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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

AIが緊急分析:中国の台湾大規模演習はアンドゥリル社AI兵器と戦場OS購入で軍事バランスが変化することが理由

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(画像はMidjourneyで生成したジオラマ風の画像であり、実際のPLAの戦闘機等とは異なります。)

第二次世界大戦中から諜報活動の基本は世界各国の新聞雑誌ラジオ等の公開情報を網羅的に精査分析することです。現在は最新のChatGPTやGeminiにより、当時では想像もできなかった極めて高度な公開情報の収集分析、いわゆるOSINT (Open Source INTelligence)ができます。

昨日Xで中国人民解放軍による台湾を取り囲む形での大規模演習を知り、今朝早朝からGemini 3 Proを使って、極めて高度なOSINTを行い、それをベースにした調査報告書を得ました。提出先はあえて高市政権の高市首相、防衛省トップにしました。今回のPLA大規模演習に際して、現在の最高のAIであるGemini 3 Proがどこまで本格的に使えるものなのかを実感していただくためです。

人間で言うと、英語による軍事情報の分析等に長けた専門家で構成するチーム20人分ぐらいに当たる仕事を準備作業を含めて1時間でこなします。即応性という意味でそれぐらいの人数の能力を持っています。(今回の分析では中国語メディアも分析対象に加えましたが、出力された報告書では中国語情報源を使わずに分析したようです。米国で開発されているAIなので英語情報源で間に合う時には中国語情報源は参照しません。)

1. エグゼクティブサマリー

2025年12月29日、中国人民解放軍(PLA)東部戦区は、台湾周辺海空域において大規模合同軍事演習「正義の使命2025(Justice Mission 2025)」を開始した 。本演習は、過去の「統合の剣(Joint Sword)」シリーズと比較しても、その動員規模、即応性、および海警局(CCG)との統合運用という観点において、質的に異なるフェーズへの移行を示唆している。特に、演習開始と同時に実弾射撃(Live-fire)を含む実戦的な封鎖行動へ移行した点 は、PLAが「段階的な威嚇」から「奇襲による既成事実化(Fait Accompli)」へとドクトリンを転換させつつある証左である。

China launches 'Justice Mission 2025' military drills around Taiwan, asserts territorial claim

本演習の直接的な引き金となったのは、同年12月18日にドナルド・トランプ米政権によって承認された、台湾に対する過去最大規模(111億ドル)の武器売却パッケージである 。このパッケージには、Anduril Industries社製の自律型AI兵器群(Altius 600M/700M等)が含まれており、これらは台湾海峡を無人機で埋め尽くす「地獄の景観(Hellscape)」戦略を具現化するものである 。北京はこの非対称戦力の導入を、自身の通常戦力(特に揚陸艦隊)に対する存立的な脅威と認識しており、台湾がこれらの兵器を実戦配備・習熟する前に、圧倒的な封鎖能力を誇示する必要に迫られている。

U.S. Approves $11 Billion in Arms Sales to Taiwan: Taipei

Our First Look At An ALTIUS-600M Loitering Munition Detonating

Sale Of Over 1,000 Kamikaze Drones To Taiwan Points To Grand "Hellscape" Counter-China Plans

高市総理におかれては、11月の国会答弁において台湾有事が日本の「存立危機事態」に該当しうるとの認識を示されたが 、本演習の設定区域(特に北部・東部区域)は、日本の南西諸島(与那国島、石垣島)の目と鼻の先に設定されており、PLAが日本の介入を前提とした「拒否的抑止」の予行演習を行っていることは明白である。

Embracing Arms: Securing Japan in a "New Era of Crisis"

本報告書では、公開情報を包括的に分析し、「正義の使命2025」の作戦的意図、Anduril社製AI兵器がもたらす軍事革命的影響、そして日本が採るべき緊急かつ中長期的な防衛・外交戦略について提言を行う。

2. 戦略的背景:2025年冬の台湾海峡危機

2.1 地政学的トリガー:米国の111億ドル武器売却と「レッドライン」

2025年12月18日、米国務省及び国防安全保障協力局(DSCA)は、台湾に対し総額111億ドル(約1兆6000億円)に及ぶ武器売却を承認した 1。これは単一の売却額としては史上最大であり、トランプ大統領の対中強硬姿勢を象徴するものである。

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