オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

なぜ今、システム内製化なのか?

»

多くの企業が「システム内製化」に舵を切り始めています。変化の激しいデジタル社会において競争力を維持し、持続的な成長を遂げるためには、ITを自社のコントロール下に置き、主体的に活用していくことが不可قلだからです。本記事では、なぜ今システム内製化が求められるのか、そして成功に導くための本質について考えます。

内製化はデジタル変革の原動力

現代のビジネスにおいて、ITは単なる業務効率化のツールではありません。ITを前提とした業務プロセスの抜本的な改革や、新たなビジネスモデルの創出を通じて、企業価値を高めるための戦略的な武器としての重要性を増しています。この変革をユーザー企業自身が主体的に推進するためには、システム開発・運用を外部ベンダーに委託するのではなく、自社内に専門知識と実行力を持つ体制を構築する「システム内製化」が不可欠と言えるでしょう。

モダンITと内製化は「一体不可分」

cb568dae-5729-4435-8987-f9a5e8ec5dbf.png

システム内製化を進める上で、クラウド、アジャイル、DevOpsといったモダンITの活用は避けて通れません。これらは単なる技術トレンドではなく、内製化の目的と深く結びついており、一体のものとして取り組むべき重要な要素です。なぜなら、「デジタル社会で競争力を高め成長し続ける」という内製化の目的を達成するためには、不確実性が高まる現代において、変化へ俊敏に対応できる能力が求められます。従来型のウォーターフォール開発のように、最初に要件を厳密に定義し、長期間仕様を固定化する手法や、システム資源を固定化してしまうオンプレミス・システムでは、目まぐるしい市場の変化や顧客ニーズの多様化に迅速に対応することは困難です。

つまり、システム内製化は、それ自体が目的ではなく、「変化に俊敏に対処できる能力」を獲得するための手段なのです。そして、この俊敏性を実現する上で、柔軟なリソース調達を可能にするクラウド、反復的な開発と継続的な改善を重視するアジャイル、開発と運用の連携を密にするDevOpsといったモダンITのアプローチが不可欠となります。これらが揃って初めて、内製化は真価を発揮するのです。

内製化への現実的なアプローチと人材戦略

「内製化」というと、社員として多数のエンジニアを雇用する必要があり、そのような人材の採用は容易ではないため、推進は難しいという意見もあります。しかし、内製化で最も重要なのは、システム開発における主導権を社員が握り、経営者や事業部門と密接に連携しながら事業成果に貢献することです。

最初から完璧な体制を目指す必要はありません。まずは、既存の自社人材や新たに採用した人材で社内に内製チームを立ち上げ、不足するスキルやリソースは、必要に応じてSIerなどの外部パートナーにチームメンバーとして協力してもらう形から始めるのが賢明でしょう。重要なのは、外部の力も借りつつ、徐々に自社内にノウハウを蓄積し、主導権を確立していくことです。

また、昨今の人手不足という課題に対しては、AIを活用したAI駆動開発(AI-driven development)やAIOps(AI for IT Operations)といった技術を積極的に活用することで、一定部分をカバーすることも現実的な選択肢となりつつあります。

「手段の目的化」という落とし穴

しかし、現実には、システム内製化やモダンITの導入が、本来の目的を見失い、「手段の目的化」に陥っているケースが散見されます。

  • 「内製化に取り組むにはどうすればいいのか?」
  • 「アジャイル開発を導入するにはどうすればいいのか?」

このように、内製化やアジャイル開発といった個々の取り組みが、本来達成すべき「デジタル社会で競争力を高め成長し続けること」という大目標や、変化への俊敏性の獲得といった中間目標と結び付けられることなく、それぞれが独立したタスクとして扱われてしまうのです。その結果、経営戦略や事業戦略とIT戦略が乖離し、投資対効果の低い取り組みに終始してしまうことになりかねません。

経営課題として取り組むべきシステム内製化

システム内製化を成功に導くためには、以下の関係性を明確に意識する必要があります。

  1. 目的: デジタル社会で競争力を高め、持続的に成長し続けること。
  2. そのための必須能力: 不確実性の高い現代において、変化に俊敏に対処できる能力。
  3. その能力を獲得する手段: システムの内製化。
  4. 内製化を支える前提: クラウド、アジャイル、DevOpsといったモダンITの活用。

この構造を理解し、システム内製化を単なるIT部門の課題として捉えるのではなく、全社的な経営課題として位置づけ、トップダウンで推進していくことが不可欠です。IT部門任せにせず、経営層が主体的に関与し、事業戦略と連動した形で内製化戦略を策定・実行することが、デジタル時代を勝ち抜くためには不可欠だと言えるでしょう。

今年も開催!新入社員のための1日研修・1万円

AI前提の社会となり、DXは再定義を余儀なくされています。アジャイル開発やクラウドネイティブなどのモダンITはもはや前提です。しかし、AIが何かも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜモダンITなのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、お客様からの信頼は得られず、自信を無くしてしまいます。

営業のスタイルも、求められるスキルも変わります。AIを武器にできれば、経験が浅くてもお客様に刺さる提案もできるようになります。

本研修では、そんないまのITの常識を踏まえつつ、これからのITプロフェッショナルとしての働き方を学び、これから関わる自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうことを目的としています。

参加費:

  • 1万円(税込)/今年社会人となった新入社員と社会人2年目
  • 2万円(税込)/上記以外

お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。

現場に出て困らないための最新トレンドをわかりやすく解説。 ITに関わる仕事の意義や楽しさ、自分のスキルを磨くためにはどうすればいいのかも考えます。詳しくはこちらをご覧下さい。

100名/回(オンライン/Zoom)

いずれも同じ内容です。

【第1回】 2025年6月10日(火)
【第2回】 2025年7月10日(木)
【第3回】 2025年8月20日(水)

営業とは何か、ソリューション営業とは何か、どのように実践すればいいのか。そんな、ソリューション営業活動の基本と実践のプロセスをわかりやすく解説。また、現場で困難にぶつかったり、迷ったりしたら立ち返ることができるポイントを、チェック・シートで確認しながら、学びます。詳しくはこちらをご覧下さい。

100名/回(オンライン/Zoom)

2025年8月27日(水)

【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版

生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。

=> Amazon はこちらから

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

IMG_5897.jpeg

八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

Comment(0)