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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

産業の裾野が広い風力発電

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Image courtesy of Hammer51012
インフラ投資の分野の1つとして、発電事業があります。いわゆる"IPP" (Independent Power Producer、独立系発電事業者)として行う発電事業は、発電単価が読みやすく、買い取り電力価格が制度的な裏付けによって安定することが予測できれば、投資対象としてリターンが予測しやすい案件となります。
再生可能エネルギー発電のなかでも風力発電は相対的に発電単価が安く、また、発電容量の規模も大きくしやすいことから、インフラ投資案件として積極的に取り組みやすいのではないかと思われます。海外のプロジェクトファイナンス関連のサイトを見ていると、かなりの頻度で、洋上風力発電のプロジェクトのファイナンスが完了したという記事を見かけます。

世界で進んでいる風力発電の動きをこちらでも把握しようと努めていますが、まだ全体像が見えません。欧州では洋上風力発電がかなり活発であるということ、米国でも風力発電を大幅に増やそうとしていること、中国でも積極的に取り組み始めていること、といったおおざっぱな把握しかできていません。

そういうなかで、風力発電の全体像を知ることができる資料は非常にありがたい存在です。昨日見つけた以下は非常によいと思いました。

風力発電の産業効果
(社)日本電機工業会 風力発電システム技術専門委員会委員長 上田悦紀

この記事がすばらしいのは、風力発電の製造がもたらす雇用効果を明確に述べている点です。

大型風車は、精密加工が必要な歯車や大型軸受、ハイテク化した発電機や電力変換装置など、約1万点の部品から成る回転機械なので、日本のものづく りの技術が活かせる製品である。ガソリン自動車は約3万点、電気自動車は約1万点の部品数なので、大型風車は自動車に匹敵する機械製品と言える。従って部品工業への産業波及や雇用創生の効果も同様に大きく、風車の年産1MW 当たりで、ナセル組立で1人、ブレードで2人、タワーや部品の製造まで含めると、10~15人の雇用が生まれる。

風車は回転機械であり、1台当たり約20個の軸受を必要とする。風車の年間生産量は、世界で2万台、日本で50台なので、世界で40万個、日本でも1万個の大型軸受の年間需要が生じている。特にナセル・タワー間のヨー軸受、ブレード付け根部のピッチ制御用の旋回輪軸受(3個)、低速主軸受(1 ~2個)は、直径が1~3mもある巨大軸受であり、 信頼できる製造メーカは世界で5社しかなく、その内の3社(ジェイテクト、日本精工、NTN)が日本企業である(ロバロも日本に工場がある)。208年の3社の売上合計は約2.3兆円、従業員合計は約 7.5万人だが、その1~2% の250~50億、約100人が風車関連と推定される。208年秋以降の不況で、自動車と建設機械の軸受需要が減少したため、 風車は有望な転換先として期待を集め、毎年数百億円規模の増産設備投資を継続している。

世界では毎年28GW・2万台を越える風車が建設され、風車工業は年商5兆円(部品も含めると10兆円以上)・雇用4万人の大産業になっている。更 に年率25%増(5年で2~3倍)の高成長が続いている。風車は自動車と同様の多数の部品から成る回転機械なので、部品工業の裾野は共通している。

このような産業の裾野の広がりを知ると、風力発電のさらなる普及、浸透が非常に好ましく思えてきます。

数年前に、日本の二酸化炭素排出削減目標達成のために太陽光発電の大幅な拡充が打ち出されましたが、発電単価が安く、大規模な発電容量を実現しやすい風力発電についても、改めて位置づけを見直し、産業政策の根幹に据えてみてはどうでしょうか。
国際的には、インフラ投資に向かおうとしている大きな資金の流れがあり、特に洋上風力発電は今後の拡大が予想されます。資金の出し手があり、設置を望む国々があるのであれば、製造業振興という側面だけでも、風力発電の製造業支援は意味があります。それが日本の低炭素化進展とうまくカップリングできるのであれば、まさに一石二鳥になります。

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