大容量モバイルバッテリーをクロスバイクで使ってみた
「20,000mAhの最新大容量モバイルバッテリーを自転車に積んで使う」という観点のレビューを見つけることができなかったので、自分で書くことした(最新でない記事はいくつかある)。
同好の士のお役に立てれば幸いだ(なお、2016年4月現在のチョイスであることを強調する。今後モバイルバッテリーはどんどん大容量化・小型化していくであろうから)。
自転車で2泊から3泊ぐらいのツーリングに行くとなると、困るのがスマホのバッテリーである。
ナビ代わりにiPhoneを使っている人は多いだろう。僕はXperiaだけど、どちらにしろ半日も漕いでいるとバッテリーが心配になってくる。
そこで乾電池を4つ直列につなぐタイプの携帯バッテリーにeneloopを入れて使っていたのだが、4本では半日持たない。1日の旅程で8~12本ほど使うことになる。
自転車でキャンプに行きたいのだけど、これでは1泊がせいぜいだ。eneloopを20本も30本も持ってキャンプに行くのは、やっぱり避けたい。
● ゴールデンウィークに穂高に行くことになったので
とはいえ、自転車で2泊以上のキャンプに行く予定はなく、日帰りで漕いでも100kmぐらいがせいぜいだったので、大容量モバイルバッテリーを買うきっかけがなかった。
ところがゴールデンウィークに穂高に行くことになった。我が家は一昨年に自家用車を持たないことにしたので、バスで上高地まで行くことになる(電車は結構大変だ)。
予約したのが23日だったので、バスの空きがなかなかなく、当初は2泊3日の予定だったが、結局3泊4日になった(天候の関係で頂上をあきらめたので、最終的には2泊3日になった。
となると、心配なのがスマホのバッテリーである。
それで、大容量モバイルバッテリーを買うことにしたのだった。
●あまりにも大容量だと不安?
最初に考えたのは、とにかく大容量のものにしようということだった。
調べてみたら、38,000mAhという製品がある。僕のスマホはXperia Z3 SO-02Gで、バッテリー容量は2,800mAhである。電気に弱い僕でも単純計算でないのは知っているが、計算上は13回フル充電できることになる。話半分でも7回近い。
最初はこれにしようかと思ったのだけど、アマゾンのレビューを見ているととんでもないことが書いてある。すぐに充電できなくなるとか、アダプタが壊れるだとか、製品には21,000mAhと書いてあるだとか、不安要素満載だ。
本当かどうかは実物を持っていないので、製品名は書かないけれど、これだけはやめたほうがいいと思い、まずは参考になるレビュー記事を探すことにした。
いくつか見比べて、最新度と丁寧度の両方を兼ね備えていたのが、この記事だ。
これを読んで一目惚れしたのが、EasyAcc PB20000MSだった。
アマゾンのレビューもおおむね好評。値段も3,599円とリーズナブル。
正直、このぐらいの大容量だと15,000円ぐらいはするかと思っていた。ちょっと前に軽く調べたときには、12,000mAh程度でもそのぐらいはしていたという気がする。バッテリー、安くなっているんだなあ。
ということで、すぐに購入を決めた。
一瞬重さが気になったが、なにしろライター業はでかいバッグにパソコンやらカメラやら資料やら筆記用具やらを詰め込んで歩く仕事なので、500gぐらいならいいやと思った(実測は上の通り444g。ただし、タニタの秤は載せるたびに重さが変わるけど)。
だが、穂高に持って行くのはいいとして、自転車に積むにはどうしたらいいのだろうか?
あいにく、上のレビューにもそんなことは書いていない。
●トップチューブバックもか?
ハンドルに取り付けるスマホホルダーを持っているので、バッテリーはトップチューブバックに入れるのが妥当だろう。小さなトップチューブバックを持っているのだが、それにはとうてい入りそうにない。
では、どれぐらいの大きさのトップチューブバッグを買えばいいのか?
