オルタナティブ・ブログ > 経営者が読むNVIDIAのフィジカルAI / ADAS業界日報 by 今泉大輔 >

20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【ジェンスン・フアン×赤澤経産相】日本のフィジカルAIを背負って立つNoetra(ノエトラ)とは何をする会社なのか?Vera Rubin GPU 2.8万基で始動する国家プロジェクトの全貌(サマリー)

»

Noetra3.jpg

NVIDIA CEOジェンスン・フアンが来日した際のイベントの目玉であったNoetra(ノエトラ)の国家規模「国産マルチモーダル基盤モデル開発プロジェクト(=国産フィジカルAI基盤モデル開発プロジェクト)」のお披露目。高市早苗首相も冒頭でビデオであいさつしましたし、赤澤経産相大臣もジェンスン・フアンに敬意を表して革ジャンで登場し、会場を沸かせました。

おそらくジェンスン・フアンがあいさつで口にした「Noetra(ノエトラ)」を初めて耳にした方も多いと思います。同社はソフトバンクが設立した「株式会社日本AI基盤モデル開発」が社名変更した会社で、本格的に業務を開始したのが今年7月。ジェンスン・フアン来日のお披露目イベントで初めて日本のビジネスパーソンの目の前に現れた会社と言ってもいいでしょう。それまでは中核出資企業のソフトバンク、ソニー、NEC、ホンダ、およびその後に出資を決めた40社(リストはこちら)、および産業総合研究所、および技術プロバイダーとして参画しているPreferred Networksなどの関係者のみが存在を知っていた会社です。

赤澤経相大臣が紹介したことで、国家規の「国産マルチモーダル基盤モデル開発プロジェクト(=国産フィジカルAI基盤モデル開発プロジェクト)」であることはわかったのですが、では「国産マルチモーダル基盤モデル開発プロジェクト」とは何なのか?何が日本のフィジカルAIを背負って立つ中身なのか?

AIのことはAIで分析しないとわからない時代に入ってきました。いつもはGemini + Deep Researchの優れた「Deep Researchアルゴリズム」で分析するのですが、今回は別種のアルゴリズムで重装備したOpenAIのGPT-5.6 Solで情報収集・分析・レポート書きをさせました。

AIデータセンターウォッチャーである私が注目したのは、

「NVIDIA Rubin GPU」を約2万7,500基搭載したAI計算基盤

をAIデータセンターとして持つということです。

NVIDIA側プレスリリースによれば、

Noetra が構築するこの新しい AIファクトリーは、NVIDIA DSX™ プラットフォーム を活用した NVIDIA Vera Rubin NVL72 ラック構成で構成され、NVIDIA Spectrum-X™ Ethernet ネットワーキングで接続およびスケールされます。本AIファクトリーは、AI エージェント、デジタルツイン、ロボティクス、その他のフィジカル AI アプリケーションを支える、オープンなマルチモーダル基盤モデルの開発を可能にします。

だそうです。

わかりますか?どんなAIデータセンターであるか?「DSX」とは、ものすごく簡単に言うと、AIデータセンター丸ごとをデジタルツイン化して、リアルタイムで給電や液冷やAIサーバー内部の挙動を監視できる、AIデータセンター運用の最先端の技術的枠組みです。過去にはなかったものです。

NVIDIA Vera Rubin NVL72は、いわゆるラックスケールのAIサーバーであり、ラック1本まるごとで1つのAIサーバーとして機能するという強化版ハードウェアです(Vera Rubin NVL72は正確にはラック数本で1構成となっています)。前身は以前に紹介したGB200 NVL72です。現在エンド顧客が入手できるハイエンド機、NVIDIAのフラッグシップです(もうGB300 NVL72という後継機種が出ています)。これ1本で日本のメガバンク1行のAI処理をカバーできるほどの「ラック1本型AIデータセンター」です。それの次期版がNVIDIA Vera Rubin NVL72です。

サーバーラック1本丸ごとAIサーバーの「NVIDIA GB200 NVL72」で日本企業に合ったAIデータセンターが作れる!(2026/6/15)

「『NVIDIA Rubin GPU』を約2万7,500基搭載」とは、AIで計算させたところ、NVIDIAのハードウェア製品としての「Vera Rubin NVL72」が約380本。それが立ち並ぶAIデータセンターということになります。巨大です。

Vera Rubinは先日からTSMCで量産が始まったAI半導体で、現時点では各AIサーバー会社(台湾にOEM社が複数)の中でAIサーバーとして組み上げる試作段階だと思われます。AIサーバーとしてエンドの顧客が手にすることになるのは早くても2026年末。ラックスケールのAIサーバー・システム「Vera Rubin NVL72」が沢山立つAIデータセンターが稼働するのはどんなに頑張っても2027年末。Noetraの発表はそのタイムラインに乗っています。世界最速の、かつ世界最大級の「Vera Rubin NVL72」案件と言えるでしょう。

今泉追記:

出資企業のリストを見ると、NTT系が入っていません。また最大手SIerの名前も見えません。このことからソフトバンク仕切りの超大型フィジカルAI案件であることが推察されます。しかも経産省(産総研)が全面バックアップしています。

「フィジカルAIの勝ち筋」はやはり経産省の管轄であり、総務省が入ってくる領域ではないと思います。日本の製造業の話です。そのためにNTT系、KDDIにはお声がかからなかったのでしょうか?日本のフィジカルAIはどこがリードするのでしょうか?

