獲得に向けて、進みだしています。

 

※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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