アマゾンでスペックを見ても、パッケージの寸法しか書いていない。だが、ネットに書いてくれている人はいるもので、「【レビュー】20,000mAhの大容量バッテリー「EasyAcc PB20000MS」は色々と凄すぎた!」という記事から「寸法:167*80*22mm」ということがわかった。
でかい! でかいが、まあ許容範囲だ。なにしろライター業は(以下同文)。
さて、これが入るトップチューブバッグがあるのか?
探したところ、中国製だが十分入る大きさのバッグが見つかった。しかし、これもアマゾンレビューを見ると不安要素満載。
トップチューブバッグは、自転車の上管とヘッドセットにマジックテープ等で固定するものである。
この固定力が大事なのだが、なんと、ヘッドセットに取り付ける部分がゴム紐になったとのレビューが・・・。
これはさすがにダメだということで、さんざん探して見つけたのが、ReUdoという会社の製品。
「iPhone 6S / 6専用、Plusは除く」とあるが、上面のスマホケースを使用する場合は、ということだろう。その予定はないので、バッテリーさえ入ればいい。2,000円と低価格なわりには丈夫そうなので、これにした。
●一晩では充電できなかった
アマゾンプライムの会員なので、4月24日の朝に注文したら、その晩に届いた。
早速充電してみた。
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」にUSB急速充電器と急速充電用USBケーブルセットが載っていたので、気にはなっていたのだが、普通のUSB充電器でも一晩あれば充電できるだろうと高をくくっていた。
PB20000MSは大容量なので、2本のUSBケーブルをつないで充電するというと荒技ができるようになっている。持っているUSB充電器もケーブルが2本刺せるので、それでやってみた。
翌朝目覚めると、バッテリー残量を示すインジケーターが4つ中1つのまま、まったく増えていない(4つ点灯したら充電完了なのは言うまでもない)。
初期不良を疑ったが、ここはUSB急速充電器と急速充電用USBケーブルを試してみようと、即購入を決める。
夕方には届くだろう。それまでに一度放電しておこうと思い、iPad2とSO-02Gをつないだ。
放電していく気配も感じないところが、なかなか頼もしい。
この2台だけではなかなか放電しないので、LEDライトも点けっぱなしにすることにした。それでも放電が完了したのは、夕方だった。
●大容量モバイルバッテリー所有者には常識?
放電が完了した直後に、USB急速充電器と急速充電用USBケーブルが届いたので、早速充電してみた。どちらもRAVPowerの製品。
このように2ポートを使って、強引に充電する。
気のせいだと思うが、こころなしかインジケーターの点滅に勢いがある気がする。
数時間後見てみたら、あっという間にインジケーターが2つになり、夜中に目が覚めたときには点滅が点灯、つまり充電が完了していた。
大容量モバイルバッテリー所有者には、おそらく常識なのだろうが、僕はレビューからだけではUSB急速充電器の必要性がわからなかった。
絶対に必要である!
●ギリギリ入るが雨天対策が必要
さて、これで穂高行きの用意はできた。実際にバッテリーが持つかどうかは、行ってみないと分からない(帰ってきたらご報告します)。
問題は自転車のほうだ。
まず、ReUdoのトップチューブバッグにPB20000MSは入るのか?
やってみた。
うっ・・・。スペック上はギリギリと思っていたが、バッグが少し小さいようだ。
しかし、ファスナーはなんとか閉まるではないか!