個人的には、このフィジカルAI国家基盤の中身の現場データを収集して歩くフィジカルAI躯体(ヒューマノイド)として、すでに量産段階に入ろうとしているハイランダーズの躯体「N」を使うのが、もっとも順当、かつ、展開速度が速いと思います。

三菱自動車と提携したハイランダーズが日本のフィジカルAIを根底から変えるNVIDIA高速開発手法の詳細(関係者向け)(2026/7/12)

ステークホルダーが多いだけに、また三菱自動車がNoetraに出資していないがために、ハイランダーズの「N」以外の未完成品、PoCどまりのAIロボットなどを国家規模のフィジカルAI基盤のデータ収集装置として使うことは、プロジェクトの速度を3年遅らせるばかりか、中国に多いに劣後する結果となりますNVIDIAのデジタルツインで現在も高速に改善を続けているハイランダーズの「N」こそが、日本を代表するAIロボットであり、すでに【AIデータフライホイール】を回せる次元に入っています。

【AIデータフライホイール】が回せるか回せないかが、世界リアルタイム・フィジカルAI大競争に勝つ、唯一の条件です。

AIデータフライホイール.jpg

エグゼクティブサマリー

本件は、Noetra株式会社と産業技術総合研究所が、日本政府の支援の下で国産マルチモーダル基盤モデルを開発し、その計算基盤として NVIDIA と連携した「Vera Rubin AIファクトリー」を段階的に整備する構想である。政策面では、経済産業省と NEDO が「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」を開始し、事業期間を 2026年度〜2030年度と明示している。企業面では、Noetra がモデル開発・提供の中核を担い、産総研が国内外研究機関と連携する先端研究を担うという役割分担が公式に示されている[1]

Noetra は 2026年1月設立、6月に現社名へ変更、7月1日に事業開始した新会社で、ソニーグループ、ソフトバンク、NEC、本田技研工業を中核出資企業とし、7月16日時点で合計44社から出資を受けた。研究開発体制では、産総研に加え、Preferred Networks の技術者が中核に入ることが公式発表されており、さらに ABEJA、東芝、松尾研究所なども技術者派遣や出資を公表している。出資比率や払込総額、44社の全社名は現時点の公開資料では確認できない。[2]

AIファクトリー側の確認済み情報は比較的限定的だが、Noetra は国内事業者が保有する AI 計算基盤をまず活用しつつ、NVIDIA の協力の下で、約 2万7,500基の NVIDIA Rubin GPU を搭載する AI 計算基盤の構築を 2027年4月に開始し、2028年6月に稼働させる予定だと発表している。NVIDIA 側は、日本向けのこの国家AI基盤を「NVIDIA DSX platform」ベースの Vera Rubin AI factory と位置づけ、Spectrum-X Ethernet を採用すると X と公式サイトで案内している。[3]

政策目的は、単なる国産 LLM をつくることではなく、製造・物流・インフラ・ヘルスケア・災害対応など、日本が現場データを豊富に持つ領域で、ロボットや実世界システムを動かす「フィジカルAI」の土台を自国で持つことにある。経産省は、現場データを守りながら将来も安心して活用できる国産モデルの必要性と、省電力化の重要性を明示している。Noetra も、高度な日本語理解・論理推論・指示遂行を行う推論基盤モデルから始め、2028年度のオムニモーダル基盤モデル、2030年度の「実世界ネイティブAI」へと進むロードマップを示している。[4]

一方で、現時点では重要な未確認事項も多い。物理インフラの設置場所、電力調達の方法、データセンター事業者名、ネットワーク・ストレージの実装詳細、出資総額、企業別出資額、モデル公開の具体条件、政府支援総額の最終見通しは、一次資料では明示されていない。したがって本件は「巨大計画の正式始動」までは確認できるが、「実装詳細まで固まった完成案件」とみなすのは早い。[5]

続きは、さっつーのAIエージェント:監修 今泉大輔 のサイトでお読み下さい。

【ジェンスン・フアン×赤澤経産相】日本の「フィジカルAI」本命・Noetra(ノエトラ)とは何者か?Vera Rubin GPU 2.7.5万基で始動する国家プロジェクトの全貌(レポート全文)

PREMIUM REPORT
資料
セット
A4 約100ページ
【大反響 液冷技術 セミナーの専門資料を特別販売】

AIデータセンター向け最新液冷技術
セミナー配布資料 一式

【収録内容:計8本の大ボリュームパッケージ】

  • 最新液冷技術・市場動向レポート (全6本 A4約100ページ)
  • 解説用プレゼンテーション資料 (全2本)

AIデータセンターの運用において最大のボトルネックとなる「冷却問題」を突破する最新の液冷技術。これからのインフラ戦略に欠かせない高解像度なノウハウと予測を網羅した、実務直結の資料セットです。

\ 詳細の確認・ご購入はこちらから /
提供価格:2万2,000円
資料の詳細・購入ページへ »

制作・提供:今泉 大輔(株式会社インフラコモンズ 代表)

※リンク先の「さっつーのAIエージェント」サイトよりご購入いただけます。

Comment(0)