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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

メモ:「ロシアはイノベーション大国になるか?――石油依存からの脱却」

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たまたまイノベーションをキーワードとして検索をしていて見つけたテキスト。昨年8月のものですね。

日経BIZ+PLUS 井本沙織のロシア見聞録
第7回「ロシアはイノベーション大国になるか?――石油依存からの脱却」

筆者はソ連崩壊前に中央大学の研究員として来日され、以降日本で研究を続けてこられた方だそうです。

これを読むと傍からは資源大国で破竹の勢いのように思えるロシアにおいても、中長期的な成長に関しては構造的な課題を抱えているのだということがよくわかります。
そもそも中長期で課題を抱えていない国なんてあるのか?ということすら考えてしまいます。そういう意味では日本も他の国々も同じなのではないか。特性は異なるものの、ある意味ではみな同じ土俵の上にある…。少子高齢化は日本だけでの話ではなく、お隣の中国でも一人っ子政策によってある時期から急速に少子高齢化が進むというのが定説。マネーをたくさん持っているアラブ諸国にしても、ドバイを例外とすれば、国内産業育成ではたぶんあまり芳しくない。

そういう風に考えると、各自(各国)一所懸命に自分の持ち場を守って発展することが大切になってきます。

この記事によると、ロシアは輸出に占めるエネルギー(石油とガス)の割合がなんと65.2%。機械は5.8%、化学製品は5.6%。民生用電子機器やCPG関連は他国への輸出が考えられないので、あとは食料でしょうか。

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深刻な設備老朽化

 老朽化の状況を見ると、2005年には生産設備の平均使用年数が17.5年であった。1990年頃の好景気だった日本の産業設備の平均使用年数の 9.1年(経済産業省のデータ)の約2倍の長さである。ロシアの地方にいくと、製造業の経営者の話では、実際には40年も使っている設備が珍しくないという。投資はどうなっているのだろうか。
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2000年から2006年の間、投資の平均伸び率は11%と高水準で、同期間の平均経済成長率の6.8%を上回っている。最近の動向も、2007年 1月から4月の間の投資は前期比で19.9%伸びており、2006年の6.9%を大きく上回っている。さらに、2006年は海外からの直接投資が310億㌦(GDPの3.2%)の規模で記録的な年となった。

 この数字を見ると、ロシアは投資ブームにあるではないかと安心してしまう人もいるだろう。この傾向が続けばロシアはイノベーション大国になるだろうと思ってしまう人もいるだろう。しかし、投資の対象分野が2000年以来、変わっていないのを見ると、喜ぶのは早いことに気づく。

 2006年の投資規模で1位の分野は全体投資の20.3%を占めた運輸業であった。2位は天然資源開発の分野、つまり石油・ガス・鉱物の第一次産業であった。投資規模は18.1%。3位は不動産で投資の割合は15.2%である。興味深いのは、この構造は2001年の投資構造とそっくりである。つまり、投資規模は増えていても、その大部分が依然と変わらず運輸と資源開発の分野に流れているのである。
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輸送インフラとエネルギー開発と不動産に多くの投資が振り向けられているんですね。研究開発を必要とする産業にはあまり資金が回っていないようです。持続可能な成長はこれで大丈夫なんだろうか?

彼我の差を考えると、日本の進んだ製造業のノウハウはまったく移出可能でしょうし、日本の省エネ技術(というよりCO2排出量削減技術)も圧倒的な優位性をもってかの地で活用可能なんでしょうね。日本には売り物がたくさんあります。

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