まさにピッタリ。あつらえたかのようだ。
だが、雨の日は中に水が入ってきそうで不安だ。最初から雨の日に乗ることはないが、途中から降ってくることはよくある。何か対策が必要だろう。
それは後で考えるとして、まずは実際に自転車に積んで、走ってみよう。
なお、このほかにキーホルダーと小さな財布ぐらいは入る。
●取り付けは面倒だが走行の邪魔にはならない
まずは取り付けてみた。
マジックテープは、ヘッドセット用が1本、上管用が3本もあり、取り付けるのはけっこう面倒。ただし、その分しっかり固定され、走行時にもまったく揺れない。
問題は、走行時に膝が当たらないかだ。
ヘッドカメラでも持っていれば、走行時の写真を撮れたのだが、あいにく持ち合わせがない。
そこで停車時に取ってみたが、僕の脚が短いおかげか、膝は当たらない。
実際の走行時にも普通に走っている分には当たらない。かなり内股にしたら当たるが、そんな走り方はふつうしない。
登坂で上体を思い切り振ってみた。バッグの固定がゆるいと、それでバッグも揺れて、膝にあたるのだが、まるであたらなかった。
走行にはまったく問題ない。
レーサーであれば、500g近い重さはかなりの負担になり得るが、僕はせいぜい30km/hぐらいしか出せない老弱な自転車乗りなのでまったく問題ない。
そもそもレースにこんなものを検討する人はいないだろう。ツーリングに使えるかどうかだ。それであれば、問題ないと言っていいだろう。
●せっかくなのでスマホも入れてみた
スマホ用スタンドがあるとはいえ、上面にスマホを入れられるのに入れないのは何だかもったいない気もする。
せっかくなので入れてみた。
きっちり収まった。こうなるとなぜ「iPhone 6S / 6専用」となっているのかわからないが、たぶん保証範囲を最小限にしたいからだろう。
これでしばらく走ってみたが、結局使えないことがわかった。
まず画面が見にくい。これは「iPhone 6S / 6」でも同様のはずで、それをアマゾンレビューで指摘していた人もいた。
ただ、我慢すれば使えるレベルではある。
問題は、こうすると充電されなくなるということ。Xperia SO-02Gのmicro USBアダプタは、かっちりとはまらないのである(新品のときにどうだったかは忘れた)。
かなり無理をして詰め込んでいるので、接触が悪くて、充電モードにならない(正確には、いったん充電モードにできるが続かない。路面による揺れで、すぐに接触が悪くなる)。
これでは、何のためにバッグに入れるのかさっぱりわからない。
まあ、使い勝手もスマホスタンドのほうが上なので、スマホスタンド+トップチューブバッグの組み合わせで行くことにしよう。
●正直15kmぐらいではバッテリーの実力はわからない
走行したのは、15km程度。
おそるおそるインジケーターを見てみたが、まったく減っていない。
というよりも、20,000mAhの大容量なのに、インジケーターが4段階でいいのだろうか・・・。
それはさておき、やはり15km程度の走行距離では、PB20000MSの実力はさっぱりわからない。
ということで、大容量バッテリーとしての実力は、穂高で試してくるので、お待ちいただきたい。
とりあえず、USB急速充電器は絶対に必要だということと、自転車に積めて走行には影響はない(ただしレースする人は除く)ということが結論だ。
(追記:2016年5月3日)
4月30日から5月2日にかけて、2泊3日で穂高に行き、PB20000MSを使用した。別記事にするほどの内容でもないので、ここにごく簡単にまとめる。
(結果)2泊3日の使用で、インジケーターを見る限りでは40%以上の残量(2日の夜までインジケーターが3つ点灯、帰宅直前に2つに切り替わったことによる推測値)。
(使い方)
・ 充電対象機器は、Xperia Z3 SO-02Gのみ
・ 出発時には、PB20000MS、SO-02Gともにフル充電済み
・ SO-02Gの使い方は以下の通り
- 初日は、使っていないときは電源オフ
- 2日目以降は、電源オンのまま待ち受け
- 使用頻度は、バス(新宿⇔上高地)ではほぼ使いっぱなし、山では日に数回、写真撮影してFacebookにアップする程度
・ 充電は適宜PB20000MSからのみ、帰宅時のSO-02Gの状態はフル充電
(アウトドアで使うとした場合の評価)
・ 残量から考えると、通常の2泊3日程度のキャンプなら、PB20000MSだけで全く問題ない
・ 2人以上だと1泊2日なら、まず問題なく、2泊以上なら微妙
・ それ以上になるとスマホの使い方次第
(通常の旅行なら)
・ USB急速充電器と急速充電用USBケーブルがあれば、4~6時間ぐらい、つまり寝ている間に充電が完了するので、PB20000MSが1台あれば、2人まではまったく問題ない
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