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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

公共資産を売却して財政再建を図る豪クイーンズランド州

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オーストラリアのクイーンズランド州は2009年6月に、財政再建を目的として同州が保有する5つの公共資産の売却を決めました。以下がそのリスト。

■21億ドルで売却されたブリズベーン港

ブリズベーン港については昨年11月下旬に売却先(営業権の譲渡先)が決定しました。21億米ドルで落札したのは、GEなどが設立したインフラファンドのGlobal Infrastructure Partners、アブダビの政府系ファンドAbu Dhabi Investment Authorityなどから成るコンソーシアム。99年の営業権が設定されています。

■インドのエネルギー大手がAbbot Point石炭積出港を落札

今年5月初旬には、Abbot Point石炭積出港の99年の営業権をインドAdani Enterprises系の港湾オペレーターMundra Portが20億ドルで落札しました。Adani Enterprisesはインド国内で発電事業を営んでおり、発電容量の拡充を急いでいます。そのためには大量の石炭が必要。同社は昨年、オーストラリアのLinc Energyの炭鉱を27億米ドルで買収。その積出にAbbot Point港を使いますが、ゆくゆくは現在の積出能力年5,000万トンを8,000万トンに拡張し、現在の年売上1億1,000万ドルを2016年に3億500万ドルに拡大して港湾オペレーション自体から大きな利益を得ることを目的としています。

■有料道路の営業権を購入した年金基金

また同じく5月上旬には、Queensland Motorwaysの営業権の売却も決まりました。40年の有料道路営業権を30億ドル強で落札したのはクイーンズランド州の年金基金Queensland Investment Corporation。QICでは、安定した運用益の確保を狙って同じ州の公共資産を保有したということになります。これはこれで興味深い事例です。

これにより売却リストにある5つの資産のうち、3つの取引が終了。残る2つの資産についても、現在、競争入札が行われているものと思われます(日本の商社がオーストラリアの石炭輸送用鉄道の落札を狙っているという報道をどこかで読んだ記憶がありますが、元記事が見つかりません…)。
Abbot Pointの場合は競争入札に6ヶ月かかっています。クイーンズランド州の予想落札価格が15億ドルだったところ、Adaniが20億ドルの値を付けたので歓迎されたことでしょう。

■売却益は雇用確保の公共事業の財源に

クイーンズランド州のこの動きは、官民連携というよりは、完全に公共資産の売却ですね。土地の所有権などは手放さないものの、石炭積出港に99年の年限を設定したり、拡張の自由を与えているのは、やはり売却と言えるでしょう。
こういう発想が有権者に受け入れられているというのもまた興味深いです。しかも、購入者が米国系のコンソーシアムやインドのエネルギー企業であっても、有権者の反対運動が起こったりはしないようです。日本で似たような計画が立ち上がるとどうなるでしょうか?

同州は資源を主産業としており、世界金融危機による打撃がオーストラリアの他州よりも強かったと報じられています。州の財政の建て直しのためには公共資産を売ることもやむを得ないという判断だったのでしょう。資産売却計画発表から1年半後には大規模な洪水に見舞われ、その復旧予算も必要になりました。
同州では過去最大規模の180億オーストラリアドル(189億米ドル)の公共事業を計画しており、これによって12万7,000名の雇用を確保します。その財源として公共資産の売却益が使われます。

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