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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[メモ] 津波で被災した居住危険地区に大規模風力発電施設を

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4月1日の管首相の記者会見では、「山を削って高台に家を建てる」「バイオマス発電によるエコタウン」という構想が聞かれました。仙石官房副長官の下で非常に大胆な計画が議論されているものと思われます。

津波で被災した地域の方々のご不便を思う時、大変に胸がいたみます。しかし、このような大きな天災に遭った後は、この現実を踏まえて、より建設的な方向へを歩みを踏み出すことが大切だと思います。
歴史的には、1896年の明治三陸地震の際の津波の被害、1933年の昭和三陸地震の津波の被害が甚大だったことが知られています。地震の周期性を考えると、仮に現在、同じ地域に防災を考慮した集合住宅などを建てたとしても、いずれはまた、ということが考えられます。

土地を有効活用するという視点で考えると、個々の私有地に関する権利関係の穏当かつ合法的な整理を経た上でということですが、津波被害の可能性が高い危難区域については、やはり国が管理し、有効活用を図るのが筋だと思います。
その際に、更地にして公園にするなどの案もあるかと思うのですが、個人的にすぐにイメージとして浮かんだのは、そこにできるだけ多くの風力発電タワーを建て、再生可能エネルギー発電の拠点としてはどうかというものです。
人が住みにくいエリアに、多数の風力発電タワーが林立して、エコな電気を常時発電している様は、非常にシンボリックな光景ではないかと思います。そこでは大きな津波の被害があった。けれども、その教訓を生かして、今ではエコロジカルな発電の拠点になっている。そういう意味づけが、一目見ただけでわかる光景になると思います。

発電の拠点にすることには、いくつものメリットがあります。

1. 建設資金の出し手に、民間が名乗りを上げることができる。
中東産油国や東南アジア諸国など、電力需要の伸びが旺盛な国ではよく行われていることですが、新規の発電所建設において、国が大まかなスペックを決め、複数の民間企業グループに競争入札をさせて、もっともよい条件を出したところに発電所建設とその後の中長期の運用を認める、いわゆるコンセッション方式のPPP(官民連携)。この方式を採用すれば、居住危険区域における発電所建設およびその後の発電事業を引き受ける民間企業が現れます。建設の資金は受注した企業が自らの責任においてファイナンス(出資と融資による資金調達)します。
公共インフラに関して民間資金を活用し、さらには中長期にわたる運営やサービス提供も民間に委ねるコンセッション方式については、昨年来政府や内閣府で議論が進んでいるところであり、すでに法整備も完了しつつあります。土地の問題、電気事業法との整合、既存電気事業者との調整ができさえすれば、これが可能になると思います。もっとも、これを行うのは東京電力でも電源開発でもよいわけです。

2. 不足発電容量のカバーにおける再生可能エネルギー比率を上げられる
現在、東京電力で不足している発電容量は1,000万kW〜1,500万kW。報道によればすでにこれの手当として、休止中火力の復活、LNGガスタービンの新設などが考えられているようです。早期に完了するものもあるでしょうし、段階を追って2〜3年かけて完了するものもあるでしょう。
ここの選択肢の1つとして、大規模風力発電を加えることは、追加される電源における再生可能エネルギー比率を上げるという点で、非常に大きな意味があります。
日本の低炭素化戦略は、今回の原発事故により、見直しをすることが避けられない見通しです(本日付、バンコクで開催されている気候変動枠組み条約の特別作業部会に関する報道)。とはいえ、やみくもに火力だけを増やして手当を行っていると、中長期の二酸化炭素削減に課題が生じます。できるだけ再生可能エネルギーを増やすくさびを打っておくことは、現時点でも重要でしょう。その点で大規模風力発電には利があります。発電単価が、火力に接近しているからです。
現時点で、手持ちの詳しい資料がないため、すぐに挙げられませんが、発電容量が4MWといった大型の風力タービンを用いることで、発電単価はかなり火力に接近します。欧州の洋上風力発電では、土地の制約を受けにくい洋上のメリットを生かして6〜7MWの計画もあるそうですが、地上ではそうは行きますまい。まずは、できるだけ大容量の風力発電タービンを採用するということになるでしょう。
電力会社以外が発電オペレーターとなる場合には、フィードインタリフの制度が不可欠になりますが、他のエネルギーと比較としてもさほど利用者負担の要らない選択肢になるのではないでしょうか。

3. 大型風力発電タービンには日本の製造業の力が必要、かつ雇用効果も見込める
以前、 産業の裾野が広い風力発電 という投稿でも書きましたが、風力発電は製造業のエコシステムを必要とし、雇用効果も高いジャンルなのだそうです。
政府が大々的に大型風力発電を推進することで、欧州に比べればやや遅れた感のある日本の風力発電産業が大いに活性化します。
趨勢を見ると、風力発電は、世界の再生可能エネルギー発電では間違いなく主流となるものです。これの供給に対する日本のシェアを上げることは、産業政策としても意味を持っていると言うことができるでしょう。

4. コンセッションとフィードインタリフの制度設計次第で、現地に恒常的交付金を配布することも可能

現在の原子力発電で行われている措置に近いものです。コンセッションを認める際に発電事業者から徴収する権利料、および、フィードインタリフをうまく使って、電気料金に若干の上乗せを行い、それを消費地である首都圏が負担する格好にして、現地へとお金を落とす。そういう仕組みも可能になるように思います。現地ではこれを復興の財源とします。

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